石川(裕)委員 続いて、福祉タクシー車両導入補助について伺っていきます。主要施策説明書の82ページに福祉タクシー車両導入促進事業費補助の決算状況が記載されています。この補助事業は、平成30年度からの新規事業ですが、まず補助の目的と概要、平成30年度の車両導入実績について伺います。

地域福祉課長  まず、この補助金の目的ですが、福祉タクシーは高齢者や障害者など、移動に制約のある方が社会参加する際に重要な手段となりますが、一方で、車両価格が高額なことがネックで、導入が進まない状況でした。そのため、国がユニバーサルデザインのタクシーだと認定した車両を導入する場合については、補助することによって、普及を促進する目的で導入したものです。補助の概要ですが、福祉タクシー車両を購入する場合、国の制度によって60万円がタクシー事業者等に補助されます。県はこれに上乗せをする形で15万円の補助を行っています。このほか、この事業では、タクシー事業者とは別に福祉有償運送を実施する事業者に対して、同様の車両を導入する場合に30万円の補助を行っています。平成30年度の補助実績ですが、合計で137台の車両に対して補助を行っています。

石川(裕)委員  137台の導入実績ということでしたが、当初の予定の目標台数が全部で230台、タクシー事業者が210台、福祉有償運送事業者の補助が20台だったと思いますが、これには達していない理由を伺います。

地域福祉課長  まず、タクシーについては、210台を見込んでいたところ、委員おっしゃるとおり、124台の実績です。これについては、県の補助金が国の補助金を受けていることを前提にしていますので、国の補助金が予算の関係等あって当初の見込みを下回る台数しか国で御用意がいただけなかったもので、結果的に県の補助台数が減ったものと想定しています。福祉有償車両については20台を見込んだところ、13台ということで、これは、ここ数年、大体十数団体の事業者が新規に立ち上げ、参入していて、それを見込んで20台と算定したところですが、結果としては13台となったものです。

石川(裕)委員  この数字を受けて、平成30年度からの新規事業ということですが、今年度、平成31年度はどういう目標数値を立てられ、現状どうなっているのかを伺います。

地域福祉課長  昨年度の補助実績を踏まえ、今年度は若干当初予算の想定数の台数を減らして、タクシー事業者の分については172台、福祉有償運送については昨年と同じ20台を見込んでいるところです。現時点の交付決定の状況ですが、合わせて85台で、タクシー事業者の部分については現在82台、福祉有償運送については現在3台という状況です。

石川(裕)委員  新規事業で国の補助金もあるということなので、なかなか数字の達成は難しいのかもしれませんが、決算を見てまた2年連続で来年度の予算を立てる際には、この数字をしっかりと認識した上で予算を立てていただきたいと思います。その確認をした上で、障害者や高齢者など、誰もが移動手段を確保できる、いわゆるユニバーサルデザインのタクシーを普及させていくということだと思いますが、車椅子利用者がユニバーサルデザインタクシーに乗車拒否されるケースがあるという報道があります。県では導入されたユニバーサルデザインタクシーがしっかりその趣旨を踏まえて運行されているか確認をされているのか、伺います。

地域福祉課長  県の補助を受けた車両については、車両がしっかりと導入されていることについては実績報告を求めて確認していますが、その後、そのタクシー車両がどのように運行されているかについてまでは報告を求める仕組みにはなっていません。ただし、県の補助を受けるには、先ほど申し上げましたように、国の補助を受けていることを前提としていますので、国の補助金を受けるためには、車両1台導入する際、複数名のドライバーが研修を受けることが義務づけられています。この研修では高齢者や障害者の方への接し方、あるいは、実際に車椅子利用者が乗車するための実技などを行っていますので、こうしたことを踏まえますと、当初の目的に沿って運用されているものと期待しているところです。

石川(裕)委員  補助金を受けるために研修が義務づけられているという御答弁でしたが、そうした研修を受けたドライバーでも乗車拒否することがあるということなのでしょうか。

地域福祉課長  乗車拒否に関しては、さまざまな報道等があることは承知していますが、そうした乗車拒否と、ドライバーの研修の受講の有無の関連については、正確には把握できていません。  ただ、先ほど申し上げましたように、国の補助が台数を絞って実際には実施されていることから、国や県の補助金を受けずにこのタクシーを導入する事業者がふえています。こうした場合には、研修を受講せずに乗車しているドライバーもいるのではないかと考えています。

石川(裕)委員  2018年11月8日付で国交省から、ユニバーサルデザインタクシーによる運送の適切な実施について事業者に通達が出されています。本事業の目的について確認しますと、移動制約者の社会参加に必要な移動手段を確保するため、福祉タクシー車両の導入の費用の一部を補助するとされています。この補助金を申請した事業所等も事業の目的そのものを理解していただいた上での申請かと思います。一部にせよ、一部のタクシーの運転手だと思いますが、先ほどからお話ししていますような乗車拒否が起こっていることは、非常に残念です。その上で、補助金の交付に研修を組み合わせるほかにも、こうした現状を解消する方法を検討すべきと思いますが、どのように考えているのか伺います。

地域福祉課長  県タクシー協会では、補助金申請の有無にかかわらず、研修の受講を推奨するなどの取り組みを現在行っているところです。まずは、こうした業界団体等を通じて、注意喚起を図っていきたいと考えています。  また、福祉タクシーの乗降の場面では、車椅子乗車のためのスロープを設置するために、一定のスペースが必要となりますが、その場所を確保していくことも課題となっています。  乗車拒否が生じている場合には、こうしたことも要因となっている可能性がありますので、関係団体とも連携しながら対策を講じていきたいと考えています。

石川(裕)委員  要望を申し上げます。ともに生きる社会を目指す本県にあって、誰もが快適に移動する手段を確保できる環境を整備することは大変重要であると思います。その手段として交付された補助金が本来の目的を十分に果たし、高齢者や障害者が安心して、円滑な移動が可能となり、社会参加が促進されるよう関係機関とも連携して取り組んでいただきたいと思います。