石川(裕)委員 今回は、先行会派でも取り上げられていました、わいせつ事案について取り上げさせていただきたいと思います。  昨年度、教職員の不祥事としてわいせつ事案が続いていることから、繰り返しこの件についても質疑を重ねて、そして具体的な提案も行わせていただきました。残念ながら、この事案根絶に向けた取組を行っている中で、教え子の女子生徒と交際してキスをしたなどとして男性職員を令和3年9月29日付で懲戒免職とする事案が発生しました。 先行会派の質疑の中で、わいせつ事案での県教委の懲戒免職は本年度5件目という御報告もありました。大変残念でありますが、現時点で既に昨年度1年間の件数と同じ件数になっています。 そこで、まず県教育委員会が所管する教職員数はどのぐらいの人数なのか伺いたいと思います。

教職員人事課長  県立学校の正規職員数は、事務職員等を除いた数になりますが、令和3年5月1日現在で9,184人となってございます。それに加えまして、臨時的な職員については、事務と技能職を除いた数になりますが、1,364人という数字になっています。

石川(裕)委員  市町村のほうも県所管ではないのですか。

教職員人事課長  市町村立学校の正規職員数が令和3年5月1日現在で1万2,216人、加えて臨時的任用職員が1,873人でございます。

石川(裕)委員  約3万人の方が対象の教職員数の中で、ほんの一握りの教職員の行為が県教育委員会の信頼を損ねていると感じています。多くの教職員の方は真面目に職務に取り組んでいただいていることは理解をしています。 報告資料の中に、懲戒免職5件と、教職員の逮捕を受けた取組というものが報告をされています。各事案後に臨時不祥事防止会議、臨時県立学校長会議幹事会、臨時県立学校長会議特別支援学校部会、臨時県立学校長会議議長、副議長会議、臨時教育事務所長会議が行われているという報告がありますが、各会議には教育委員会のどういう立場の方、また、学校現場ではどういう立場の方が出席し、会議でどのような議論がなされているのか伺いたいと思います。

行政課長  会議によって出席メンバーは違いますが、教育局の職員としては、教育長以下、幹部職員が出席しております。それから、県立学校長会議には、その中の幹事になっている校長等が出席しております。そのほか、教育事務所の会議には教育事務所長が出席をしています。 議論の中身としては、まず直近で起こった事案の話をして、それに対して再発防止のために、こんな取組が必要ではないかとか、そういった議論を現場からも頂きますし、教育局のほうからも話をさせていただいております。

石川(裕)委員  今の御答弁でいくと、各会議がそれぞれ行われていますが、県立高校でいけば、138の高校がある中で、その校長が全員出席をされているわけではないということですね。

行政課長  全員が参加する会議もありますが、主には幹事会ということで、地区のその代表をする校長等が出席しまして、そこで議論をして、その内容については、その幹事のほうから各地区の校長等に連絡をしております。

石川(裕)委員  前回の質疑の中で教育長から、児童・生徒へのわいせつ事案は絶対にあってはならない、有識者会議からの根絶を取りまとめた提言を踏まえて、不祥事を他人事ではなく自分の問題として考え、全職員に徹底していくという答弁がありました。  今、現在、こうやって委員会をやっていますが、学校現場で勤務されている教職員の方は今も生徒に向き合って授業などを行っていると思います。教育長から教職員に対しての直接のメール、また、私も拝見させていただきましたが動画等も配信をしていることは承知しています。しかし、既に昨年と同じ件数の事案が発生している中で、本当に教育長の思いが現場に伝わっているのかと懐疑的にならざるを得ないし、これまで被害に遭った児童・生徒、その保護者に対して、今後このような事案を起こさないと伝えている中で申し訳が立たないと思っています。 そこで、今回出席されている教育局幹部職員の中で、直近まで現場で勤務をされていた方に伺います。昨年も5件のわいせつ事案がありました。そして、その際に学校現場ではどのような対応を取られていたのか、そしてまた教育長の思いが本当に学校現場に伝わっているのか、この点について伺いたいと思います。

保健体育課長  昨年まで校長職にございましたので、県立高校についてお答えさせていただきたいと思います。 まず、校長としましては、教職員が自分たちを信頼している子供たちに対しまして、わいせつな行為を行うということは決して許されないことであり、何事にも疑義を持たれないように職員の人権意識を向上することを意識して取り組んでまいりました。具体的には、先ほど来、御説明をさせていただいております様々な会議から出てまいります内容について、しっかりと教職員に対して職員会議や事故防止会議等を通じて伝達してまいります。また、教育長からのメッセージにつきましても、グループなどを組み教員同士で話合いを持つなどして、そういった取組がきちっと根を下ろすような形の活動をさせていただいておりました。  また、具体に、教員とのコミュニケーションは非常に重要であります。例えば、年次研修で教員が復命を書いてまいります。そういった際に、その復命を直接校長に持参しまして、その際に学んだこと、あるいは困ったことや気になっていることがないかなどを聞き取る等の時間を取り、相談しやすい雰囲気づくりに努めておりました。 また、教員の小さな変化を見逃さないようにすることは大切にしておりますので、疲れていれば労をねぎらい、また、採用年数の浅い教員などが新車などを購入した場合に、本人との関係づくりを円滑にした上で、安全に関することや、同僚や生徒を安易に車に乗せないようにすることといったことも指導しておりました。教員が心に思うこと、それを行動に移す際に、自分のみならず生徒や同僚を大切にするといった意識を思い出して抑止ができるように指導し、お伝えさせていただきたいと思います。

石川(裕)委員  直近まで学校現場でいられたということで、現場のお話を伺いました。県教育委員会は、教員のコンプライアンスマニュアルというものを作っていて、その中に教員に求められる行動とはというような、わいせつ行為、セクシャルハラスメント等の禁止がうたわれています。例えば、自校の生徒との私的なSNSは禁止ですということが記載されていますが、もし学校現場で、校長がこれを確認した場合は、これはどのような対応を取られるでしょうか。

保健体育課長  もし、そういったことが発覚した場合、まずは、その事実について生徒、あるいは保護者から確認をさせていただきます。その事実内容に基づいて、当該教員については、複数の管理職で対応しまして、内容について事実かどうかについて確認させていただきます。それと同時に、県教育委員会のほうにも御報告をいたしまして、具体の事案について内容を伝えるとともに指導の方向性については協議をしながら、不適切であった場合には教員に対する指導を粛々と進めていくということになっております。

石川(裕)委員  今、不適切な場合は指導していくということでしたが、SNSは禁止なんですよね。

保健体育課長  禁止でございます。まず、4月に必ず新採用も参りますので、SNSの取扱いについては禁止ということをきちっと伝えさせていただいております。そういったことが起きた場合には、必ず指導する方向でやらせていただいております。

石川(裕)委員  禁止ということが大事なのです。今、指導をしていくというお話でしたが、例えば、禁止であるにもかかわらず、児童・生徒とSNSをやっていたという事実が確認できた場合は、当該教職員に対してどのような処罰などが行われるのでしょうか。

行政部長  SNSを児童・生徒と私的に行うことは、委員が御指摘のとおり禁止されております。実際に現場の学校から報告を受けた際の対応は、その不適切な度合い、それが既にわいせつ事案に直結しているのかということ、あるいはおはようといった程度のたった1回のことだったのかということ、そういった程度によりまして、実際に、具体的に判断し、対応しております。わいせつ事案に結びつくようなSNSだった場合、当然免職ということが考えられますし、おはようなどの軽易なことにつきましては、懲戒処分には至らないかもしれませんが、必ず指導的な措置を講じているところでございます。

石川(裕)委員  以前に私から公的な携帯を導入すべきではないかという提案をさせていただいたところ、有識者会議に上げていただいて、それは必要ないという回答も頂きました。そういう中、SNSがきっかけでわいせつ事案につながるという御報告も頂いています。学校現場では、基本的にSNSが禁止となっているにもかかわらず、例えば、おはようというあいさつが軽易なことだからといって、これらがわいせつ事案につながるか、つながらないかということが分かるのですか。

行政部長  実際どのようなやり取りが行われているかを確認した上で、様々な判断をさせていただいております。おはようという挨拶をたった1回というのは、例示として不十分でしたが、必ずどのようなやり取りをしたのかというのを確かめさせていただいているところでございます。その上で必要な措置、指導を行っているところでございます。

石川(裕)委員  基本的に禁止となっている場合に、それ超えてもいいルールというのはあるのですか。

教育局長  教育委員会としまして、SNSを活用した生徒と教員とのやり取りは禁止をしております。もちろん緊急避難的なもの等はあるかもしれませんが、そういった場合につきまして、まずは事実を確認し、内容を確認いたします。そして、違反に対しましては、厳しく指導するというのが大原則でございます。先ほど行政部長が答弁いたしましたのは、その処分の程度に当たりまして、その内容等を一つ一つ判断し、その内容によって、厳罰から指導上の措置まであるということでございますが、一義的には内容を確認した上で、違反に関しましては厳正に処分いたします。

石川(裕)委員  確かに今、教育局長から御答弁いただいたとおり、緊急時には、こういうことがあるかもしれませんが、基本的に禁止という中で、こういう場合は軽易だということを言っていたら、教育長の思いは全然現場に伝わらないと私は思っています。そういう中で教育監もかつて学校現場におられて、そして現在、わいせつ事案について学校長と直接会議を重ねられていると伺っています。教育長はこの場で何度も頭を下げられ、動画も配信し、メールも直接配信し、いろいろな思いを学校現場に伝えられていると思います。私は、学校現場との温度差があるのではないかと思っています。この温度差をなくすということは難しいかもしれませんが、この温度差を少しでも少なくするための努力は非常に重要なことだと思っています。改めて教育監に伺います。

教育監  まさに委員御指摘のように、教育長と教育局の中の危機感、現場の危機感、これを同じレベルで共有できていないと、根絶というのはなかなか厳しいと考えています。私自身も、様々な事案が発生した後、臨時の校長会議や幹事会等で話を必ずさせてもらっていますが、一貫して、この危機感を現場と共有をしなくては駄目なのだということを校長に強く申し上げているところでございます。校長としては、そうした危機感を我々と共有した上で、各学校に帰って様々な研修、あるいは個別の面談等で共有をしていると認識をしておりますが、結果的に事案が起きているということについては、やはりまだまだ我々の努力が足りないとところがあるのだと考えております。引き続き校長たちと、こうしたところの危機感を現場の教員一人一人としっかり共有するように、我々としては伝えてまいりたいと考えております。

石川(裕)委員  教育監から力強いメッセージをいただきました。以前の委員会の中で、年1回のセクハラアンケートの回数を増やす提案を行い、そして有識者会議でも同様な意見があったと承知しています。今、年2回にしていただいたと報告を受けていますが、これ以上、わいせつ事案が続くようであれば、この回数を3回、4回と増やし、児童・生徒と教職員、そして県教育委員会、双方でチェックができる体制をつくるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

行政課長  現在、調査は年2回ということで、学校内の相談窓口やセクハラ相談窓口も設置していますので、生徒から声を聞く体制はできていると考えております。ただ、これ以上、セクハラやわいせつ案件がさらに増えるといったようなことがあれば、課題をしっかり踏まえた上でセクハラアンケートについても検討していきたいと思います。

石川(裕)委員  具体的な対策として、学校や県教育委員会には、今、御答弁のあったとおり、子供たちが相談しやすい環境を日常的に整えていただくことを要望します。そして、繰り返しになりますが、教職員への研修においては、懲戒処分状況や退職金がなくなるなどという話じゃなくて、被害に遭った児童・生徒がその後もどれだけの精神的影響を受けているか、そのつらい現実をしっかりと現場の教職員に伝えることが第一であると思います。最後に、具体的な事務を執行する教育局長に改めて決意を伺いたいと思います。

教育局長  先ほどから委員御指摘のとおり、教職員によるわいせつ事案といった不祥事は絶対にあってはならないことでございます。にもかかわらず、これが繰り返されています。これについては私どもも極めて重く受け止めております。これをなくすにはどうしたらいいか。この夏、全ての県立学校で全職員がそれぞれの職場で参加をする職場討論会を開きました。まさに、先ほど委員から御指摘があったように、我々の思いが学校現場と乖離しないための一つの職場集会でございます。校長からは、改めて職員一人一人が重く受け止めたという声が私のところには届いております。 教員は未来を担う子供たちを育てるという極めて重い使命と責任が求められている職務であるということ、だからこそ、より一段と高い倫理感を持った行動が求められていること、そうしたことを改めて職員一人一人が自覚し、また不祥事を絶対に起こさないという強い決意を持って臨んでいく、そういったことを徹底してまいりたいと考えております。

石川(裕)委員  約3万人の中のほんの一握りの先生の行為だと思います。改めて教育局長に御答弁を頂きました。以上で質問を終わります。