石川(裕)委員 そこで、次、専門高校の取組について伺いますけれども、先行会派からも質疑がありましたけ
れども、9月3日に神奈川県建設業協会と建設分野に係る教育の推進、人材育成等を目的とする連携と協力に関する協定が締結されました。以前から、専門高校と地域の連携、地域の活性化になる産業の担い手を育てる、そしてこれが地域に根ざした専門高校の一つの役割だというふうに申し上げてまいりました。ぜひこのような取組を今後も広く推し進めていただきたいという視点で質問させていただきますけれども、今回の協定締結は、県立横須賀工業高校の建設科設置における現場実習の実施も併せて締結されています。今回の締結で教育現場として期待する成果について伺う。

県立高校改革担当課長 これからの専門教育におきましては、就労を見据えまして、地域の産業界等と連携いたしまして、社会とつながりながら学びを深めていくことが必要でございます。また、地域の産業界等と学校とが連携した実践的な学びに取り組むということも重要になってまいります。これまでにも県建設業協会とは建設現場の見学会ですとか、インターンシップにおける生徒の受入先の確保などについて協力をいただいてきたところでございますが、今回協定を締結したことにより、こうした取組をさらに充実し、長期間の現場実習における環境の整備や建設産業への就労支援等について連携し、将来、県の建設産業を担う人材の育成に努めてまいりたいと考えております。また、学校にとっては、実社会に対応した実践的な学びの機会を生徒に提供できると考えておりまして、こうした面で成果が期待できるというふうに考えております。

石川(裕)委員 今回は横須賀工業高校との連携ということになっていますけれども、建設関係として、神奈川
工業高校とか小田原城北高校とか、川崎にもありますけれども、5校で建設科、建築科などがあります。今回なぜ横須賀工業高校のみなのか、そして期待する成果に関しては、ほかの5校も同様に考えますけれども、この連携はどのようになっているのか伺いたいと思います。

高校教育課長 今回は新たに建設科を設置するということで、横須賀工業高校におきましては、県の建設業協
会との連携、協定に基づき、さらには県の建設業協会横須賀支部、横須賀建設業協会との覚書を締結させていただいたところでございます。委員御指摘のとおり、県内その他の地域にも建設関係の学科あるいはコースを持っている学校がございますが、そういった学校におきましては、今現在もインターンシップでありますとか、デュアルシステムでありますとか、そういったところで地域の業界団体等の御協力をいただきながら、教育活動を進めているところでございます。
今後、横須賀工業高校の取組、開校した後ということにはなりますが、そういった取組の状況を見ながら、今後についてはまた検討を進めていくということになっていくかというふうに考えているところでございます。

石川(裕)委員 今、横須賀工業高校、開校してからということですけれども、卒業するまでにまた3年、今準
備で令和4年でしたか、あと2年、そうすると5年かかるわけですよね。最初の就職につなげる取組ということもあると思うんですけれども、その5年間ありますよね。そういう中でいけば、私はやっぱり建設業界の方々からというか、そういう人材不足のことを考えると、いち早く現場に進む生徒さん、そういう就職に向けた取組というのが必要だと思うんですけれども、この就職につなげる取組、具体的にどういう工業高校と連携をして、どういう形で就職につなげていくのか、伺いたいと思います。

高校教育課長 各専門学科の学校におきましては、そういった企業等との連携の中で、実習の中で、インター
ンシップは短期間で実施をしておりますが、デュアルシステムですともう少し長い期間ということで、実習の一部をそういったところで体験をさせていただく。そういった体験的な学びをすることができるというふうな点がございます。当然、専門学科、学校でも実習の授業では学んでいることはたくさんございますけれども、より現場に出て体験をさせていただくことで、実践的な学びに触れることができると。そういったところから生徒たちの就労に関する意識、そういったものがより高まっていくと。そういったことに期待をしているところでございます。

石川(裕)委員 期待はするところなんだけれども、実際に地域の企業、地場の企業、そういうところに就職というか、根づいていただきたいなというふうな思いもやはりあるわけです。という中でいくと、やはりデュアルシステムで現場実習をしたと。その現場実習をした、終わりではなくて、その先の、例えばそういう研修先、デュアルシステムを受け入れていただいた企業に対して、こういう就職を3年生の求人票、しっかりと例えば出していただくとか、そういう形でその高校、高校、今、横須賀工業高校のことを開校してからと言っていますけれども、今実際に多分やられている部分はあると思いますけれども、より一層、各業界を含めて、そういうふうな連携というか、3年生の求人票のことも含めて、こういうことは今できているんですか。

高校教育課長 企業からの求人に関しましては、基本的には企業側のほうで計画を立てながら求人票を出して
くるというところがございますので、学校としては進路指導の中では、そういった企業にも、せっかくいろいろと実習等の御協力もいただいているところですので、御依頼は申し上げているという可能性はあると思います。ただ、お出しいただけるかどうかというところまでのお約束は、取り付けることはなかなか難しい。
さらに、横須賀の地域におきましては、本当に地元からの非常に大きな御要望もございまして、そういった人材の必要性ということを強く私どもとしても認識をしていたというところでございます。

指導部長 少し補足をさせていただきますと、産業現場での企業等の現場でのデュアルシステム、これは実践的な学びの機会としてやっているもので、即それが就職ということでやっているものではもちろんございませんけれども、実際の現場で子供たちがそこで働いている方々とともに働く、そこの方々に接して、その企業のことをよく知るという、大変重要な機会でございます。もちろん、企業の現場をよく知るということだけであれば、もうちょっと短期間のインターンシップ、これでも企業の中に数日間入って体験ができますので、かなりの部分で知ることができるという重要な機会になっております。ですので、直接それをやったらすぐその企業に就職しな
ければならない、もちろんそういうものではございません。最終的にはその子供が希望するかどうか、企業側も採用するかどうかというところはございますけれども、そうしたこともございますので、各学校におきましては、地元のそうした企業、あるいは企業の団体、そういったところとしっかりと連携をこれまでもしてきましたけれども、今後もより一層そうした連携を図れるように進めてまいりたい。
教育委員会といたしましても、県内の、今工業高校ということでお話しいただいていますが、ほかの職業における専門学科高校においても、やはり同じような必要性というのはあると思っておりますので、そうした各学校でのデュアルシステムのような体験的あるいは実践的な学びがさらに進むように、私どもとしてもしっかりと取り組んでいきたいと。5年を待つとかそういうことではなく、そうしたことについては取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

石川(裕)委員 部長のおっしゃること、ぜひ進めていただきたいと思いますけれども、いみじくもほかの科の
ことをおっしゃっていただきましたので、ほかの専門高校のことについて伺いたいと思いますけれども、今回海洋科学高校の設置、基本計画案も出されています。今回、船舶運航科、水産食品科、無線技術科、生物科学、4学科に設置形態を移行するということですけれども、この狙いは何なのか伺いたいと思います。

高校教育課長 神奈川県の産業教育審議会の答申、平成30年7月に報告されておりますけれども、その中で本
県の水産海洋関係産業の担い手に求められる知識や技術、あるいは技能、視覚、そういったものを持った人材を育成する必要性ということが示されたところでございます。地元地域の地場産業を支える専門的な技能や知識をより効果的に学ぶためには、こういった学科の改編、あるいは段階を経て学びを深めて資格取得につなげる仕組みづくり、そういったものが必要であるということもそこで示されてございます。
このことから、より高度な知識、技術を持った人材を育成するために、1学科2コース制から四つの小学科へと変更をし、1年生のときから各分野の専門科目を学べるような、そういった教育課程としたところでございます。また、学年を追うごとに知識や技術を積み重ねて、より深く学ぶことができるといったところもあり、学年制への教育課程の改編を行ったというところでございます。

石川(裕)委員 昨年までの過去3年間の受験状況を見ると、船舶運航科は非常に人気が高い反面、海洋科学科
においては1倍を切っている状況がずっと続いています。そして、今回、船舶運航科の定員は変えずに、それで3学科へと分けています。この理由は何でしょうか。

高校教育課長 先ほどお話をさせていただきました産業教育審議会における答申の中で、本件の水産海洋関係
産業の人材育成を踏まえては、船舶運航、それから水産食品、無線技術、資源環境の四つの分野の学びが必要であるということが示されてございます。一般コースを発展させて、それぞれの小学科として教育課程を編成することにより、それぞれの分野の学びをしっかりと進化していくこと、それを目的といたしております。
また、船舶運航科におきましては、大型実習船湘南丸における専攻科の生徒を含めての実習でございますけれども、そういった海洋実習を行ってございます。その関係では、生徒の定員が55名ということで、1クラスを超える形で乗船をして実習を行うということはなかなか難しいと、そういった事情もございました。

石川(裕)委員 設置目的に、漁業従事者等の地域産業を担う人材の育成を図るという目的が書かれています。
報告されています。その中を拝見させていただくと、漁業に関する授業というのが2年次の4単位のみになっています。この4単位で漁業従事者と地域産業を担う人材は育成できるのでしょうか。

高校教育課長 漁業従事者を目指すための学びについてでございますけれども、漁業に関する知識や技術を学
ぶ科目として漁業という科目が設定されてございます。ただ、そのほかに、船舶を安全かつ適切に運用する技術を学ぶために船舶運用という科目であったり、漁業環境や管理手法等について学ぶ海洋環境といった科目、それぞれが関連した科目として総合的に学ぶ必要がございます。そのほかにも、小型船舶という科目、あるいは資源増殖、海洋生物など様々な科目が設置されてございますが、そういった科目を学ぶことによりまして、沿岸漁業や養殖業など、そういった方面の人材育成につながっていくものと考えているところでございます。

石川(裕)委員 分かりました。あと、海洋科学高校についての設置場所は、今の場所に設置をするというような報告もされています。前回、神奈川県で唯一の水産系高校であって、他県から評価が高いにもかかわらず、立
地場所、通学に対して非常に不便ということもあって、残念ながら他県で全寮制のそういう水産系の高校に通われているということの事例を挙げさせてもらいました。
この学校は実習場所の船の場所も離れていると。こういうことも含めて、場所の選定という問題はどうなっているのか、伺いたいと思います。

高校教育課長 海洋科学高校におきましては、実習船のある場所、それから実習場所、そして学校というとこ
ろにおいて、なかなか厳しい立地の中にあるということは委員御指摘のとおりでございます。現状、他県等の水産高校では、寮が設置されているところ等もございますけれども、なかなか本県において、海洋科学高校において寮を設置するという方向は、今現在の段階では考えていないという状況でございます。
今回の改編につきましては、学科の改編というところに主眼が置かれておりまして、いわゆる学校の場所については、今回の変更ということについては触れずに、提案させていただいているところでございます。

石川(裕)委員 ぜひ、駅からも遠い、バスも実習先も遠いというようなところでいくと、授業する場所と実習
先、これの移動もまた大変になっている。実習先もテトラポットができたり、いろいろと実習船が出られる、出られないという問題も出てきているというふうに伺っています。だからこそ、例えばですけれども、学校でバスを持ってもらって、スクールバスみたいなもので実習先にみんなで行くとか、そういうことを少し考えていただいてもいいのかなというふうに思います。
もう一つ、酪農の活性化推進事業ということで、ちょっと話が飛びますけれども、次世代の酪農担い手づくりのための実践的研修の実施があって、県内の高校生と、牧場における実践的研修に対するフォローアップを行うというものが、これは違う所管ですけれども、そういう事業があります。これ実際に今、どうなっているのか伺いたいと思います。

高校教育課長 委員御指摘の事業につきましては、環境農政局の所管となるものでございますが、酪農版デュ
アルシステムの実施に向けて、所管課と調整を行っているところでございます。具体には、県立の中央農業高校、そして相原高校の畜産科学科を対象として、新しい組織を立ち上げてございまして、次世代酪農担い手づくり酪農高校連絡会というところで、意見交換、連絡調整を図っているところでございます。
ただ、令和2年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止ということで、臨時休業の期間、あるいは夏季休業の短縮などもございまして、まだそういった打合せの会議を持つことができていないと。第1回の会議は10月に開催する予定でいるというふうに伺っているところでございます。

石川(裕)委員 専門高校においてはデュアルシステムと、そういう現場実習というのは、私は非常に大切だと
いうふうに思っています。ぜひ地域の連携、そして地域の活性化となる産業の担い手を育てる、これが地域に根ざした専門高校の一つの役割だというふうに思っていますので、ぜひ生徒の個性に合わせた、高校進学の選択の幅を広げてもらって、そして将来の職業、仕事を考えながら学ぶことができる専門高校の新しい取組が一部の学校、そして一部の地域だけではなくて、各校それぞれの学科に広げていただけるよう要望いたします。