石川(裕)委員
続きまして、かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画について伺ってまいりたいと思います。
水源林の確保の目標面積について、相続人が多いなどの課題が上がっていて、今後の見通しという話が先行会派の答弁でありました。そういう中で、達成しない場合のデメリットを教えていただいてよろしいですか。
水源環境保全課長
 確保できなかった森林整備の箇所が具体的に影響することになろうかと思います。全体的な面積の中で、そういうところがなるべく少なくなるように、県全体として水源管理の機能がきちんと発揮されるようにしていく方向でやっていきたいと思います。

石川(裕)委員
この報告の中で、事業費はもともとの事業費の予算と比べて113.4%かかっている。水源林の確保は97.1%となっている。予算が超えているのはどういうイメージなのでしょうか。整備でお金がかかったということなのですか。
水源環境保全課長
 確保に幾つか手法がございます。手法により費用が異なってございます。当初の積算と比べて、実績の差が出ているということが一つございます。
委員からお話のありましたとおり、費用について整備の進捗率が100%を超えているものを合わせると事業費に対する実支出額の割合は113.4%になります。

石川(裕)委員
そういう中で、水源林の確保の最終の目標面積というのがどれぐらいかということ、そして、その最終目標に対してどれぐらいの進捗率なのか伺ってよろしいでしょうか。
水源環境保全課長
 水源の森林エリアの私有林の面積は全体で4万2,000ヘクタールほどございます。このうち、確保の対象としている手入れの必要な森林については2万5,800ヘクタールと積算しております。
このうち、今回御報告させております1期、2期の合計で、1万1,662ヘクタールを確保しております。これ以外に、この以前に、平成9年度から平成18年度までの間、特別な税を頂く前の一般的な対策で行っていた時代に確保した面積を加えますと、合計で1万9,736ヘクタールになってございます。
2万5,800ヘクタールという最終的な目標に対する1万9,736ヘクタールということで、進捗率で申し上げると76.5%になっております。

石川(裕)委員
そうすると、第3期の目標は、あと23%ぐらいということでよろしいのですか。
水源環境保全課長
 第3期の目標は、2,700ヘクタールで目標を立てております。
この内訳を申し上げますと、先ほど申し上げた2万5,800ヘクタールに対して、この目標を策定する時点では、2期までで2万400ヘクタールを見込んでおりました。残りが5,400ヘクタールということになります。この第3期と第4期が控えているところの10年間で、5年ずつに分けて2,700ヘクタールと積算しております。

石川(裕)委員
急に第3期から弱気な目標数字になっているのですが、今まで5,000ヘクタールという数字になっています。何で急に、この第3期、第4期は低い確保目標なのでしょうか。
水源環境保全課長
 数値目標としては減っております。先ほど申し上げた、全体として、手入れが必要なため、確保しなければならない森林は2万5,800ヘクタールを見込んでおりました。その中から、既に70%強を確保しているので、残りを確保するということで、差し引きの結果このようになっています。一点説明させていただければ、確保したものを、今後整備をしていくことになっていきます。まずきちんと確保していく。その後に整備していくということです。確保について、全体的には前倒しをして進んでいる状況でございます。

石川(裕)委員
今の御答弁ですが、第3期でもう確保してしまって、第4期はもう整備の段階だという捉え方もできると思うのですが、そういうことにはならないのですか。
水源環境保全課長
 今おっしゃるとおり、例えば第3期で残った5,400ヘクタール全てという考え方もあろうかと思いますが、全体的な業務の平準化として考えなければなりません。今回の計画においては2,700ヘクタールずつということで計画を立てさせていただいております。

石川(裕)委員
それに対して、環境整備における林業の新規就業者について関連して伺っていきたいと思います。目標が75人に対して、実績が57人と下回っています。先行会派でもお話があったかもしれないですが、御答弁をいただいてよろしいでしょうか。
森林再生課長
 まず、75名の目標の設定ですが、かながわ水源環境保全・再生施策が始まった平成19年度に、今後増大が見込まれます森林整備の業務量などから、今後必要となる労働者数を算定した結果、平成29年度に森林整備がピークを迎えることもございまして、この10年間で50名の新規増が必要となります。それから、高齢の方でリタイアされる方もいらっしゃいますので、そういう方をカバーする者として100名の若返りが必要ということ、全体で150名、10年間で育てていきたいという目標を設定しています。年間15名ずつ、5年間で75名という計画でやらせていただきました。
その結果ですが、かながわ森林塾で実際に演習林実習コースまで修業していただいた方は、これまで5年間で84名、年平均しまして17名ほど修了しているのですが、最終的に就職に至った人数が57名にとどまってしまったということでございます。

石川(裕)委員
今、目標に対して進捗率76%ということなのです。高齢のためやめる方がいらっしゃるということですが、今の目標の57名で大丈夫ですか。
森林再生課長
 57名で若干、下がった数字になっております。その一つの背景といたしまして、これまでにやっていた森林整備であるとか、あるいは間伐材の搬出の労務に係る効率性が機械化等によって進んできて、当初計画していたよりも少ない人数で森林整備が可能になったこともあると思います。それから、実際には57名という数字なのですか、正規には雇っていただけなかったのですが、日々雇用で、昨年度も3名ほど雇っていただいています。そういう方でカバーする方法がございます。そういった中で、今現在、森林整備に特段の支障がない状況で整備が進んでいると考えています。

石川(裕)委員
県で、年間15名ずつ新規就業者の計画を立てていって、最終的に75名という計画を立てているということです。地元産業として、そこまで人数を正直必要としていない、機械化が進んでいる、県の思いと現場の人たちについて、人数のギャップがあると思うのです。その辺についてどうなのかということと、そして、この目標数字である75名を、あえてもう少し低くしてもいいと思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
森林再生課長
 ギャップという点につきまして、県としては、これまでの労務に関わってきた労働者数から森林整備業等で必要な人数の算定をしているのですが、実際業務をやられる方といたしましては、将来的にどれぐらい必要なのか考えていると思います。雇ったとしても、10年、20年先にどれぐらい森林の整備業があるのか。長期的に見通しが立たない中で、必要最低限の雇用にしたいということがあるため、どうしてもギャップが出てしまった結果と認識しております。
そういったことを踏まえまして、また、先ほど確保量の話でございましたが、第3期以降に向けては、今後さらに10年後の森林整備業や、先ほど申し上げた作業の効率化が進んだ部分等を改めて検証し直しまして、第3期以降の目標を年間10名に下げて取組を進めていこうと考えております。

石川(裕)委員
県で目標としている人数は、当時その現場の方に、いろいろヒアリングして、整備に必要な人数を計画した結果だと思うのですが、目標については柔軟に上げ下げする必要があると思います。76%だから悪いということではなくて、逆に、76%だが、今現場としてはこういう状態だから、57人が適正かどうか、きちんと把握していく必要があると思います。
また、第3期以降は、10人に目標を下げるということです。下げたからいいということではなくて、例えば、本当に林業を引退される方が急に多くなるということもあるかもしれません。その辺はヒアリングをきちんとしていただきたいです。
一つ、所管外なのかもしれませんが、この報告の中でもありますが、水源地域の活性化ということでイベントをやっているということですが、この水源環境の関係者の方たちはどういうふうに関わっているのか伺いたいです。
水源環境保全課長
 神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略2016の報告の中の地域資源を活用した魅力づくりというところの、ダム湖と周囲の自然環境を生かした水源地域の活性化のイベントについてですが、これにつきましては、所管は政策局の土地水資源対策課水政室が所管しております。
観点としては、地域振興という中で、やまなみ五湖と呼んでいる地域に人を流入させようという観点でやっているものと承知しています。水源環境の保全・再生、正しく水源環境を守るという観点でやっております。直接的にここに何か関わっているということではございませんが、例えば、啓発のため、しずくちゃんという着ぐるみがあるので、土地水資源対策課から要請があって、イベントに参加する形でやっております。

石川(裕)委員
所管が違うということですが、この神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略2016の報告書を見ると、水源地域の自然環境を生かしたイベントなどの開催で、水源地域への交流人口86万人という報告がなされているわけです。
こういうときに、待って受けるのではなくて、積極的にイベントを活用していくべきだと思うのです。その点について、縦ではなくて、横の連携だと思うのです。私たちは普通に水道の水源地のことを考えて生活しているかというと、日々の生活に追われていて、そういうことはないと思うのです。こういうときこそ地域の方、県民ではない方もいらっしゃるかもしれないですが、チャンスだと思うのです。その辺について、もっと積極的にイベントを進めていくべきだと思うのですが、その点についてはどうですか。
自然環境保全課長
 水源地域のイベントによる、水源地域への交流人口は86万人という報告については宮ヶ瀬ダム湖周辺での数字だと存じます。宮ヶ瀬湖ダムは県民の水がめということでございます。この地域は丹沢大山自然公園の区域の中にございます。環境農政局といたしましては、鳥居原と呼ばれる宮ヶ瀬湖畔の施設、ダムサイト、施設の園路、ピクニック広場といった整備の担当をさせていただいております。来客者について、86万人のうち約40万人の方は、環境農政局が施設整備をしたところを御利用もいただいております。有名なところですと、クリスマスの季節には、モミの木のクリスマスツリーを多くの方に親しんでいただいております。

石川(裕)委員
おっしゃることも分かるのですが、積極的に関わっていくべきだと思います。違う局の方が頑張っていただくのも必要ですが、環境農政局も関わりを持っていくべきだと思います。ほかの神奈川県まち・ひと・しごと創生総合戦略2016のところでもあるのですが、もう少し連携をとるべきではないかと思いました。そこだけは申し上げておきたいと思います。
5か年計画の第3期ですが、第2期の5か年計画を踏まえて、第3期のところの対応について聞きたいのです。先ほど就労人数の育成については、人数を減らしていくことがありました。水源林の確保について、今回は、第3期の整備面積の目標は残りの半分となる2,700ヘクタールということでありました。水源林整備について、1万3,400ヘクタールという目標を立てていますが、第2期でやってきたところの課題もあると思うのです。その課題に対して、第3期はどのように進めていくのか伺いたいと思います。
水源環境保全課長
 今お話しになりました第1期、第2期の5か年計画の取組によりまして、森林の荒廃の進行など、施策を導入した当時に危惧されていた課題に対して、まずは重点的、集中的に取り組む。森林では下層植生の回復、ダムの上流域におきましては生活廃水処理率が改善されるなど、おおむね全体としては順調に進捗して成果を上げてきたと捉えております。
しかしながら、個々の施策を見ますと、進捗率のばらつきに課題もあります。また、施策の導入時には予見されていなかった、県西地域におけるぜい弱な地層の崩壊による森林被害があったり、シカの分布域の拡大による丹沢大山の周辺での林床植生への影響があったり、こういったものが新たな課題として出てきております。また、県内の水源保全地域の状況について、県全体で比較をしますと、生活排水対策で遅れをとっているという地域がございます。こうしたところから、ダムの下流域までの生活排水にも目を配って、対象にすることが必要なのではないかという課題がございました。
そこで、第3期の計画の策定に当たりましては、今申し上げたような課題を踏まえまして、一つは、土壌流出を防止する取組であります土壌保全対策の推進を柱立てさせていただき、また、箱根山地や小仏山地におけるシカの生息密度の上昇に対応するため、丹沢大山地域で効果を上げている管理捕獲などの取組を、箱根山地、小仏山地に拡大して、シカの定着の防止を図っていく。また、生活排水処理対策といたしましては、第2期まではダムの上流域に限っていた対策を、相模湾水系と酒匂川水系の取水せきの県内集水域まで広げていく、こういった形で見直しをして、第3期で進めてまいりたいと考えております。

石川(裕)委員
今、それぞれ課題と目標をおっしゃっていただきましたが、第2期の課題、反省について、良かった点も含めて、第3期の計画にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。