石川(裕)委員  まず、高等学校奨学金について伺います。家庭の経済状況にかかわらず、全ての意志ある高校生が安心して教育を受けることができるよう、家庭の教育費負担の軽減を図っていかなければならない。県教育委員会が行う高校生に対する就学支援事業の果たす役割は重要なものと考えています。そこで、主要施策説明書186ページに記載のある高校生等への就学支援について伺います。まず、授業料に相当し一定の収入額未満の世帯の生徒に支給する就学支援金と授業料以外の教育費、教科書費やPTA会費、修学旅行積立金などにかかわる費用に対して支給される奨学給付金について、平成28年度から平成30年度までの給付人数と給付額について、それぞれ伺います。

教育局財務課長  まず、就学支援金の給付実績ですが、平成28年度は10万6,902人で116億4,100余万円です。また、平成29年度は10万7,750人で116億6,900余万円、平成30年度は10万8,028人で116億9,300余万円です。また、奨学給付金の給付実績ですが、平成28年度は1万4,594人に対して10億8,200余万円の支給、平成29年度は1万4,930人で12億2,100余万円。平成30年度は1万4,214人で11億9,700余万円となっています。

石川(裕)委員  給付型の就学支援金等と支援金の状況は理解しましたが、その中で就学支援金は家庭の教育費負担の補助であり、奨学給付金は給付金ですから返還の必要はないと理解しています。そのほかに貸し付けとなる高等学校奨学金という制度があり、この高等学校奨学金の平成28年度から平成30年度までの貸付人数と貸付金額について伺います。

教育局財務課長  奨学金の貸付実績ですが、平成28年度は3,324人で11億2,700余万円、平成29年度は2,766人で9億3,300余万円、平成30年度は2,360人で7億9,500余万円です。 石川(裕)委員  奨学金は就学支援金や奨学給付金と違い、貸付人数、そして貸付金額も減ってきていますが、この原因をどのように捉えているのか伺います。 教育局財務課長  減っている原因ですが、先ほど御答弁申し上げた就学支援金、奨学給付金といった給付型の就学支援制度の充実が、貸付型の奨学金の減少に影響を与えていると考えています。

石川(裕)委員  就学支援金や奨学給付金は国からの補助がありますが、奨学金は返還金等を奨学金基金に積み立てて貸し付けの原資にしていると承知しています。奨学金制度を安定的に維持していくためには、貸したお金を確実に返していただく必要があると考えますが、借りた奨学金はどのように返還していくのか伺います。

教育局財務課長  この奨学金の返還方法は、口座振替による月払いをベースとしていますが、そのほかにも口座振替、または納付書による半年払い、納付書による年払いも選択できるようになっています。奨学金の返還の始まりの時期ですが、高校卒業後の最初の10月からになっており、返還期間は貸付期間の4倍までの期間となっています。例えば高校で3年間学んで借りた場合は、12年以内に返還していただくことになります。なお、大学等に進学して、そこで学んでいると、返還を猶予することができ、改めて大学を卒業した後、社会人になってからの返還が始まる形になります。

石川(裕)委員  それでは高等学校奨学金の直近3年間の返還額と返還率について伺います。

教育局財務課長  返還金の大半を占める現年度分の実績で申し上げると、平成28年度の返還額は9億6,500余万円で、返還率にすると85.2%、平成29年度は10億2,700余万円で85.3%、平成30年度は10億9,300余万円で87%となっています。

石川(裕)委員  返還率をについて伺いましたが、結果を伺うと、毎年、徐々に上昇していますが、どのような取り組みを行ってきたのか伺います。

教育局財務課長  返還の取り組みに向けて、奨学生への制度の周知の徹底、口座振替の促進、さらにサービサーと言われていますが、債権回収会社への活用に取り組んでいます。具体的に申しますと、例えば奨学生への制度周知に当たり、毎年、奨学生が卒業する際に配付している奨学金返還の手引の表紙に奨学生からの返還金が新たな奨学生に引き継がれていくことを明記するなど、いわゆる奨学金が次世代に受け継がれていく重要性を強調しています。また、口座振替による返還は平成21年度から導入していますが、返還者の利便性を高めているところで、現在29の金融機関で口座振替に対応していただいているところです。  さらに先ほど触れた債権回収会社については、平成24年度から業務委託を行っています。

石川(裕)委員  その中で、この決算の中で、奨学金未収金回収業務事務費が1,300万円予算計上されていますが、平成30年度の決算額とその内訳について伺います。また、平成31年度にどのように予算につながったのか伺います。

教育局財務課長  奨学金事務費ですが、決算額は1,300余万円です。この奨学金事務費は、いわゆる奨学金貸付償還管理システムがあり、こういったシステムのいろいろな印刷やトナー、郵送代といったものがベースになっており、決算額は1,347万1,000円です。平成31年度の予算額は785万6,000円となっていますが、平成30年度においては、この管理システムのシステム改修があった関係上、これが減となっており、それをそのまま減らした形で予算を計上しています。

石川(裕)委員  業務委託をされているという御答弁がありましたので、その業務委託費がどのようになっているのか伺います。

教育局財務課長  御指摘の事業費は、奨学金未収金回収業務事業費の関係だと推察するところですが、平成30年度当初予算額は650万円で計上しました。決算額は850余万円です。当初予算の段階では、委託債権を1億円と想定して、その回収率を30%、さらに回収したことによる成功報酬率を20%に設定して、それを予算として見込みましたが、実際に委託業務が進行していく中で、年度末近くになって、予算編成時に見込んだ回収率よりも、かなり高い回収率が出ましたので、それに応じた成功報酬を増額する必要がありました。  そうしたことから、他の事業費から流用させていただき、予算現額で870余万円としたものです。

石川(裕)委員  平成31年度当初予算はどうなりますか。

教育局財務課長  平成31年度当初予算額は650余万円で予算を編成させていただきました。確かに平成30年度の段階では、回収率が高く振れたこともありましたが、過去の実績を見ると、平成30年度以前には、例えば十何%や二十何%という回収率もありましたので、そういったところも勘案して、前年度と同じ回収率、前年度と同程度の予算額で計上させていただきました。

石川(裕)委員  要望を申し上げます。高校生等への就学支援については、近年、給付型の就学支援制度が充実してきているところですが、一方で、貸与型の奨学金制度についても就学支援において今後も重要な役割を担っているので継続していかなければならないと考えます。後年度の奨学生のためには貸し付けた奨学金を確実に返済してもらう必要があると考えていますので、奨学金制度が持続可能で安定したものとなるよう、引き続き返還向上に向けしっかりと取り組んでいただくよう要望いたします。