石川(裕)委員 早速質問に入ります。本日は、ポストコロナを見据えた経済施策観光業支援について伺ってまいります。  先ほど先行会派でも観光業の支援について質問がありましたけれども、少し視点を変えて質問をさせていただきたいと思います。  来年度の予算の一般会計歳出の1割強に当たる約3,182億円がコロナ対策費として計上され、その中身は、医療体制の維持と経済の回復が示されています。  そこで、まず、県の取組において、大きな方向性を示したかながわグランドデザインがあります。この計画の第3期計画は、2019年から4年の計画となっています。  初めに政策局に伺います。  新型コロナの対応長期化によって、このかながわグランドデザイン第3期実施計画の進捗にどのような影響が出ているのか確認をいたします。

山崎総合政策課長 かながわグランドデザイン第3期実施計画は、計画の2年度目から新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、予定していました多くの施策事業が実施できず、計画の実施に大きな影響が出ております。  その影響を図る上で、一つの目安として、毎年7月に作成しておりますかながわグランドデザイン評価報告書、これに掲載しましたKPIについて、コロナ前の2019年度とコロナの影響を受けた2020年度を比較いたしますと、進捗率が100%以上のKPIが84から52に、それから進捗率が90%以上100%未満のKPIが23から16に、それぞれ減少しております。そうしたことから、実施計画の進捗状況については、全体として遅れていると考えているところでございます。

石川(裕)委員 今の御答弁で、全体的には進捗率が落ちているというふうに理解をいたしました。ここから観光施策について伺ってまいりますけれども、今回、行ってみたい神奈川の魅力づくりとして、総額約346億円の予算が計上されています。私は、これまで観光施策について様々議論を重ねてまいりましたけれども、県当局からは、観光業は裾野が広く本県経済において重要な役割を担うことが期待されているという旨の報告を何度も伺いました。今回、この長引く新型コロナの対応で、裾野が広いと言われる観光業では、どのような業種で、どのような影響が出ているのか伺いたいと思います。

渡邊観光課長 観光業は裾野が広く、様々な業種が関連いたしますけれども、代表的な業種である宿泊業と旅行業について申し上げます。まず、宿泊業については、国の宿泊旅行統計調査によると、本県の延べ宿泊者数は、コロナ禍前の令和元年は約2,400万人でしたが、令和3年は約1,500万人であり、おおむね4割減となってございます。また、旅行業については、主要旅行業者の旅行取扱状況年度総計によると、全国ベースの取扱額になりますが、コロナ禍前の令和元年度は約4兆6,000億円でしたが、令和2年度は約1兆円であり、おおむね8割減となってございます。このように、宿泊業や旅行業では、コロナ禍により深刻な影響が生じているものと認識しております。

石川(裕)委員 裾野が広いということで、ほかにも目的地まで行く鉄道ですとか、バスですとか、タクシー事業者とかいろいろ、また、観光地では飲食業とか買物の消費など含めて考えると、波及効果はやっぱり大きい、裾野は広いというふうに考えますけれども、今、御答弁を頂いた業種に対して、これまでどのような具体的な支援を行ってきたのか伺います。

渡邊観光課長 観光事業者への具体的な支援について、主なものを申し上げます。 まず、緊急事態宣言等に伴う外出自粛等の影響を受けた事業者については、国の月次支援金に県独自の給付金額を加算しました。また、観光客の受入れ環境整備を支援するため、宿泊施設が行う感染症対策等に対して補助を行いました。さらに、感染状況が落ち着きを見せた昨年12月から今年1月にかけて、県民限定で県内旅行の割引を行うかながわ県民割を実施いたしました。

石川(裕)委員 様々支援を行っていただいたということなんですけれども、昨日、質疑の中で、県西地域活性化プロジェクトのことについて質疑を行いましたけれども、県内各地域に住んでいただく人を増やすためには、その地域の雇用をどのように維持、拡大するのかということが重要であると思います。この観点からも、観光業には期待される部分は非常に大きいと考えます。 新型コロナの対応が長期化する中で、県内の観光業の雇用状況はどうなっているのか、どのように把握しているのか伺います。

渡邊観光課長 神奈川労働局の神奈川労働市場月報によると、宿泊業、飲食サービス業の令和2年度の新規求人状況は、コロナ禍前の令和元年度と比較して約5割減となっております。令和3年度も1月までの累計では改善していない状況でございます。このように、観光業の雇用は、引き続き厳しい状況にあるものと認識しております。

石川(裕)委員 そういう意味で、雇用も観光業は厳しい状況が続いているという中で、一方で、観光業は回復の速い産業だと言われる方もいらっしゃいます。そういう見方をされる方もいらっしゃいます。新型コロナが落ち着いたら旅をしたい、そしてまた、美しい景色を見たいなと、たくさんの方が待ち望んでいると思います。そういう中で、先ほど先行会派でも質疑、ありましたけれども、かながわ旅割なんかは、観光業の方からは、そういう期待はされていると思います。  期待をされているところなんですけれども、その対象事業者は今どれぐらいあるのか、そして、もうすぐにまん延防止等が解除になったときに、準備が整ったときに、その準備体制と言うんですかね、それはどのようになっているのか伺いたいと思います。

渡邊観光課長 まず、対象事業者数について申し上げます。かながわ旅割では、県内旅行の割引を行うとともに、旅行期間中に買物ができるクーポンを配布することとしており、旅行代金の割引を行う登録事業者とクーポンを使用できる加盟店、これを合わせると、現時点で約1,800者となってございます。  次に、かながわ旅割の準備体制についてですが、この事業は、もともと2月1日からの実施を予定していたことから、おおむねの準備はできてございます。しかしながら、事業開始の決定後、割引適用を開始するまでの間に登録事業者への割引原資の配分を行うなど、そういった作業が必要になってきますので、少なくとも3週間程度は事業者の準備期間が必要と考えております。

石川(裕)委員 3週間程度、準備が必要だということなんですけれども、やはり一刻も早い支援というのが期待をされています。  1,800者というんですかね、それが多いのかというのが、ちょっと神奈川県全体で、裾野が広いと言われている中では、1,800者というのは、いまいち数としてどうなのかという疑問はありますけれども、先ほど宿泊業者、ホテルとか旅館の業者の話もありましたけれども、そういう事業者の中から、私のほうもかながわ旅割の条件のことなんですけれども、先ほど先行会派の中では、国の要綱を見てという形で、神奈川県ではなかなかすぐに進められないような御答弁もありましたけれども、そういう一方で、観光業の方からは観光需要の平準化を図ってほしい、平日お客さんが少ないときにそういう旅割などをやっていただいて、土日とか、ゴールデンウイークとか、お盆とか、そういうピークのときは、そういうものを外していただいて、観光のされる方の平準化を図ってほしいという御意見とかも頂いています。そういう運用方法の見直しというのは、あるんでしょうか。

渡邊観光課長 かながわ旅割は、国の補助金を財源としていることから、国の補助要綱に基づいて事業を行う必要があります。この国の補助要綱につきましては、オミクロン株の感染拡大などを受けて、現在、国において見直しを行っているところでございます。  かながわ旅割につきましても国における議論を踏まえまして、今後、必要に応じて見直しを行ってまいりたいというふうに思っております。

石川(裕)委員 今、御答弁いただきました。神奈川県でそういうことは可能なんですか、可能ではないんですか。

渡邊観光課長 本県で対応は可能でございます。ただ、他県も同様の事業を実施する中で、競争力とか、そういったことを踏まえて検討する必要があるというふうに考えております。

石川(裕)委員 確かにいろんな方に来ていただきたいというふうに思いますし、神奈川から、まず県内からということもありますけれども、この他県、例えば、神奈川県から山梨県、東京都、お隣の隣県ですよね。こういう方に対して、静岡もそうですけれども、例えば、かながわ県民割がある、ほかの県では、神奈川県民でも割引を受けられるような県もあると思いますけれども、県民割として、他県の方が、例えば箱根、鎌倉、神奈川の代表的な観光地ですね、横浜、そういうところで宿泊される際のかながわ県民割、これの活用というのはできるんでしょうか。

渡邊観光課長 国のほうで、こうしたかながわ旅割を含めた県民割の取扱いについては、昨年11月から、県民だけでなくて隣接県でも活用できることとされております。また今後、それを地域ブロックに拡大するということで、本県でいえば、関東運輸局の所管域、そこを含めることができるようになるかというふうに思っております。  そうした形で、これもやはり国の補助要綱によるんですけれども、国のほうでそういった拡大を今、検討しているということですので、我々としても、それに沿った形で対応させていただきたいというふうに考えております。

石川(裕)委員 この質問の最後に、国際文化観光局長に伺いますけれども、オリンピックの無観客、そして新型コロナ対応の長期化の影響で、かながわグランドデザインで当初予定をしていた指標というものがありますけれども、これが非常に難しい状況になっていると推測されます。そういう中で、グランドデザイン3期計画で、これまでの観光施策をどのように整理し、そして総括されるのか、その上で、観光業の支援、経済のエンジンを回すための質を上げる観光施策が必要と考えますけれども、いかがでしょうか。

香川国際文化観光局長 平成31年3月に策定しました現行の神奈川県観光振興計画、これでは、ラグビーワールドカップ2019や東京2020大会などを見据えまして、観光客数という量とともに、観光客の消費単価に表れる質の充実を目指して、観光消費額総額を最も重要な指標としてきました。  コロナ禍によりまして令和2年の実績目標の5割程度にとどまってはいるんですけれども、令和元年ではほぼ目標を達成しておりまして、観光の質と量とともに充実させるという方針自体は、適切だったと考えております。そして、コロナ禍によって観光の量の本格的な回復を見通せない中では、これまで以上に質の向上、これに取り組む必要がございます。  そこで、令和4年度当初予算案では、高付加価値コンテンツ開発の推進や観光客受入環境整備費補助の拡充など、観光の質のさらなる向上に取り組むこととしています。また、令和4年度、新たな観光振興計画の策定を予定しておりますので、その議論の中で、観光の質の向上について、さらに検討を深め、地域経済の活性化につなげてまいりたいと思っております。

石川(裕)委員 局長に今、御答弁いただきましたけれども、コロナ以前のように、人々が自由に気兼ねなく行き来できるようになるには、まだ少し時間がかかると思います。しかし、コロナ禍で大きく影響を受けた事業者支援とか、かながわ旅割のような消費関係を結びつける取組は大変重要だと思います。大変重要であると同時に、適切なタイミングで行っていただくことが必要だと考えます。まずは、県民の皆さんへの周知ですね。そして、多くの県民の皆様が利用できる仕組みづくりを求めたいと思います。