石川裕憲議員 質問の第5は、県営住宅整備の方向性についてです。現在、県営住宅は、政令市を含む23市町に218団地、1,796棟、4万5,441戸あります。この県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者への住宅セーフティーネットとして重要な役割を担っておりますが、現状を見ますと、昭和30年から50年代につくられた県営住宅の建物老朽化が進んでいま。県では、「県営住宅ストック総合活用計画」を策定し、順次、個別改善や修繕を進めていることは承知しております。しかし、計画の中の個別改善計画状況を見ますと、改善進捗率は平成13年からの5年間は12.2%。それを受けて計画を見直した平成18年からの6年間の個別改善の進捗率は17.3%となっており、それをさらに見直した平成25年からの進捗率は1万6,502戸中、今現在、たった794戸の4.8%となっており、今後の巻き返しがなければ、もはや計画倒れとなっていると言わざるを得ません。   私は、県内にある川崎市、横浜市、横須賀市の幾つかの団地を視察いたしました。中には、建物が老朽化し、新規で募集をしても空室が埋まらず、常時募集住宅となっている団地もありました。もちろん、老朽化だけが空室の原因ではないことも承知しておりますが、老朽化対策はとても追いついていないと感じております。また、お住まいになられている方も高齢化が進み、孤独死の発生や地域コミュニティーの活力低下が問題となっています。このため、エレベーターの設置などのバリアフリー化のほか、生活の安心・安全の確保についての取り組みが必要となっています。しかし、今後の人口減少社会の到来により、将来的な世帯数の減少、少子・高齢化の進行と民間空き家の増加など、県営住宅の供給を取り巻く環境が大きく変わりつつあることを踏まえると、今、県営住宅整備のあり方そのものを中長期的な視野で検討する時期が来ていると考えます。中長期計画と言えば、例えば、県教育委員会では、来年度から「県立学校施設再整備計画」、いわゆる「新まなびや計画」に取り組もうとしていますが、平成39年までの12年間の計画期間で、おおむね1,500億円の事業費で整備を進めていくことが示されました。当然のことながら、個別具体の整備箇所等については、毎年度の予算調整や議会での審議を経て事業化されることは承知していますが、県営住宅についても、この新まなびや計画のように、あらかじめ計画期間やおおむねの整備事業費を明確にする必要があると考えます。どの時期に、どのくらいの規模で、建てかえ、修繕、個別改善が行われるのか、しっかりとより具体的に明示することによって、県営住宅に現在お住まいの方や、また、新しく入居したいと思う方が、安心してその団地で生活をすることができると考えます。また、積極的に民間空き家を活用することによって、団地集約等による効率的な配置や用途廃止の拡大なども具体的に盛り込むべきと考えます。具体的な計画がないのであれば、ストック総合活用計画は、計画ではなく、ただの構想であります。

そこで、知事に伺います。現在、県営住宅にお住いの方が安心して住み続けることができるよう、団地再編や今後の建てかえ、改修、修繕などの整備の方向性について、入居者により具体的な計画をもって情報提供を行っていくべきと考えますが、知事の所見をお伺いします。

黒岩知事 最後に、県営住宅整備の方向性についてお尋ねがありました。県では、県営住宅を長期にわたって有効活用していくことを目的として、「神奈川県県営住宅ストック総合活用計画」を平成25年9月に改定しました。この計画では、今後の推進すべき施策を体系的に取りまとめ、施策の大きな柱である既存ストックの長寿命化と適正な運営の実現に向け、整備の方向性を示したところです。具体には、建てかえ、個別改善、維持保全、集約化などの整備区分を定め、団地の経過年数、立地や規模などに応じて対象となる団地を位置づけています。この計画を改定する際には、全ての団地自治会にご意見等を伺い、改定した計画についても周知した上で整備を進めているところです。整備のうち、建てかえや個別改善といった大規模工事については、予算の制約等から先行して整備する団地を選定し、工事内容や進め方が固まった時点で入居者の方々に情報提供していますが、残る団地については、計画が固まっていないため、情報提供ができていません。一方、屋上防水など、維持保全工事については、団地ごとに建築年度や立地状況などが異なり、劣化の進行ぐあいに差があるため、どの時期にどのような内容の工事を実施することが最適かなど、あらかじめ計画し、お示しすることは困難です。このため、県は、指定管理者と現地を確認し、どの団地の対策を実施すべきかを判断した上で、維持保全工事の内容を工事の着手までに入居者の方々に情報提供しています。しかしながら、入居者の方々がより安心して生活するためには、工事内容や実施時期をできるだけ早期に情報提供することが重要だと考えています。そこで、県は、大規模な工事については、先行する団地の進捗状況を見据えながら、残る対象団地の整備内容の検討に着手してまいります。また、維持保全の場合であっても、工事の種類によっては、計画的に対応できる可能性があるか、改めて検討するなど、具体的な計画について、できるだけ早期に情報提供できるよう取り組んでまいります。私からの答弁は以上です。

石川裕憲議員 老朽化が進んでいる県営住宅については、ストック総合計画を立てたものの、具体的な規模、時期が明示されていないため、計画に対する検証もアバウトなものになってしまいます。ぜひ、今後の再編を含めた建てかえ、改修などを具体的に、現に入居されている方に対して、いち早く方針を示さなければならないと思います。また、計画的に改修、整備を決定したとしても、老朽化は日々進行しておりますので、入居者の不安を払拭し、安全で安心できる快適な住環境を維持するためにも、ぜひ知事には県営住宅の現状を視察いただきたいということを強く要望させていただきます。