地域公共交通の確保への支援について

石川】平成14年の改正道路運送法の規制緩和により、サービスの多様化が進んだものの、地域の生活を支えるバス路線の廃止が進んだ。その後、自家用有償旅客運送の登録制度創設、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」施行された。行政や地域がコミュニティ交通を運営する地域がある反面、実施に至らない地域もあり、大きな課題である。
人口減少が本格化し、高齢者による運転問題や免許証返納を進める中で、地域公共交通の役割は一層高まっているが、運転者などの担い手不足や、路線バスを維持するための公的負担の増加など、本県の地域公共交通をめぐる環境はますます厳しくなっている。地域公共交通の取組は市町村が主体となって行うものと認識しているが、地域のあらゆる輸送手段を活用し、迅速に取組まなければならない。
そこで、地域公共交通の確保や維持に取組む市町村に対して、県としてどのように支援していくのか、所見を伺いたい。

知事】本県では人口減少や少子高齢化の進展に伴い、バスなどの利用者が減少することで交通事業者の経営悪化、さらには運転者不足が深刻化するなど、地域公共交通の安定的な確保や維持をめぐる環境は厳しい状況にあります。県は、これまでも、国や市町村、バス協会などで構成する「神奈川県地域交通研究会」などの場を活用して、路線バスが撤退した地域における乗合タクシーなど新たな交通手段の導入に向けて取り組んできました。
これにより、路線バスに代わる新たな交通手段が定着した地域がある一方で、導入に向けた実証実験を行ったものの、事業の採算性の確保が難しく実現しなかった地域もあります。

こうした中、国は、この6月に、「地域公共交通活性化再生法」を改正し、地域の交通手段を確保するため、様々な民間の輸送サービスを活用できるようにしました。例えば、スクールバスや企業用の送迎バスは、これまで利用者が限定されていましたが、この規制の緩和により、一般の方も有料で利用することができるようになります。 このような新たな民間の輸送サービスを活用するには、市町村が具体の取組を盛り込んだ「地域公共交通計画」を策定する必要があります。
そこで、県は、「神奈川県地域交通研究会」において、国の法改正と、これに伴う具体の取組事例を紹介するなど、市町村の計画策定にあたり、より幅広い検討ができるよう、技術的な支援を行っていきます。県は、市町村に対する支援を通して、地域公共交通の安定的な確保や維持を図りつつ、あらゆる人が自由に移動でき、コミュニティの活性化が図れる社会を目指してまいります。