作山議員】 一般地方独立行政法人の枠組みを用いることで柔軟かつ専門性の高い事業展開を目指すこととされており、職員の身分も非公務員へと転換され、組織運営の仕組みが大きく変わることになるが、理事長をはじめ組織全体の体制や運営方針の詳細は未だに明らかにされていない。また、独法後の生活支援部門の予算や人件費の取扱いがどう変わるのかも示されておらず、利用者支援にも影響があるため注視する必要がある。そこで、福祉機構に関して、直営から独立行政法人に移行する中で、どのような組織体制や制度により効率的な運営を実現していくのか、所見を伺う。

黒岩知事】次に、地方独立行政法人神奈川県立福祉機構の運営についてです。
新たに設立する福祉機構では、科学的な視点を取り入れた再現性のある支援の実践や、専門人材の育成を進めるなど、新しい福祉のフロントランナーとしての役割を果たしていきます。また、理事長のトップマネジメントによる柔軟・迅速な意思決定や財務・会計制度を基盤に、効率的な事業展開を行うとともに、施設利用者だけでなく、地域で生活する障害者にも当事者目線の効果的な支援を進めていきます。そのため、福祉機構では、生活支援部門とともに研究や人材育成部門を組織体制の柱とします。そして、理事長には、法人の設立目的を十分理解し、リーダーシップをもって、県が目指す当事者目線の福祉を実践できる方に就任をお願いしようと思っています。
また、こうした運営には、県立直営施設の際に必要だった経費に加え、研究や人材育成のための費用も必要です。そのため、限られた運営費交付金を有効に活用するとともに、外部資金も確保しながら、大学や企業等と連携した実践的な研究事業や、地域の障害者へのサービスの提供といった効果的な取組も進めていきます。県は、地方独立行政法人の特徴を活かした事業に取り組むことで、新しい福祉改革を進め、当事者目線に立ったやさしくあたたかい支援を実現してまいります。

作山議員】県立障害者支援施設にあっては、虐待やハラスメントなどの課題があったことから、新たな法人の設立にあたっては、運営の透明性を確保することにより、そうした問題の発生を未然に防いでいく必要がある。特に、福祉分野では、公共性・倫理性の高い事業運営が強く求められ、こうした運営の透明性を確保していくためのガバナンスの確立が不可欠である。福祉機構としてどのようにガバナンスを確立していくのか、方針を伺う。

黒岩知事】福祉機構のガバナンスの確立についてのお尋ねがありました。福祉機構の定款では、運営の透明性を確保するため、役員の中に障害当事者に入ってもらい、利用者支援や法人運営に障害当事者の意見を反映させるほか、県の立入検査に応じなければならないことや、積極的に情報の公表を行うということを定めています。また、今後策定する中期目標には、法人から独立した第三者機関を設置し、法人運営等について、定期的にチェックを受ける仕組みを位置付ける予定であります。こうしたことを着実に進めることにより、福祉機構のガバナンスを確立してまいります。

作山議員】新たなこの独立行政法人の設立は、福祉サービスの質を高める大変重要な一歩であり、利用者にとっても、安心につながるものであるべきである。体制の整備や財政面での見通し、そして、現場職員の処遇について、ていねいな情報開示と議論を重ねながら、進めていただきたいと考える。 先ほど、リーダーシップを持つトップを選任することを知事に明確にご答弁いただいた。組織の透明性の確保について、しっかり進めていただくことを要望する。