石川(裕)委員 続きまして、これも昨年質疑をさせていただきました地球環境戦略研究機関補助金について、IGESについて質問をさせていただきます。  昨年の12月、当委員会で質疑を行いまして、補助金が8,000万円以上出ていると、20年間で27億円の補助金が計上され、使われていたということを確認させていただきました。今回、この報告書類を見させてもらうと、平成30年度も同じくといいますか、200万円多く8,854万円の補助金がまず計上されています。昨年よりもこれ200万円増額されているのですが、この200万円が増額されている理由というのは何かあるのでしょうか。

環境部長  研究機関補助金は、平成29年度、30年度とも同額で、8,645万5,000円、それから、用地管理費として209万2,000円、これを合計して8,854万7,000円ということで予算説明書には記載しております。これは、平成29年度も同額として書いています。それから、施設借上げ事業費ということで、これは、平成29年度が2億1,597万5,000円、平成30年度が2億1,328万6,000円ということで、268万9,000円の減額となっております。

石川(裕)委員  そのほかに借上げという、また同じ項目に借上げ事業費として2億1,300万円が計上されています。借上げ事業費は、いつごろから支援事業としてまず行っているのかということと、また、金額について、今回、平成30年度は2億1,300万円余なのですが、平成29年度もほぼ同額だったのかということを伺いたいと思います。また、それ以前も同じぐらいの金額だったのかということを伺います。

環境計画課長  IGESの施設賃借料の県の負担でございますが、IGESが今の場所に建設される前、平成10年度から県で負担を行っております。予算額につきましては、前年度並みの予算を計上しているということでございます。

石川(裕)委員  昨年、このIGESの質疑をさせていただきました。その際に、IGESに対して20年間で27億円の補助を行ってきた、それで、県民にどのような還元をされているのかということを伺ってまいりました。この20年間で27億円の補助の中に、この借上げ事業費というのは入っているのでしょうか。もし、入っていないのであれば、総額何年で幾らぐらい借上げ事業費を計上してきたのかお伺いいたします。

環境計画課長  27億円の中には、施設賃借料は含まれておりません。平成10年度から平成28年度までの賃借料の総額は約36億円になります。

石川(裕)委員  36億円という金額は非常に驚きなのですが、昨年、県民還元という観点から、この補助金について質疑をさせてもらいましたが、その際に、この金額について御答弁がなかった。これ両方足すと、もう20年間で60億円ぐらいのIGESに対しての補助というのですか、家賃借上げ事業は、これはまた別なのかもしれませんが、60億円、20年間で支払われているというふうに思うわけです。これは、前回も伺い、御答弁ありましたが、県民還元として、COPセミナーそして子供向けの自然観察会、そして講師派遣という話がありました。そして、IGESからは、私もIGES、昨年質問させてもらう前に直接行かせていただいて担当者の方から話を聞きましたが、神奈川県からアプローチはゼロとは言わないが、アプローチがあれば積極的にお手伝いをしますよというお話がありました。  改めて伺いますが、県がこれだけ厳しい800億円の財源不足と言われている状況の中、8,854万円、200万円増額された理由は後で聞きますが、そして借上げ事業として2億1,000万円を計上して、このIGESに対して、どうやって県民に還元を求めていくのですか。

環境計画課長  12月に石川委員からいろいろと御指摘をいただきました。県としてもやはりIGESに対してアプローチをしていかなければいけないということで、私どもとしましても、要求はIGESと次年度に向けて協議を進めているところでございます。  こうした中で、例えばIGESが得意分野である地球温暖化対策、こういったものにつきましては、例えば県内の産業界におきましても、これまで以上に温室効果ガスの削減とか国際貢献が認められている状況でございます。こうした企業の取り組みを支援するために、懸案の地球温暖化対策を対象としたセミナーの開催とか、あとは日本の本当に優れた低炭素技術を発展途上国に提供することで、日本の二酸化炭素削減の目標に活用する二国間プロジェクト、こういったものもIGESからアドバイスをしていただきたいと、そういったことをやっていただくように要請してまいりたいと考えております。  また、現在、閣議決定がされたところでございますが、気候変動適応法が法制化される見込みでございます。こういったところにつきましても、IGESと連携、協力し推進をしてまいりたいと考えているところでございます。

石川(裕)委員  私は今、県民関連、神奈川県民にどう還元をするのかという質問をさせていただきました。今の御答弁でいくと、別に神奈川県でなくても、それは国の事業として対応すればいい話でもあると感じるのです。なぜ神奈川県が、もう20年間で60億円もの補助事業をして、そしてこの神奈川県民に対してこの60億円で、どうやって神奈川県民に還元をされたのか、これを私は伺いたいわけです。もう支払ってしまったお金はどうこうできないので、これから先、2億円も払います、補助金も200万円上がりましたという中で、県民還元、例えば今まででいくと、セミナーをやりましたというお話はありました。自然観察会もやりますというお話もありました。では、平成30年度はどれだけ県民の人に参加してもらうという具体的な数字は持たないのですか。

環境計画課長  まだ、具体的なセミナーの内容とか参加人数については、今月IGESとも打合せをして具体的に決めていこうと思っております。また、先ほど適応策についてはお話をさせていただきましたが、適応策というのはやはり地域ごとによって対応策が異なるというところもございますので、神奈川県民にとっての適応策というものを検討していくということは県民還元につながるものと考えております。

石川(裕)委員  では、質問の角度を変えますが、元々、IGESを誘致した目的は何ですか。

環境計画課長  当初の狙いでございますが、環境分野における国際貢献、県内の環境人材育成の促進、研究成果のフィードバック、それから最後になりますが、県内大学や研究機関への好影響、こういったものを狙いとして誘致をしたものです。

石川(裕)委員  今の目的なのですが、では、この20年間でその目的はどこまで達成されたのですか。

環境計画課長  今まで、セミナーとか、それから大学につきましても、県内の例えば慶應大学とか学術機関で言いますと、神奈川の湘南国際村アカデミア連合会、それからかながわ国際交流財団と連携してセミナーを行うなど、様々な主体と共同したセミナー等、地域還元となっておりますので、そういった中で十分ではないかもしれませんが、ある一定程度の地域貢献はできているものと考えております。

石川(裕)委員  今の御答弁の中で、大学と連携をしているというお話もありましたが、慶応大学、これは民間の私立大学ですよね。慶應大学と連携すると、これは県民還元というのは、どう県民還元なのですか。

環境計画課長  神奈川県民全員にということはなかなか難しい部分がございますが、慶應大学のように、特定の人かもしれませんが、そこから神奈川県の地球温暖化対策というものの裾野を広げ、いろんな方に広めていくことができると考えておりますので、そういった中では意味があるものと考えております。

石川(裕)委員  私は意味がないとは言っていないわけです。県民に直接還元をどのようにされるのかということを、伺っているので、この後、里地里山とかもやりますが、非常に予算が厳しいところもあるわけです。そういう中で、先ほどの先行会派では鳥獣被害対策についても厳しい予算でやっている中で、ここに20年間で60億円という補助金で、今年も2億円を、そして200万円ふえた補助金といったところで、事業の補助を出し続ける意義というのは何なのですか。

環境計画課長  12月のときにもお答えさせていただいたところでございますが、やはり、運営費につきましては、IGESを誘致するときに安定的な経営をというのが、こういった長期的な研究を行う上では必要だということで、約束をさせていただいているという経過でございます。これまでは、補助金額についてもある時期には見直しをして減額をしているというところもございますので、必要に応じてそういった補助金等につきましても精査をして、IGESの方とも話合いをしていきたいと考えております。

石川(裕)委員  こういう誘致をするときの目的を伺いましたが、神奈川県に住む県民としては税金を納めている、それでIGESを誘致したという効果というのは、例えばそこで経済波及効果がある、そこの地域の商店にお客さんがふえるとか、もしくは雇用がふえるとか、そういう直接的な波及効果というものを期待する部分は多いと思うのですが、IGESについては、私も見させてもらいましたが、葉山という地域にあって、これの経済波及効果というのはどのように見られているのでしょうか。

環境計画課長  なかなか経済効果という部分になると、直接的に葉山町の住民がふえているかというと、例えば研究員の方とかは一部葉山町とか周辺の都市にお住まいになっていらっしゃるということはございますが、限られた経済効果であるかもしれません。一方では、例えば、横浜ですがISAPとか、そういったところで大きな国際会議が開かれております。中では1,000人規模のいろいろな研究員の方が来ておりますので、そういった中で経済効果は出ているものと考えております。

石川(裕)委員  意見、要望を申し上げますが、補助金が今回8,854万円、200万円補助金としては上がった、この報告書によると、昨年度より上がったことになっております。そのほか、借上げの補助で2億1,000万円を、県が誘致した事業であることは理解をしますが、例えば講師派遣とかセミナーとか、IGESに依頼をすれば、講師料とか交通費とか会場費も含めて8,000万円もかからないわけです。そして、改めて申し上げますが、県の予算が厳しいと言われる状況の中で、県民還元の成果が明確に答えられないという事業であれば、私は、もうそろそろこのIGESに対しても補助の見直しを検討する時期に来ているのではないかということを強く指摘しまして、次の質問に行きたいと思います。