石川(裕)委員 続きまして、都市農業推進事業費について伺ってまいりたいと思います。今回、新規事業で予算が上げられていますが、今までこの都市農業の推進に向けた事業というのはなかったのか、まず伺いたいと思います。

農政課長  都市農業の推進に向けた事業ということでございますが、県の都市農業推進条例におきましては、県内全域の農業を都市農業ということで定義しておりますので、基本的に農業サイドで実施する事業につきましては都市農業推進のための事業ということになります。

石川(裕)委員  そういう中で、平成30年度生産緑地の多面的機能を強化する設備の整備に対して、市町村と連携し補助をする補助対象事業にどのくらいニーズがあると認識をされているでしょうか。

農政課長  ニーズということでございますが、直接、農業者に対して、施設整備等のニーズ調査をやった上で、事業立てしたということではございません。これから類似の事業を実施している市がございますので、そういったところと事業実施に向けた調整を図りながら、その事業が有効に活用されるようにと訴えていくつもりです。

石川(裕)委員  今回、この新しい都市農業推進事業費の事業内容でこの29ページの(2)の補助対象事業というものが5個挙げられています。では、この5個を挙げられた理由というのは、直接ニーズを聞いていないということであれば、なぜ、この5個が出てきたのでしょうか。

農政課長  この新規の事業でございますが、農業の継続と都市農地多目的機能を支援するための事業ということでございます。そういったことを踏まえまして、農業の継続ということであれば営農に貢献する設備ということで、例えばビニールハウスや農業機材、それから多面的機能ということで、都市住民の方に農業体験の場を提供するということであれば、体験農園の整備、それから防災空間の提供という機能もございますので、災害が発生したときに、例えば非常用、防災兼用井戸ということで活用できるような井戸の整備、こういったことを考えまして、補助対象事業のメニューについては検討したということです。

石川(裕)委員  今、検討されたということですが、これは市町村に直接ニーズは聞いていないということなのですが、どこかの市町村からそういう要望があったのですか。それとも、これはこういうことでやります、という県からの提案なのですか。

農政課長  こちらの事業につきましては、県からの提案でございます。

石川(裕)委員  県からの提案という中でいくと、現場のニーズは聞いていない、しかし、補助事業としてやるのだったら、こういう事業だろうということでこの補助対象事業を決められたということであります。そのニーズもどれぐらいあるかもわからないが、予算額は1,500万円という、今回、平成30年度予算なのですが、先行会派でも聞かれていますが、この1,500万円とは、どのようなものですか。パイプハウスとか温風式暖房機、これがどれぐらいの費用がかかるのか分かりませんが、ネットだったら30万円とかそれぐらいの金額でおさまると思いますが、防災兼用農業用井戸については、どれぐらいかかるものなのですか。

農政課長  井戸ということになりますと、その掘る深さにもよると思いますが、大体100メートルぐらい掘るとするということであれば500万円程度の費用がかかる形になります。

石川(裕)委員  県として都市農業を推進するということは、私も必要だと思います。川崎市選出の議員としては、是非、応援はしていただきたいと思うのですが、この対象事業をこうやって設定するのであれば、市町村なりもしくは現場で、私はヒアリングやアンケートをとるなりして、現場はどういうことを要望しているのかということに対して、補助もしくは支援をしていくべきだと思うのですが、その点は非常に残念だと思います。  関連して、生産緑地、2022年問題で、生産緑地の問題がよく報道されていますが、今年度の報道があった中でいうと、東京都は生産緑地を買い取って高齢者が技術支援を受けながら農作業に取り組める農園にする事業を始めることになり、新年度予算で10億円を盛り込むというような報道もありました。神奈川県で生産緑地がどれぐらいあって、このままだとどれぐらい生産緑地が減るのか、私も麻生区というところに住んでいますが、生産緑地が減ってきています。これ、神奈川県として、生産緑地に対し、どういうシミュレーションを持たれているのかということを伺いたいと思います。

農政課長  県内の生産緑地の面積ということでございますが、平成28年12月末現在でいきますと、1,336ヘクタールということでございます。これが今後どうなっていくかということでございますが、最近の状況を見ますと、大体、年間20ヘクタールぐらいずつ減っているという状況がございます。これは、指定から30年という期限、平成34年、それを迎える前にそういった状況が発生しているということですので、何もなくてもそういう形で推移しているというふうになります。

石川(裕)委員  今、20ヘクタール減っているということですが、2022年以降はどういうシミュレーションなのでしょうか。

農政課長  30年の期限を迎えますと、所有者の方は市に対し、買い取りの申し出というのができます。それを受けて、市が買い取りできないということになりますと、他の人で使える方がいないかという、農業者に対するあっせん等が行われまして、それも難しいということになりますと、開発の制限等が解除されて宅地等にすることが可能になるということでございます。  そういう状況の中で、これは東京都で生産緑地の所有者の方を対象としたアンケート調査等がございますが、神奈川県とそれほど変わらないような状況であると思いますので、そういったことから考えますと、平成34年で3割くらい減少する可能性があると想定しています。

石川(裕)委員  そうすると、2022年のところで3割減というと、今、1,336ヘクタールという数字を見ていただくと、1,300ヘクタールとしても390ヘクタールは減るのかと理解をします。そういう中で、県として生産緑地を積極的に保全していく考え方を明確に打ち出すため、神奈川県都市農業推進条例に生産緑地等の保全を盛り込む条例改正を検討しているとしています。県内に1,336ヘクタールの面積のある生産緑地、県はこれをどれぐらい守ろうと考えていますか。

農政課長  先ほど申し上げた、年間20ヘクタール、こういった減少が今後も続いていくとなりますと、平成34年ぐらいに1,000ヘクタールぐらいに多分なるのではないかということでございます。それから、東京都の調査結果等を参考にしますと、そこから一気に3割程度減少する、そうならないように、なるべく営農していただき、農地を保全していただけるように生産者の方を補助できるような事業ということでこういったものを進めさせていただいたというふうに考えます。

石川(裕)委員  東京都のように、財政が裕福な県ではないと思っていますので、そこは理解しますが、先ほども申し上げましたが、神奈川県として、生産緑地を積極的に守っていくのだということを明確に打ち出すと言っているのであれば、生産緑地はこれぐらい守るのだという具体的な面積の目標を持つべきだと思います。これは当然、土地を持っている方の意向というのもありますが、例えば700ヘクタールを守ろうというのであれば、そこは守る。そのために何とか買い取りができないのかとか、県で持てないのかとか、そういう方策が出てくると思うのですが、そういう具体的な数字というのは持たれているのですか。

農政課長  数字については、具体的にはございません。県として意志を明確にするということで、神奈川県都市農業推進条例の中では生産緑地あるいは市街化調整区域の農業振興地域、こういった具体的に、どの農地を保全していくのかということが明記されておりませんので、その辺を県として意思表示するよう、条例改正を進めていきたいと考えています。それに併せて、保全に関係する市等との認識を共有できるように取り組んでいきたいと考えています。

石川(裕)委員  少々不安な部分もありますが、県として各市町村と連携をして、生産緑地というのを守っていかなければいけないと思って質問させてもらっています。  最後、要望になりますが、生産緑地に限らず、都市農地を残すということは、御答弁もありましたが、災害時の緊急避難場所としての機能や水害対策、そして田園の風景を守るというようなこともありますし、麻生区の黒川という地域でいけば、小学生などの環境学習の場にもなっているわけです。是非、この数字的に、どこをどれだけ守るのだということを明確にして、生産緑地を残していただきたいと思います。

環境農政局長  今の質疑の中で、課長の答弁は間違ってはいないのですが、確かに直接農家にヒアリングしているわけではないというのはそのとおりです。県内でも既に御案内のとおり、横浜、川崎、相模原、大和と同じように、生産緑地なり、農地を保全していこうという補助制度があります。ですからもちろん、我々もこの制度を設けるときには広域自治体として、もっと19市に広げていきたいので、こういったところと手を組みながら広げていく、そのためには、もちろん先行している東京都のメニュー、それぞれの市でやっているメニューなどを参考にして、我々はどれでも選べるようにマックスでメニューを用意させていただいています。ですから、全部把握していないとか、調査していないということではもちろんありません。  それからもう一つ、どれだけ守っていくのかというのは、我々も議論はしました。国でもいろんな議論はしましたが、最終的には、これも法規制していくしかないのです。ただ、国側もそこまで踏み切るかどうかという判断の中で、国はやらない。そうしたら、あとはどうインセンティブを設けるかという部分でありまして、我々の気持ちとしては当然、現状を維持したいというのはもちろんでありまして、それを、3割減らしても良いのか、4割減らしても良いのかという、そういった判断は極めて難しいわけであります。それも、これからきちんと市町村と認識を合わせて、色々な形でやっていきたいと思っております。