石川】次に、かながわブランドのブランド力向上に向けた取組みについてです。
昨年6月、我が会派からかながわブランドのブランド力向上について質問し、知事からは、直近3年間で10件の新規登録がある一方、6件の抹消もあり、厳しい審査基準を満たしつつ登録を維持する難しさが浮き彫りになっているとの答弁がありました。また、消費者によるブランド力の評価については、今後開催するフェアでの聞き取りや、県産農水産物に関心の高い「かながわブランドコンダクター」への意見聴取を行い、その結果を関係機関で共有・分析し、今後の取組みに活かしていくとの答弁もありました。併せて、認知度向上や地産地消の推進に向けて、イベントの再開や商談会でのブース設置、SNSを活用した情報発信などを進めるとの答弁もいただきました。我が会派としては、登録そのものの魅力や経済的メリットをより明確にし、広く周知していくことの重要性を提言させていただいたところです。
今回、令和7年度予算では、主要駅を占有するデジタルサイネージを活用した「プッシュ型」広告や、生産力向上に資する機械・機器導入補助、新たに大手ECサイトでの販売支援など、認知度向上と販路拡大を狙った新規事業が盛り込まれています。この大手ECサイトとの連携は、県産農産物やその加工品に限定され、初年度はおよそ40件の出店を見込んでいると承知しています。県産品の魅力を国内外に発信し販路を広げるうえで有効な取組みであると考えますが、出店料の負担や選考があるため、参加の公平性や継続性の確保が課題だと認識しています。もっとも、この取組みはブランド力の向上にとどまらず、地域農業の持続可能性を支え、消費者に地元産品の価値を伝える重要な機会でもあります。そのため課題を踏まえつつ、より多くの生産者が参加できるよう事業スキームを工夫し、継続的に実施していくことが必要と考えます。
そこで知事に伺います。これらの新規事業を通じて、ブランドの認知度向上、販路拡大、生産力強化をどのように一体的に進めていくのか。また、実施後の効果をどのように評価し、次年度以降の事業改善やブランド戦略の見直しにつなげていくのか。さらに、県産農産物の付加価値を高め、地産地消にとどまらず地域経済の活性化へとつなげていくための考えを伺います。
黒岩知事】次に、かながわブランドのブランド力向上に向けた取組についてです。
県では、今年度から、新たに3つのかながわブランド関連事業を開始しました。まず、「攻め」の広報として、デジタルサイネージなどを活用したプッシュ型の広告を行い、若年層を含めた認知度向上と需要の喚起につなげます。そして、大手ECサイトの楽天で県産品のフェアを開催し、県民の皆さまに手軽に購入していただく機会を提供するとともに、販路の拡大を支援します。さらに、生産力強化に必要な機器の導入を支援することで、販路拡大による需要の増加に対応します。このように、認知度向上、販路拡大、生産力強化をパッケージとして、生産者支援と消費拡大の両面から一体的に取り組むことで、生産者の収益を増やし、消費者からも支持されるブランドにしていきます。
次に、これらの事業の効果検証について、まず、プッシュ型広告では、事業者による効果の推計と県民ニーズ調査により認知度向上の効果を確認します。また、ECサイトのフェアや機器の導入支援については、活用しなかった団体からも意見を聞き、適宜、事業の改善やブランド戦略の見直しを行います。さらに、これらの取組により、ブランド登録品の付加価値を向上させることで、加工や流通を含めた6次産業化等を促し、地産地消にとどまらない地域経済の活性化にもつなげてまいります。