石川(裕)委員  今回の質問に当たり、県のホームページを確認すると、企業庁が所管する5事業の会計について、過去3年分の予算見積書が公表されており、これは情報提供の一つとして一定の評価をしています。その中で、今回いただいた決算資料と予算見積書について、決算額が記載されていないので、対比が難しいということで、その点についてお伺いします。まず、公営企業会計の決算書及び関係書類について、どのようなものを作成すべきとしているのか伺います。

企業局財務課長  決算に当たり、地方公営企業法上の義務づけがあり、決算報告書、損益計算書、剰余金計算書、剰余金処分計算書、貸借対照表等について、法令上の義務がある書類として作成しています。 また、附属書類として、今申し上げたものの明細を作成しています。

石川(裕)委員  公営企業会計では、予算科目と勘定科目の二つの科目により経理処理を行っているということですが、公営企業会計における事業とはどのような位置づけになっているのか、伺います。

企業局財務課長  知事部局等の一般会計については、県民にとってよりわかりやすい予算とするために、予算上の単位である款項目の下に事業を1本1本位置づけており、それを予算の説明の単位、あるいは予算の執行管理の単位として扱われていると承知しています。企業庁の事業については、いわゆる予算編成上の積み上げの単位という位置づけにしており、予算の執行管理等についてはこの事業の単位ではなく、例えば給水費や原水、浄水費といった単位で執行管理をしています。名前としては同じ事業ですが、その位置づけについては一般会計と異なったものとなっています。

石川(裕)委員  一般会計と公営企業会計で事業の意味は異なり、公営企業会計では事業単位での決算関係書類は作成していないということですが、一方で、予算見積書は公表されているのですが、これはどのような理由で公表されているのでしょうか。

企業局財務課長  こちらについては、一般会計で予算編成プロセスの公開ということで見積書を公開していますので、企業庁としても同様に、県民の方に説明責任を果たしていこうということで、予算編成上の内部資料として従来つくっていた見積書を対外的に公表できる形に整え、一般会計と足並みをそろえて公開する取り組みをしています。

石川(裕)委員  県民の方に事業単位で予算見積書を公表するに当たり、どのような工夫をされているのか伺います。

企業局財務課長  平成30年度の当初予算までは、公開している見積書と予算議案の説明のために議会に提出している予算に関する説明書の事業の記載立てが一部一致していないところがありましたので、今年度の当初予算からは予算に関する説明書の記載の単位、それから県民の方にお示ししている予算見積書の記載単位を完全に一致させるようにして、わかりやすい内容の記載に努めているところです。

石川(裕)委員  平成30年度と令和元年度の見積書を確認させてもらいましたが、大分中身が変わって、わかりやすくなっていると確認しました。そのような中で、神奈川県が進める特徴的な事業として、箱根地区水道事業包括委託事業について伺います。まず、箱根地区水道事業包括委託事業については、目的として民間事業者による国内、海外への水道事業展開を支援するための取り組みとして、民間事業者の水道事業運営の実績づくりやノウハウの取得を目的として、箱根地区において水道事業の包括委託を実施しているということですが、まず、平成30年度の予算額と決算額について伺います。

浄水課長  平成30年度の予算額は8億1,346万5,000円、決算額は8億965万2,210円です。

石川(裕)委員  平成30年度の予算は8億1,346万円となっており、見積書の中では内訳は報告されていません。一方、平成31年度は、収益的支出と資本的支出に分けられて予算が計上されており、よりわかりやすくなっているのですが、これを平成30年度に当てはめるとどのような数値になるのか、お伺いします。

浄水課長  平成30年度予算の水道事業費用は5億4,440万5,000円です。資本的支出については2億6,906万円です。決算は5億752万4,000円、資本的支出は3億212万7,000円となっています。

石川(裕)委員  収益的収支において、委託費用が昨年度と比較して約1億円ぐらい金額が上がっていますが、この理由について伺います。

浄水課長  工事を行う、施設の点検を行う部分が毎年変わることで、委託費の増減が発生します。

石川(裕)委員  この委託事業は平成26年4月から行われていて、箱根水道営業所が管轄する地域全てが対象になっていると思います。平成26年から5年間ぐらいたちますが、その成果について伺います。

浄水課長  箱根地区水道事業包括委託は、民間企業に水道事業運営のノウハウの習得や実績を積んでもらい、水道事業の公民連携モデルを構築することを目的として行っているものです。この包括委託では、企業庁職員が約350項目について毎月、業務モニタリングを実施しているほか、担当者レベルの連絡調整会議、責任者レベルの事業運営委員会などによって、業務全般を重層的にチェックし、その結果、安定した水道サービスが継続していることを確認しています。また、独自の水量分析に基づく配水経路の効率化や、スマートフォンで漏水箇所の位置情報を関係者が共有するなど、民間ならではの工夫を生かした取り組みも進めており、有識者による中間評価においても、全体として良好に事業が進めていると評価をいただきました。こうしたことから、民間企業に水道事業運営のノウハウ習得や実績を積んでもらい、神奈川県箱根版と言える基本的な公民連携モデルが構築できたことは一つの成果だと考えています。

石川(裕)委員  今後、民間事業者への包括委託事業は広がっていくのでしょうか。

浄水課長  今後、人口減少に伴う水道使用量の減少、水道施設の老朽化、職員の確保などの課題があり、水道事業を取り巻く環境は厳しさを増す状況です。そのような中では、民間技術力を活用した公民連携モデルによる包括委託は、中小規模の水道事業者が抱える課題解決につながる有効な手法の一つとして考えています。また、この包括委託は、平成27年度には日本水道協会により、水道イノベーション賞特別賞を受賞するなど、高い評価を受けています。今年度から開始した第2期の包括委託では、第1期で構築した公民連携モデルについて、他の水道事業者からも意見を聞いて、改良を進めることで、中小規模の水道事業者にも活用しやすい汎用的な公民連携モデルを構築するとともに、県内外の水道事業者への周知、普及に取り組んでいきたいと考えています。

石川(裕)委員  結局、県内でこれは広がっていくのでしょうか。

浄水課長  広がるかどうかはわからない状況です。

石川(裕)委員  民間事業者によるノウハウを国内、海外への水道事業展開を支援するための取り組みとして箱根地区で始まったということなので、ぜひ広げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

浄水課長  広げる取り組みについてはセミナー等を開催して、県営水道の取り組みをアピールし、公民連携モデルを理解していただきたいと考えています。

石川(裕)委員  神奈川県の特徴的な事業として、寒川浄水場排水処理施設管理事業費で、PFIを使った事業を行っています。こちらも、事業コストの削減を図るために、寒川浄水場排水処理施設の更新、維持管理及び運営について、民間活力を導入したPFI事業として実施しているということですので、まず平成30年度の予算額と決算額を伺います。

浄水課長  平成30年度の予算額は8億1,407万余円、決算額は8億285万余円です。

石川(裕)委員  平成18年から、20年間の契約でこの事業が行われていますが、PFI事業としたことで、どのような成果、変化があったのか、伺います。

浄水課長  この事業の目的ですが、経費の平準化に加えて、事業者の経営ノウハウ、技術ノウハウを生かした創意工夫による事業費のコスト削減と、排水処理施設で発生する脱水ケーキの有効活用を長期的に処分していただくことを目的としています。これについては、業務要求水準書の中で評価するためのモニタリングを行い、適正な運営がされ、提案どおりの脱水ケーキの処分も有効利用もされているということで、長期にわたり安定した運営がされているという評価をしています。

石川(裕)委員  評価されているということですが、PFI事業者は寒川ウォーターサービスというところだと認識していますが、具体的に企業庁はこのPFI事業者からどのようなサービスを提供されているのでしょうか。

浄水課長  排水処理施設の建設と、排水処理施設を建設した後の運転管理です。

石川(裕)委員  事業者側の表で言うと、サービス購入料はサービスを買っているということなのですか。

浄水課長  サービス購入料の中には、排水処理施設を建設した費用の年割りの支払いと、運転管理を行う人件費、運営に必要な電力料等の事業に必要な費用が入っていて、それを委託しています。

石川(裕)委員  そのような中で収益的支出を見ると、平成30年度は4億余万円で、平成31年度は支払い利息が減っているにもかかわらず、ふえていますが、この理由について伺います。

浄水課長  先ほどの箱根地区と同様に、排水処理施設についても設備が多くあり、維持管理の点検収益によって、金額が増減しています。

石川(裕)委員  20年間の契約を結んでいますが、この費用が多少前後するということで、一番最初に契約するときは、例えば幾らぐらいで、これが膨らむ可能性もあるということなのでしょうか。

浄水課長  PFI事業の20年間の費用ですが、契約当初の提案時に20年間の費用の内訳を提示していただき、それに基づいて支払い、事業を実施していただくものです。また、部分的には物価上昇を加えて、金額を精算させていただくこともあります。

石川(裕)委員  一番最初の総事業費はどれぐらいの金額だったのでしょうか。

浄水課長  計画の総事業費は149億6,532万余円です。

石川(裕)委員 20年間で149億、最初はそれぐらいで、これはふえる可能性もあるが、149億円におさめるということなのでしょうか。

浄水課長  これは契約当初提案された額で、物価上昇によって上がる部分もあり、下がる部分もありますが、変動費としては、処理をする水量によって単価が変わるものもありますので、前後することはあります。

石川(裕)委員  先ほどの包括委託事業もそうですが、今回、寒川浄水場排水処理施設はPFIでやられていますが、ほかにこのような事業をやろうということはあるのでしょうか。

浄水課長  PFI手法を導入するに当たって、平成12年当時、PFI事業に適していると判断する条件を考えて、いろいろと判断してきました。プロジェクトの領域が明確に分かれていること、設計段階から民間事業者の創意工夫が可能であること、民間事業者による適切なリスクコントロールが可能であること等の3点あるのですが、残念ながら今現在においては、このような条件に見合った事業はありません。 ただ、今後行うさまざまな事業において、PFI手法の導入の可能性については検討したいと考えています。

石川(裕)委員  神奈川以外で、このようなことをされているところはあるのですか。

浄水課長  近くでは、横浜市の浄水場がPFI事業で運営しています。

石川(裕)委員  これまで、二つの事業を例に質問してきましたが、冒頭に申し上げましたが、事業別に予算額と決算額を比較することによって、企業庁についても事業に対する評価や検証が可能となり、よりわかりやすく、理解が深まると考えています。私もホームページの決算の数字を見て、比較がなかなか難しいという状況でした。そのような中、今後の決算審査に当たって、そのような事業別の予算額と決算額の比較が可能となる資料をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

企業局財務課長  ただいま御指摘いただいたように、今までは、企業会計のような形で、いわゆる損益計算書や貸借対照表のベース資料を中心にしていました。ただ、今御指摘いただいたように、事業の単位で物を見ていくのも非常に有益な手法だと考えています。ただ、財務システム上の集計対応やシステム対応、それから一般会計と異なり、若干会計制度が違うので、数字の見せ方等も工夫しなければいけないと思っています。来年度以降の決算に当たり、予算と決算の対比がわかりやすく見える資料については工夫したいと考えています。

石川(裕)委員  前向きな御答弁をいただいたと思いますが、実際に令和元年度の予算見積書を見せていただくと、細かく平成30年度と比較した見積もりが出ています。確かに、システムの問題等もあるかと思いますが、これができるのであれば、これと同じものを決算で使っていただければ、近いものが出てくるように思いますが、いかがでしょうか。

企業局財務課長  先ほど申し上げたように、私どもの事業は、予算の見積もりの積み上げをするときに使っている単位である一方、執行管理は1個上の目という単位を使っています。これを改めて事業単位で仕分け、しっかりと記載していくことについては、対応が必要と思いますので、今の御指摘も踏まえながら、見やすい方法を検討したいと考えています。

石川(裕)委員  要望になりますが、県で取り組んでいる各事業の予算に対して、結果としてどのように使われたということを決算額で、事業等を県民にどのように伝えるか、わかりやすく伝えるかというのは、大切なことだと思います。ぜひ、来年度の決算に当たって、事業別の決算額を明らかにした書類を出していただくようお願いして、私の質問を終わります。