石川(裕)委員  まず、先行会派も質疑を行っていましたが、教員の働き方改革の推進について、角度を変えて伺ってまいりたいと思います。  報告の中で、学校現場では、社会環境の変化に伴いということが、経緯のところでうたわれています。私もことしで50になりまして、高校だと32年くらい前になると思いますが、学校の先生が昔と今と何がそれほど違うのか不思議でしようがないのですが、社会環境の変化とは、具体的にどういうものなのでしょうか。

教職員企画課長  教員の勤務時間の長時間化につきましては、ことし1月、中央教育審議会の答申の中で、文部科学省が平成28年度と平成18年度に行った教員勤務実態調査の結果比較等から、要因分析が示されています。  それを御紹介させていただきますと、主な変化の要因の1点目は、若手の教師の増加です。若手の教職員の方は、授業準備や校務の処理に要する時間が、経験の少なさやサポート体制の未整備から、中堅、ベテランの教師と比べて、どうしても長時間化してしまうことです。  2点目としては、総授業時間数の増加です。平成20年度の学習指導要領の改定におきまして、標準授業時間数が増加したことで、小中ともに時間数が増加していることがあります。  3点目として、中学校における部活動の指導時間の増加が挙げられます。各学校においては、部活動が過熱化しているということもあり、しかも多くの教師が顧問としてかかわっていることが要因とされております。

石川(裕)委員  今の御答弁で小中はありましたが、高校も同じですか。

教職員企画課長  文科省の調査で小中が対象になっておりまして、高校についてのデータはございません。

石川(裕)委員  まず、ここを根本的に理解しないと、働き方改革は進まないと思うのですが、現時点で、高校における今と昔の違いをどのように捉えられているのでしょうか。

教育参事監兼指導部長  高校につきましても、部活や生徒のニーズも多様化していることがあります。高校については、授業時間については、大きな変化はございませんが、それ以外のことについては小中とほぼ同じと捉えております。

石川(裕)委員  私も高校時代は部活に入っており、顧問の先生に一生懸命教えていただいておりましたが、今と何が違うのでしょうか。

教育参事監兼指導部長  当時に比べまして、生徒のニーズが多様化する中で、部活の数、種類、相当ふえている実感があります。そうした中で一人の教員が、かつては一つの部活、あるいは二つの部活を受け持つことで済んでいたが、現在はもう少し多くの部活を受け持つようになっているといった変化が部活についてはあろうかと思います。

石川(裕)委員  時間数のことをよく言われますが、学校に行くと生徒は8時半に登校、大体6時間授業で3時ぐらいに下校するイメージですが、先生は基本的に何時から何時までが就業時間なのですか。

教職員人事課長  県立高校で申し上げますと、基本的には8時半から17時までです。

石川(裕)委員  8時半から17時ということですが、8時半に来る先生は多分いないと思います。そういう中で、基本的には生徒に向いて授業をやっている、これがまず一つ。一番最初の仕事だと思うのですが、それ以外に教師の多忙化と言われる仕事は、具体的にどういうものなのですか。

教職員企画課長  例えば部活動もあります。あとは生徒、保護者の対応、地域対応、教材研究等、もろもろです。

石川(裕)委員  そのもろもろが大事なのですが、私の時代と比べてOA機器も非常に便利になった。先ほどの答弁でICTもパソコンも入ったということで、昔に比べて、例えばテストを一つつくるとしても、非常に便利になったという御答弁だったと思うのですが、それでも先生は忙しいので、働き方改革をしなければいけない。こういうことを繰り返しされているわけですが、何が原因で多忙化しているのでしょうか。

教職員企画課長  先ほどの答弁の繰り返しになりますが、若手の方がふえ、授業時間数がふえ、部活動の指導があり、そのほかにも食事の際のアレルギー対応等があるということです。

石川(裕)委員  先ほどのホームページを皆がつくれるようになったという御答弁がありましたが、ホームページは教師がつくるものなのですか。

ICT推進担当課長  これは学校の職員、誰がつくっても構わないのですが、グループ業務については、それぞれの部署の方が情報発信を今までやっていました。ただ、その作業をする人が今まで1人や2人だったのが、それぞれの部署の担当者が自分で発信できるようになった。学校のあらゆる情報を発信することを考えると、教員がやることは一般的になると思います。

石川(裕)委員  ICTが入ったことによって、逆に先生に負担がかかっている部分があると思うのです。4年前も文教常任委員会におり、入試の問題でいろいろとありましたが、そのときのヒアリングを教育委員会の方が学校に行かずにメールで発信して、メールで返してもらうという御答弁がありました。例えば文部科学省から県教育委員会に何か通達がある。その通達を県教育委員会から学校に送り、それを受け取る。これは便利になったかもしれないですが、一つ一つの作業の確認が、逆に教員の働き方改革の阻害になっている可能性もあると思うのですが、その点についてはどうでしょうか。

ICT推進担当課長  今、Society5.0という新しい時代になる中で、社会が複雑化、高度化している中でICTを使って、いかに楽にしていこうかという部分はありますが、社会の複雑化、高度化も激しい進歩があります。地域との連携、文部科学省とのいろいろな通知のやり取りも、頻度は上がっていますし、ICTで解決する一方で、さらにやり取りもふえている。そういう時代の中でICTをさらに有効に使っていく時代になっていると思います。

石川(裕)委員  年によって違うと思いますが、具体的に教育委員会から各高校に対して、どれくらいの通達が発信されているのでしょうか。

教育局管理担当課長  教育委員会の各課から教員向けに実施した通達の件数は、平成30年度で169件です。

石川(裕)委員  そういうものを一度しっかりと整理して、本当に学校に送るべきものなのか、それともそうではないのか、取捨選択するべきだと思うのです。要はパソコンを入れて業務がふえたことが、教員の働き方改革が進まない一つの理由だと思うのですが、いかがでしょうか。 教育参事監兼指導部長  教員の仕事は本当に多岐にわたっていますので、例えば入学者選抜の採点や、その点検作業は、効率性よりも着実性を避けては通れない。あるいは、会議のときにペーパーレスにすれば、資料の印刷を省ける。ICTを入れれば、効率化でき、働き方改革につながる、生徒と向き合う時間がふえるといった仕事の整理をしっかりとやった上で、的確に効率化できるところには例えばICTを整備するという、めり張りをつけていかなければいけないと考えています。

高校教育課長  私が教員になったのは30年ほど前ですが、そのころと比べて、校長をしていた最近までで感じることは、技術的な進歩もすごくあるということですが、学校の情報発信をするための手段が、かつては紙ベースのものが中心でしたが、紙ベースのものに加えて、必ずホームページ等で発信することが常に求められる。県民の皆様に自由にいつでも見ていただける環境を整えることが求められるようになったという大きな違いがあると思います。  また、生徒、保護者のニーズが非常に多様化して、それに学校は個別に対応しなければならない状況がますます深まっていると思います。そうした一人一人の生徒に個別に対応しなければならない中での教員、あるいは学校の管理職の対応の部分はふえているのは間違いないと思います。

石川(裕)委員  学校現場で働かれて、そして教育委員会に入られているわけですから、生徒をしっかりと見てあげる時間をふやすための働き方改革ですので、ぜひその視点を忘れずに、スピード感を持って進めていただきたいと思います。