石川】次にGREEN×EXPO 2027におけるミュージカル事業についてです。
今年3月の予算委員会での質疑において、知事から「ミュージカルと言い始めたのは私であり、かつての大阪万博で一番印象に残っていたのがミュージカルショーだった。せっかくのこの機会に、我々の『Vibrant INOCHI』というメッセージを世界に発信するチャンスであり、文化というものはこういうものだ」との答弁がありました。知事の強い思いを込めた事業だからこそ、より多くの来場者が体験できる工夫が必要であり、公費を投じる以上、費用対効果を高め県民への還元につなげる視点も欠かせません。この観点から質問いたします。
本県が出展するGREEN×EXPO 2027では、「Vibrant INOCHI」の理念を発信する手段としてミュージカルが採用され、関連費用として約12億円が計上されています。県出展ブースはライブ上演に対応できないため、博覧会協会と折半で約16億5000万円の催事場を建設し、県負担は8億2500万円となっています。さらに、ミュージカルの制作・上演費として3億6300万円が別途計上され、単純計算でライブ上演1回あたり約2500万円という高額な事業となっています。 この上演費用は神奈川県環境保全基金が活用されていますが、他にも活用すべき分野がある中で、費用対効果や基金の趣旨との整合性を踏まえ、県民への丁寧な説明が不可欠であると考えます。
県は、ミュージカルが演劇・音楽・ダンスを組み合わせた表現手法として、幅広い世代や多言語の来場者に訴求できるとしています。しかし、県が示した仕様書によれば、博覧会全体の有料入場者を約1000万人と見込む中で、会場は500席・ライブ上演は1日1回で、開催期間約6か月のうち49回にとどまります。
仮に毎回満席でも鑑賞できるのは最大2万4500人で、全体のわずか0.245%にすぎません。これでは、知事が掲げる「Vibrant INOCHI」の理念を広く感じていただくにはあまりにも限定的ではないでしょうか。こうした状況を踏まえれば、ライブ上演の方法や回数の柔軟な見直しに加え、映像配信やダイジェスト上映、SNS等を活用し、より多くの人に理念を伝えていく工夫が必要だと考えます。
 そこで知事に伺います。GREEN×EXPO 2027におけるミュージカル事業について、約12億円もの県費を投じる意義やその効果をどのように認識しているのか。その上で、費用対効果や理念の浸透という観点から、ミュージカルの上演規模や方法について想定来場者数との整合性を再検証し、より多くの人に理念を伝える工夫を講じるべきと考えますが、所見を伺います。

黒岩知事】次に、GREEN×EXPO 2027におけるミュージカル事業についてです。
先日、私は開催中のEXPO「大阪・関西万博」の視察に行ってきましたが、現地は多くの人で賑わっており、多様なコンテンツを世界中に発信できる大変効果的なイベントだと改めて強く実感しました。2027年に本県で開催されるGREEN×EXPOは、1都3県で初の万博であり、国内外から多くの来場者が見込まれることから、県政の基本理念「いのち輝く『Vibrant INOCHI』」を発信する絶好の機会と考えています。特に、ミュージカルは、誰もが直感的に理解しやすい表現手法で、観客一人ひとりに環境保全に向けた取組等を訴え、鑑賞を通じた気づきを将来の行動変容につなげることが期待できるため、大きな意義と効果があると考えています。上演にあたっては、ライブ以外に、事前に制作したミュージカル映像を上映するほか、タイムスケジュールを調整し、できる限り上演回数を増やしていきます。また、ミュージカルの楽曲に合わせて踊る動画を広く募集し、その動画を機運醸成や実際の公演の中で活用するほか、会場でも観客の皆様と一緒に歌い、踊る演出を行うなど、観るだけでなく、参加していただく工夫をしていきます。こうした取組により、「Vibrant INOCHI」の理念が多くの人に伝わるよう、しっかりと準備してまいります。

石川】ミュージカル事業について、再質問をさせていただきます。
予算委員会ほどの知事の熱量はあまり感じませんでしたけれども、仕様書によれば、ライブ上演日は、会期中の土日祝日や小中学校の夏休みに限られて、これが計49日。そして、上演時間は1日30分とされています。先ほどの答弁で、この回数を増やすことを検討するということをおっしゃっていたように感じますが、これは仕様書でこういうふうに書かれています。また、上演を行わない44日については、ビデオ上演が予定されています。
一方、現在開催されている大阪万博に知事も行かれたということですけれども、朝9時から夜10時まで開場し、来場者は1日を通じて展示や催しを楽しんでいます。GREEN×EXPO 2027の開場時間は、まだ正式に公表されていませんけれども、同様の長時間の開場が想定されます。そこで伺いますけれども、本県のミュージカルは、上演日でも1日1回30分というふうに限られていますけれども、それ以外の時間帯をどのように活用していくのか、現時点でどのように検討されているのか、伺います。

黒岩知事】再質問にお答えいたします。ミュージカルの上演方法についてのお尋ねでありました。
ミュージカルの上演については、一定の予算の中でより多くの方に鑑賞いただくため、ライブでの上演と映像による上演とを組み合わせて、実施いたします。ライブ上演は、実際に演者が目の前で演じておりまして、舞台と観客の一体感が生まれるので、ライブならではの迫力や臨場感を感じることができます。すべてライブ上演にできればいいのですけれども、それは費用との問題もあり、そして役者さんの肉体的な問題もあり、中々そうはいかないという中で、映像上演、これもより多くの人に見てもらうために、ライブと違った感動を与えられる映像上演というものを同時に考えているということであります。ただ、この回数については今検討中でありまして、まだ決定したわけではございません。そして、このミュージカルだけをやるのではなくて、使用していない時間にはミュージカル以外のコンテンツも検討してまいります。

石川】知事から再答弁いただきましたけれども、時間ですので要望にさせていただきます。
今、ご答弁いただきましたけれども、ミュージカルの上演日が1日1回30分に限られている。それは、回数をこれから検討していくというご答弁でありました。そして、上演日のその1日30分以外のところでは、他のイベントというものを検討していくということですけれども、予算委員会でもこのことは申し上げましたけれども、今日も申し上げていますけれども、今回12億円という予算を計上して、このミュージカルというものを行っています。建築費、上演費含めて。そういう中で、知事の予算委員会で言われた「Vibrant INOCHI」というものを広く世界に発信していくチャンスだということであればですね、やはりこの上演回数というものは、ライブが一番ですが、おっしゃるとおり予算もあるということで、ビデオの上演回数を、上演をした日でもビデオを放映するとかですね、そういう工夫があってもいいのではないかというふうに思います。
今回のミュージカル事業は、知事の強い想いを込めた取組であると理解していますけれども、公費を投じる以上、その効果を県民に実感していただける工夫が不可欠です。ライブ上演の回数の見直しを検討していただけるようですけれども、平日や空き時間の有効活用、映像配信やSNS発信を組み合わせて、県民や来場者が広く理念に触れられる仕組みを整えることを強く求めます。