新型コロナウイルス感染症対策の宿泊療養施設確保について

石川】新型コロナウイルス感染症について、これまで、中等症、重症者患者は、神奈川モデル医療体制構築の中で、県内医療機関との連携によりフェーズによる病床確保が図られている。また、重症化リスクの低い方で抗原検査キットや無料検査で陽性が判明した場合は、医療機関の診断を待たずに自ら療養を始められるよう「自主療養」を選ぶことができるようになったが、自宅ではなく宿泊療養施設を選択したい方などに対応するため、宿泊療養施設を用意しておくことはとても重要である。

そこで、県では、感染状況に合わせた医療体制・病床確保の構築が図られているが、宿泊者療養施設においてはこの限りではない。今後、フェーズに合わせた宿泊療養施設確保に向けた取組を行うべきと考えるが、所見を伺いたい。

知事】次に、新型コロナウイルス感染症対策の宿泊療養施設確保についてです。宿泊療養施設は、限りある病床を有効に活用する神奈川モデルの中で、軽症者等を受け入れる施設として、大変重要な役割を果たしています。県では、これまでも感染状況に応じ、新規宿泊療養施設を開拓し、感染者の療養先を増やしてきました。今回の第6波においても、県内の地域バランスも考慮し、小田原市内と藤沢市内に新規施設を開設するなど、引き続き宿泊療養施設の確保に努めています。宿泊療養施設は、コロナ病床とは異なり、空室補償のような制度はなく、その確保のためには、施設を長期間借り上げなければならないのが現状です。この借上げを感染状況に応じて、宿泊療養施設にしたり、ホテルに戻すなど、柔軟に対応できないか、複数のホテルチェーン等に打診してみたところ、一部の事業者は、対応が可能であるとのことでした。

そこで、この事業者とは、借用する施設を定め、フェーズに合わせた宿泊療養施設の開設に関する取決めを結ぶ方向で調整します。一方で、第5波以降は客足が一定程度戻ってきていることから、フェーズに合わせた対応は難しい、とした事業者については、長期の借り上げを前提とした宿泊療養施設の確保に努めます。そのうえで、感染状況が落ち着いている時には、施設を休館することにより、実質的に、フェーズに応じた施設の運営を行っていきたいと考えています。こうしたことにより、県民の皆様が、それぞれの状況に応じた療養が受けられるようにし、しっかりと県民の皆様のいのちを守ってまいります。

石川】一部のホテルではフェーズに合わせた対応をしていただけるということで、前向きな事業者があるとの答弁であったが、一方、2月9日時点で6万人を越える自宅療養者が県内にいると言われる中で、2月16日現在の、今日ホームページを確認しましたけれども、療養施設の利用率が約8%となっている。せっかく施設を用意しても、療養したいという方が療養できなければ、意味がないと思う。あらためて、現在の宿泊療養基準や、その利用のあり方を検討すべきと考えるが所見を伺う。

知事】宿泊療養施設への入所の基準についてでありますが、病床の逼迫に対応するために、1月24日からは重症化するリスクの高い入院優先度スコア3以上の陽性者として、病院に準じるような対応も始まっていました。しかし、宿泊療養施設の稼働率がかなり低くなっているため、2月10日以降は、家庭内感染の恐れや、自宅療養できない事情がある場合も、希望に応じ、入所の対象とすることになりました。このように、病床のひっ迫具合、それから感染者の急増や収まってくるといった状況に合わせて、宿泊療養施設の入所の基準を、柔軟に見直してまいります。

石川】宿泊療養施設については、感染状況もあり、休館をしながら療養施設の維持を図るということは理解をしますけれども、しかし休館中といっても施設を確保していくためには多額の費用がかかるという状況です。そういう中で6万人ともいわれる自宅療養者がいる中で、療養施設がほとんど利用されていない状況になっています。ぜひ、早急な対応を行っていただくよう、入りたいと言っている方が、入れるような準備をしていただくよう要望します。そして今後の新型コロナの変異や、新たな感染症が発生した場合に備えて、療養施設確保に向けた施設との契約のあり方を検討していただきますよう要望します。