石川(裕)委員
私の方から台風第21号の被害報告と、それに関する補正予算のことについて伺ってまいりたいと思います。
まず被害報告の農業分野のところで伺っていきますが、農業被害で藤沢市、茅ヶ崎市、厚木市にそれぞれの被害の記載をされていますが、私が選出されている川崎市でも多少被害があったという話は地元の方から聞いています。今回10万円未満のものは記載を省略されていると記載がされていますので、それに至らなかったと理解しているものの、まずこの被害状況の取りまとめの仕方、政令市も含めた取りまとめの仕方に、何かルールはあるのですか。
農業振興課長
 農業被害の関係でございますが、各地域県政総合センターと横浜・川崎地区の農政事務所で、地域の農協と市町村からの情報、また農業技術センターとしては農家からの情報を集約いたしまして、状況の現地調査を行って、被害を受けた作物の種類、また被害の状況と程度などを取りまとめているところでございます。
さらに、農業振興課では各地域県政総合センター等が取りまとめた情報を受けまして、その作物が被害を受けなかった場合に想定される標準的な面積当たりの収穫量、また販売価格などから、被害額を算定してございます。今回川崎市につきましては、ネギあるいはカブなどで葉の損傷などが報告されておりますが、被害額が10万円以内と算出されたため、この書類には記載されていない状況でございます。

石川(裕)委員
他地域でも川崎市以外でもそういう被害10万円未満は記載されていないと思うのですが、先ほど先行会派の質問もありましたが、そういう中で、県がどのような支援を行っていくのか。台風は台風第21号だけの話ではなくて、これからも来ることもありますし、それに備えなければいけない部分もあって、国の今回適用外であった低利の融資も申請がありません。共済も支払われていません。先ほどそういう御答弁がありましたが、被害が400万円とかあった中で、何で融資の申請がない、若しくは共済を支払われない、農家から見れば非常に困った状況だと思うのですが、なぜこれらが使われないのですか。
農業振興課長
 共済につきましては、基本的には個人が入る保険制度でございまして、毎年の掛金の関係等また使える作物等もございますが、今回の場合はそういった事例に当たらなかったということでございます。支援ということでございますが、若干聞き取り等も状況把握ということで行っておりまして、被害を受けたが、ネギなどの葉っぱが折れたが、出荷ができたという状況でございました。また、カブなどもA品がB品に、市場の評価が下がったということはございません。個々の点を見ますと結果的に経営に大きな影響を与えるような被害になっていないという状況を受けまして、今回そういった大きな補助の発動はしていないという状況でございます。

石川(裕)委員
今回は台風第21号の被害はあったものの、最小限で済んだという部分があるのかもしれません。台風の巨大化は、環境の問題にもなるのでしょうが、例えばこれから農業の振興、新規就労者を増やしていこうと神奈川県で進めていこうとする中で、当然天候に左右される仕事だと思いますが、ダイコンが全滅してしまったとか、そういうときに神奈川県はどういう支援ができるのですか。
農業振興課長
 災害の関係では、低利の融資ということで基本的には制度を設けてございますし、また被害の面積や程度によっては、過去に大雪の被害では国庫事業もありましたが、県あるいは市町村も助成をいたしまして、復旧に向けた支援を行ったということがございます。状況に応じてそういったことも対策を講じていくことになると考えております。

石川(裕)委員
補償の話になるので、その被害の状況によって、当然県の対応も変わってくるのは十分理解するのですが、例えば地元の麻生区にセレサモスという大型農産物直売所があります。そこに直接出荷をされている農家もいらっしゃいます。また、それとは別に例えば市場に出している方もいらっしゃればレストラン等々に直接出している方もいらっしゃると思うのです。スーパーで取引されている方たちもいらっしゃると思うのです。そういう中で今回のように被害に遭われた方について、販売先のルートが一回途切れてしまうことがあるわけです。そのときに途切れてしまった後、例えば神奈川県に出していたのだが、例えば群馬県とか栃木県とかほかのところからスーパーが仕入れてしまって、今度自分たちが入る余地がなくなってしまう、そういう心配もあるわけです。そういうことに対して県として、何か支援みたいなものがあるのでしょうか。
農政課長
 スーパーなどと契約栽培に出荷しているとき、そういった災害を受けたときの対応ということでございますが、通常は災害等で契約した数量が出荷できなくなった場合、生産者側は責任を負わないといった契約条項を設け、あるいはお互いスーパーと生産者が双方の信頼関係によって契約が成り立っているという状況がございます。1回の災害等で直ちに契約が解除されることはないということでございます。
また、災害等の備えとして、生産者側では契約した分より余分に作付をしたり、あるいは作付する場所を分散したりしています。また、間にJAとか仲卸業者が入っている場合もございますが、そうした場合は、委員から話もあったとおり、そういった仲介する業者さんは他産地を仕入れて対応している状況でございます。
したがいまして、その契約が解除されるようなケースは非常にまれだとは思いますが、そうしたケースにも対応できるように、県としましては、生産者とスーパーあるいは飲食店など等の技術者との商談、マッチングの場所として、かながわ農林水産マッチング商談会を開催して支援しているということでございます。

 石川(裕)委員
マッチング事業があるというお話でしたが、実際に、マッチング事業のときに、こういうお話をされているのですか。例えば契約については、当然踏み込んでいく話になってくるので、県がどこまで対応できるか分かりませんが、そこまでフォローはされているという理解でよろしいですか。
農政課長
 マッチングは、生産者側とスーパーと技術者とも双方の相談、商談の場ということですので、県としては基本的にはそういった場を提供させていただくということでございます。
ただ、この商談会の実施に当たって民間事業者の方に委託して実施しておりますので、その商談会の日だけではなくて、その後のフォロー等について、契約に結び付くように御支援をさせていただいているところです。

石川(裕)委員
農業関係はこの程度にして、次に水産業関連について伺いたいと思いますが、今回の被害で一番被害金額が大きいのが水産業の被害でありまして、そういう中で、県漁連、沿海漁業の漁業組合の被害金額をいろいろまとめられていますが、これは3億4,000万円以上の被害金額になっているのですか。これは具体的にどういう内容で3億4,000万円を超える金額になるのでしょうか。
水産振興担当課長
 漁業被害の約7割を定置網漁業の被害が占めてございます。定置網は規模が大きな漁具であり、大型の定置網になりますと大きさが400メートル以上もあり、資材費も3億円から5億円もかかってございます。また、小型の定置網におきましても、資材費が2,000万円から3,000万円もかかるものがございます。その定置網が台風の波浪により全壊あるいは一部破損するということで、多額の被害が発生してございます。
そのほか漁船の被害につきましても、通常の5トン以上の漁船の建造費はおおよそ2,000万円から、高額なものでは8,000万円を超えるものもございます。このような漁船が破損してしまうことにより、多額の被害が発生してございます。こうした被害の積み重ねにより、被害額が高額となってございます。

石川(裕)委員
今、具体的に言ってもらいましたが、船は1隻2,000万円から8,000万円にするということは分かりますが、横転した船がそれぐらい高価な船であった、これは横転・損壊・流失とありますが、どれぐらいの規模の船が横転し、損壊し、流出してしまったのですか。
水産振興担当課長
 主に漁船の関係で横転した漁船が多いのは、船外機船と小型の船舶でございますが、漁港にとめてあった5トン船も、港に揚げてあったものが倒れて傷つき、その修繕費ということで、その積み重ねがこのような金額を増やす原因となっております。

石川(裕)委員
農業の場合は、先ほど伺いましたが、被害金額の出し方について先ほど御説明がありました。今回漁業の場合のこの被害の金額で上がってきているのが、その防波堤だったり漁港だったり、船が倒れてしまったとか損傷してしまったということです。漁獲に対する被害は出てこないのですか。
水産振興担当課長
 今回の数字の把握につきましては、破損したものを現状復旧することについて幾ら要するかという形で算出してございます。

石川(裕)委員
では、その漁獲の船が例えば何日間か休まなければいけないわけです。そうすると漁に行けないわけです。そうするとその漁の漁獲高について、農業の場合、被害金額は出てきます。でも、漁業の場合、そういう金額は出てこない。報告の仕方はそういうものなのでしょうか。
水産振興担当課長
 水産業の場合は、例えば、その船が壊れて直すまでにどれぐらいかかるかという問題もございますし、農業のように手元に作物があるわけではなく、船によって出ていきますので、被害金額の算定は、その時点では非常に難しいということでございます。

石川(裕)委員
先ほど日下委員からも漁業の従業者数の話もありました。農業の話もそうですが、漁業も就業者数が少なくなってきているという話があります。漁業に対して、今回は別でしたが、農業は国の補償の適用がある。漁業の場合、そういう被害を受けた漁業関係者には、生産ということでの補償はないのですか。
水産振興担当課長
 漁業にかかる水揚げ等の補償につきましては、漁業系統団体でございます全国漁業共済組合が実施しております漁業共済の中に、漁獲共済がございます。これは当年度の漁獲が過去5年の平均の漁獲に比べて劣った場合、その分を一部補填するものでございます。
それから、同じく漁業共済の中に休業補償共済がございまして、これは休業して休んだ期間によって減収したものの一部を補填する制度はございます。

 石川(裕)委員
県として漁業従事者に対して、船がこうだ、漁港がこうだという被害金額は分かりました。例えば今後も台風がある、そういうことがあった場合に、その漁業従事者に対して、農業の場合はなかなか難しい部分があると思いますが、県の補償の考え方は漁業も同じような形なのですか。
水産振興担当課長
 水産業の場合、現時点では、県が直接漁業者個人あるいはその漁業を経営する法人の方々へ定置網や漁船などを補償する制度はございません。ただ、過去に平成23年の東日本大震災の津波のときに、本県においてワカメ養殖施設に大きな被害が生じた際、国の助成制度を利用して、被災した漁具の撤去等の支援をしてございます。今後も今ある漁業共済制度や漁業制度資金で対応し切れないような甚大な被害が生じるような場合は、必要な支援の方法を検討してまいりたいと考えてございます。

石川(裕)委員
最後に、先ほど漁業の魚を採る、魚を食する人、食する量が減ってきているという御答弁が先行会派の中でありました。それを増やしていかなければいけない。県でいろんなものを作っている。私は宇和島市に行って、みかんブリを見てきました。とあるチェーンのおすし屋さんがそれを提供することによって、そのみかんブリが非常に有名になって、今大分人気みたいです。昔カレーライス、ハンバーグ、オムライスといって、今の子供に好きなものは何かといったら、大体2番目におすしと来るらしいのです。魚の消費量はこれからも、きちんと宣伝すれば魚の消費量は伸びていくと思うのです。
神奈川県もそういう意味で、何かみかんブリみたいな、持っていき方はできないのですか。研究はされていないですか。
水産課長
 神奈川県の場合ですと、魚類の養殖はやっておりませんが、別途今三浦半島で、磯焼けが発生して、その回復が重要な内容の一つだと申し上げました。そういった中で、磯焼けの持続要因になっているムラサキウニというウニがございます。それを三浦の名産でありますキャベツの残さを餌として与えたところ、非常に甘くておいしいという御評価を頂いております。そういったことを捉えながら、みかんブリと似た形で、三浦半島に行けばこういうものが食べられるものを作っていきたいと考えております。また、例えば三崎の場合ですと、マグロがあり、相模湾全体ですと定置網でいろんな魚が採れますので、そういったもののブランド化について、県としても取り組んでいきたいと考えています。

石川(裕)委員
最後に要望になりますが、農業しかり漁業しかり、就業者数のこともありますが、しっかりとその方たちが生活できる支援を県として行っていただきたいと思います。