石川(裕)委員 次に、県立高校のあり方について伺います。 先行会派からも質疑がありましたが、角度を変えて質問させていただきます。私学の授業料実質無償化を受けて、質問させていただきますが、毎年、神奈川県公私立高等学校協議会で、県内高等学校生徒入学定員計画が策定されていますが、定員計画の策定について、今現在における、来年度の状況を簡潔に御報告お願いします。

高校教育課長  公私立高等学校協議会を経て、設置者会議の場で合意に至ったということですが、公私の目標とする入学定員目標の値は、公立については4万1,100人、私立に関しては1万4,550人という数値としたところです。

石川(裕)委員  国の制度として、私立高校の授業料無償化が始まることは、生徒と保護者の選択肢が広がるということで歓迎する一方、県立高校に関しては影響があるのではないかということで質問させてもらいますが、今の定員計画の策定において、国の制度として実質授業料無償化が始まりますが、それを含んだ形で検討されたのでしょうか。

高校教育課長  定員計画の策定に当たり、令和2年度に公立中学校を卒業する予定者数等について公私立高等学校協議会の中で話題に上がっていたと記憶していますが、そういったことなどを踏まえて、公立中学校卒業生のみんなの進路希望をできるだけかなえていく、全日制の進学率の向上を目指していくということで、公私が入学定員目標を定めていくとした考えのもとに議論を経て合意に至ったものが先ほど申し上げた数値です。

石川(裕)委員  東京都では、実質私立高校の無償化導入を行った中で、都立高校の志願者数が3,000人ぐらい減ったという年もありました。倍率も10年ぶりに1.5倍を切ったという報告もあります。都の教育委員会によれば、授業料の助成が影響したと言われている部分もあるということです。 同じことが神奈川県でも危惧されると思いますが、その対応策はあるのでしょうか。

高校教育課長  東京都で、そういった影響が出ていることは承知しています。先日、御質問いただいた中で、何か影響があるのではないかということについては触れさせていただきましたが、神奈川県の場合ですと、まだしっかりと学費補助について周知された後に実施された私立高校の入学者選抜は、昨年度、平成31年度が初の選抜であるということで、評価として出すのがなかなか難しいというお話はさせていただきました。そのような状況があり、国の就学支援金の拡充も入ってくることもあるので、そうしたことを踏まえて、今後、影響がさらに出てくる可能性があることは想定していますが、公私で協調しながら、中学生の希望に応じ、その希望をしっかり受けとめて全日制進学率の向上に努め、県立高校の役割として、さまざまなタイプの学校を用意し、子供たちの希望、ニーズに応じた学校を用意していくという視点も必要になってきます。  そうしたことを踏まえながら、今後も適切に考えていきます。

石川(裕)委員  私立高校のイメージとしては、連携している大学に入りやすくなったり、グローバル教育やキャリア教育、時代に即した教育が受けられる、もしくは施設が充実している、そのようなイメージがあり、県立高校と比較して、学校現場だけでは努力し切れない部分は多々あると思っています。  昨年始まったばかりだから、昨年、1クラス40人として、定員割れをした学校はどのぐらいあって、1クラス以上定員割れをした高校が今年度はどのような対策をしているのか伺います。

高校教育課長  二次募集を実施した際の数ということで申し上げます。二次募集を実施した昨年度、平成31年度入学者選抜での数で40人以上の欠員が生じたために二次募集を実施した学校は、全体の中で4校あります。それぞれ二次募集の結果、その後生徒が入学を決定していますので、最終的に40人を超えている学校は1校となっています。対応策としては、学校レベルでは、地域を中心に中学校等を回ったり、学校の進路担当者あるいは学校の管理職等を通じて、説明をしっかりとさせていただく、あるいは学校ごとに学校説明会等を行っていますので、そこに来ていただける中学生に対してしっかりと学校の特色、工夫を説明をさせていただいております。また、教育委員会としては、全公立展や公私合同説明相談会のような機会を設けさせていただき、そうしたことを通じて、中学生に学校をしっかりと理解していただく、学校選びを適切にしていただくといったことを進めているところです。

石川(裕)委員  まとめに入りますが、本年度より所得制限があるものの私立高校の授業料の無償化が始まり、経済的理由等で希望する高校に行けなかった生徒が、私立高校の授業料実質無償化によって保護者も含めて選択肢が広がることは非常に歓迎しています。しかし、本来、国や自治体が子供の教育には責任を持つべきだと私は思っております 厳しいことを申し上げると、例えば、国の私立高校の無償化が定着すると、公立高校を運営するよりも私立高校に助成金を出すことで財政負担を減らそうという声が出てくる可能性もあります。そのような中で、県立高校の学校現場で独自の特色を出すことは限界があると感じていますし、結果、安易な高校の統廃合につながりかねないと危惧しています。繰り返しになりますが、今後、公立高校のあり方を中長期的に検討して方向を示すべきだと思いますが、教育長の所見を伺います。

教育長  県立高校の将来像という意味では、県立高校改革の基本計画に示した高校が今の時点での県立高校の将来像だと思っております。現に、子供の数が減っていく中において、公立であれ、私立であれ、どのような学校にして選んでもらうか。そこをしっかりと考えていかなければいけない。私は、校長たちに、これからは公立も生き残りをかけて努力してくれ、県立高校改革は安易な再編・統合ではなく、必要な数を満足し、なおかつそれぞれに特色をつくっていける新たな県立高校をつくっていく改革だと思うのです。私はそのように考えていますので、その方向でこれからも進めていきたいと考えています。

石川(裕)委員  これからは選ばれる高校、これは私立も県立も同じような土俵に立つ部分もありますので、ぜひ御尽力をいただき、そしてまた、私立高校に負けないような魅力ある県立高校をつくっていただきたい。また、私立高校にもそのようなところを切磋琢磨していただきたいと要望して、私の質問を終わります。