石川裕憲議員 質問の第2は、東京を訪れた外国人観光客をターゲットにしたプロモーションについてです。県は、新たな観光振興計画策定の素案の中で次のように言及しております。2013年度から2015年度は、アジア諸国の経済発展を背景に、国が東南アジア諸国を中心にビザ要件の緩和措置や免税制度の拡充を図ったほか、格安航空会社の新規就航や大型クルーズ船の寄港増加などにより、特に、外国人観光客の誘致を取り巻く環境が劇的に変化し、その結果、訪日外国人の動向は、2013年に1,000万人を超え、2014年は1,341万人に達し、大幅に増加したとしています。また、今後の取り組みの視点の中で、ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした誘客の推進を示しています。そこには、外国人観光客を誘致するため、特に経済成長が期待されるアジアの国や地域にターゲットを絞り、プロモーションをすることで、県内への誘客を図ります。ラグビーワールドカップ2019日本大会では、横浜で開催される決勝戦で見込まれる外国人観戦客約4万人は、平均20日以上滞在すると想定されるため、宿泊施設の確保や県内を周遊する旅行商品の企画・販売を促進していくと記載されています。観光庁の調査によると、2014年における外国人観光客の都道府県別訪問率は、東京都が51.4%で圧倒的に高く、本県は12.3%となっており、大きな格差が生じています。東京に隣接した本県としては、東京からのアクセスのよさを生かし、東京を訪れた外国人観光客を神奈川に呼び込み、周遊を促進するためのプロモーション活動の充実強化を図るべきと考えます。外国人観光客に限定したものではありませんが、東京では、JRや東京メトロなどで一日乗り放題の交通パスが導入されています。もっとエリアを広げて、横浜、箱根、鎌倉はもちろん、江の島や三浦半島、大山など、魅力ある神奈川のエリアでも使えるようにすれば、神奈川を訪れるきっかけづくりにもなります。さらに、こうした交通パスが利用された際に、提携した施設などで割引ができるような仕組みを導入すれば、地域の活性化にもつながると考えます。

そこで、知事に伺います。 神奈川に外国人観光客を呼び込むため、例えば、東京を含めた各社共通の交通パスの導入など、東京を訪れた外国人観光客をターゲットにしたプロモーションについて、どのように取り組んでいくのか、所見をお伺いします。

 

黒岩知事 次に、東京を訪れた外国人観光客をターゲットにしたプロモーションについてお尋ねがありました。観光庁が平成26年に行った調査によると、外国人観光客1,341万人のうち、約半数が東京都を訪れており、この観光客を神奈川に呼び込む手だてを講じていくことは、観光戦略として極めて重要です。   そこで、県は、本年度から東京都と連携して、海外のメディアや旅行会社に都内の観光地とあわせて、鎌倉の大仏や箱根の芦ノ湖など、外国人観光客に人気がある県内の観光スポットをPRする取り組みを始めたところです。また、近年、日本を訪れる外国人観光客は、個人旅行の割合が年々増加しており、平成26年に国が行った調査では約67%となっています。こうした外国人の個人旅行者は、鉄道を利用して移動するケースが一般的です。特に、都心から神奈川へはJRや私鉄が10路線乗り入れており、また、県内は鉄道網が整備されているため、一定の日数乗り放題の共通フリーパスが発行されると、移動の利便性が格段に増して誘客に効果的と考えられます。そのためには、都心から神奈川に乗り入れている鉄道事業者や県内で運行している鉄道事業者の協力を得る必要があり、あわせて、共通フリーパスが使えるエリアも調整しなければなりません。なお、このエリアは範囲が広いほど、行き先で宿泊するケースがふえますので、できる限り広域で共通フリーパスが使えるように協議してまいります。さらに、鉄道事業者の中には、乗車券と一緒に登録している県内の飲食店やレジャー施設で使える食事券や利用券を割安なセット価格で販売している事例があります。共通フリーパスにこうした付加価値がつくと、神奈川に足を運んでいただくインセンティブになり、地域の活性化にもつながりますので、飲食店や観光施設などの協力を得て、どういった付加価値をつけることができるか協議してまいります。