石川(裕)委員) 続きまして、我が会派の代表質問において、保育士の確保に向けた取り組みについて質疑をさせていただきました。この保育士の確保と、あと昨年私が一般質問で取り上げました病児・病後児保育支援事業について伺ってまいりたいと思います。
 まず、保育士が不足しているという話をよく耳にいたしますが、実際に県内の保育園において、保育士不足で定員の子供を受け入れられないという保育園はどれぐらいあるか伺いたいと思います。
(榊原次世代育成課長) 本県におきましては、県西部を中心にしまして定員まで子供を受け入れていない保育所がございますけれども、その理由は保育所・保育士不足だけではないために、正確な把握というのは困難でございます。なお、平成29年4月に開所予定の保育所等におきましては、政令・中核市を含めまして現在のところ保育士不足で開所できないところや定員まで子供を受け入れられないといったところはないと承知してございます。

石川(裕)委員) 既存の保育園でどれぐらいの定員に達していないか、保育士の数だけではなく、その働き方の問題もありますから、把握ができていない、把握し切れないというところは理解をしますけれども、神奈川県は特区で地域限定保育士という制度を使って、保育士を一人でも多く県内に就職をしてもらおうという努力をされています。
 そういう中で、地域限定保育士、前回1,330名の方が合格をされています。この1,330名の方がどれぐらい県内にとどまるかということがまだわからないというようなことは理解していますけれども、この限定保育士試験を受ける受験理由の中で、神奈川県で働くためにと答えた方は33%、そして複数回答ですので足すと100%超えてしまいますけれども、77%の方は早く保育士の資格を取得したいからこの地域限定保育士試験を受けたというアンケートがあります。
 これは、私は問題だと思うんです。そういう中で、ちょっと1点まず最初にお聞きしますけれども、地域限定保育士試験のあり方、これを見直すということが私は必要だと、この数字だけではないですけれども、いろいろ見ていくと必要があるんではないかと思うんですが、その点について伺いたいと思います。
(榊原次世代育成課長) 地域限定保育士試験制度につきましては、国が昨年11月になりますけれども、制度を見直しまして、実技試験にかわり実技講習会を実施し、その修了をもって合格することとなってございます。私どもで予定しております来年度の県独自の試験につきましては、この実技講習会を実施する予定でございますけれども、講習会には座学に加えまして保育所での見学実習を行うこととなってございます。県内での就職者をふやすためには、現場経験の少ない試験合格者、この方々が就職後も保育士としてやっていける自信を持っていただくことが大変重要でございますので、保育所での見学実習、これを通じまして、本県で保育士として活躍する意欲、自信を持っていただけるように取り組んでまいりたいと考えてございます。

石川(裕)委員) 制度を変えるということはわかるんですけれども、複数回答の中で77%の方が早く保育士の資格を取得したいからというアンケート結果があるわけです。これ3年間、それを過ぎると地域限定の限定が消えるわけですよね。私はこの地域限定保育士試験の大きな目的と意義は、この神奈川県に勤務する保育士さんをふやすことだというふうに理解しています。待機児童対策のために保育園の開園が続いています。私を選出している川崎市でも、待機児童の問題、今抱えています。
 また保育士さんの退職もあったり、離職もあったり、働き方の問題もあると思います。そういう中で、来年度、地域限定保育士試験を実施する中、県内に就職、実際に就職をする人数、前回どれぐらいの方がいらっしゃるのかということを伺ったら、まだこれはニーズを把握していないと。委託先の登録事務処理センターと確認すると、昨年の県民・スポーツ常任委員会でこういうご答弁がありました。これはどうなっていますでしょうか。
(榊原次世代育成課長) 国の登録事務処理センターでございますけれども、県のほうでは、このセンターに対しまして地域限定保育士の登録証を郵送する際に、県からのアンケート調査用紙を同封することをやろうといたしました。しかしながら、センターのほうからは事務処理上の問題から対応は困難というふうな回答をいただきましたので、県では独自に平成28年3月時点、その時点の地域限定保育士の登録者997人の方に対しましてアンケートを実施いたしました。この結果、688人の方から回答をいただきまして、うち保育士として就職する、あるいは就職したというふうにお答えいただいた方が262名の方でございまして、割合にしますと38.1%という状況でございました。

石川(裕)委員) 今262名、38%の方が実際に県内で就職をされた、勤務をされることになったと。1,330名からいくと262名、38%、この数字をどう思われますか。
(榊原次世代育成課長) 前回実施しました地域限定保育士試験につきましては、5,000名を超える方が受験をしていただいた中で、今申し上げましたような就職をしていただくという意向が明確に示された。また、地域限定保育士試験につきましては、制度的に3年間については合格地の都道府県自治体において就業していただく、その有効期限が決められているということでございますので、我々としましては、保育士確保策に一定の効果が見込まれるものというふうに考えてございます。

石川(裕)委員) 繰り返しになりますけれども、私はこの試験をやることが地域限定保育士試験の目的ではないと思うんです。いかにこの1,330人の合格された方が神奈川県に勤務をされて、そして今現場の保育園は保育士が不足している、不足感というんですかね、これが本当にあるんです。この危機感、そしてまた離職もある、そして退職もある、そういう中で新しい保育士さんを探すのに非常に苦労をされている。そういう中で今これは一定程度、262名で一定程度の成果があったというのであれば、これはちょっと私は認識が甘いと思います。ここだけは申し上げておきたいと思います。
 その中で、時間も限られていますので、病児・病後児保育について少し触れてまいりますけれども、昨年の一般質問で、私がこの病児・病後児保育について、県内33市町村のうち病後児を含めた病児保育事業を実施するのは半分以下の15市しかなく、住んでいる地域が違うというだけで同じ行政サービスが受けられないのは、望ましい状況とは言えないという質問をさせていただいた中で、その調査を実施するというふうに答弁がありました。
 この調査を実施されたと思いますけれども、どのような課題があったのか伺いたいと思います。
(榊原次世代育成課長) 県のほうでは、昨年6月に県内の市町村に対しまして病児保育事業の実施状況、課題について調査を実施いたしました。各市町村のほうからは、今後病児保育事業、これを推進していく上での課題といたしまして、年間を通じまして稼働率が低い時期があり、当日キャンセルなども多いことから、採算に合わないが、補助が少ないとったことですとか、病児保育事業の受け手となる事業者の方がいない、さらに、看護師や保育士などの人材の確保が困難だといった課題が挙げられたところでございます。

石川(裕)委員) 稼働率が低い、採算が合わない、そういうことで取り組む事業者が少ないという答弁も一般質問のときに知事からありました。そのときに私は、もしそういうことであるならば、県として、県の医師会や病院協会、もしくは医療機関の諸団体と働きかけをして、そういう病児保育が設置できないかということを市町村に検討することも含めてお願いはできないかという要望もさせていただきました。
 そういう中で、今、看護師の離職防止と就業促進のために、医療施設が開設している院内保育施設の運営費に対して補助があります。この医療施設の院内保育施設と病児・病後児保育事業の連携を図る取り組みをしている医療機関は、幾つあるのか。そしてまた、連携する施設をふやすよう、医療施設へ働きかけをしていくことは検討されているか伺いたいと思います。
(楠保健人材課長) 院内保育事業運営費補助におきましては、病児保育を行っている場合に補助額の加算措置がございます。この加算措置を受けた施設数で申し上げますと、平成28年度補助対象の127施設のうち2病院でございます。今後も、看護師等の離職防止に向けまして、病院など医療機関が補助事業を活用いたしまして、院内保育に加えてこの病児保育を積極的に取り入れていただくよう、県のホームページはもとより、各医療機関に対しましても直接お知らせをするなど、この補助事業の周知に努めてまいりたいと考えております。

石川(裕)委員) 病児・病後児保育という中でいくと、やはり医療機関が看護師さんもいらっしゃいますし、お医者さんもいらっしゃいますので、そしてまた、私の知り合いのところでも病院で病児・病後児保育やられています。やっぱり先生がいらっしゃる、その病院でやっているという安心感というのがありますので、ぜひこの事業も127のうちの二つ、2病院しかないわけですから、これを広げていただくご尽力、ご努力をしていただきたいと思います。
 またちょっと話があれですけれども、私がこの質疑をするに当たって、県のホームページ、会議録の中で調べた結果、この保育士の不足に関して、平成21年に待機児童の問題の中で保育士の確保というものが触れられています。そして、平成23年に保育士の不足対策というものが質疑をされています。少なくとも、5年前、6年前からこの議会で保育士不足というものは言われているわけです。そして、この待機児童の問題は、もうそれ以前からずっと言われ続けているわけです。
 その中で、県は27年1月に3政令市と一緒に潜在保育士の皆さんにメッセージを出されるほど、今、保育士確保が大きな課題であることとされています。毎年こうやって新卒者、県内の保育士特区を使った保育士の試験を受けて、新卒者が毎年出ているのに、保育士不足がなかなか改善しない。この背景というものをどう捉えられているのか。そして一方、東京都では、補助金を多く出して保育士の確保をしていくという中で、県は補助金の競争ではなく─これは代表質問の答弁の中で、補助金の競争でなくて、さまざまな創意工夫をしながら保育士の確保に取り組むというふうに答弁されました。本当に大丈夫なんですか。保育士の有効求人倍率、減少するんでしょうか。もう本当に切実に、小さなお子様を持ったお母さん方は困っているんですよ。そういう中で、行政は結果が求められます。
 最後に伺います。知事も保育士確保にしっかりと取り組むという答弁をされています。ぜひ結果で県民にあらわしていただきたいと思いますが、県民局長、いかがでしょうか。
(茂木県民局長) 保育士の確保につきましては、かながわ子どもみらいプランの目標値、これをつくっておりまして、それをベースに推計をした今後5年間の必要見込数、これを確保していきたいということで、さまざまな対策にこれまでも取り組んでまいりました。具体的には地域限定保育士試験で保育士をふやすですとか、かながわ保育士・保育所支援センターで潜在保育士の復職支援をやっていくだとか、保育補助者の増員による労働環境の改善をやっていくだとか、いろいろやってきました。さらに、来年度は年3回目として県独自として地域限定保育士試験をやって、さらに保育士を確保していく。中堅保育士を対象にした保育エキスパート、こういった制度も新たにつくりまして、就労継続、これも拡充していくというようなこともやっていこうとしています。
 ただ、保育所の整備がさらに拡大していく、保育士が必要だ、保育所が必要だというニーズはどんどん広がってきております。そうした状況の中で、保育所の確保が厳しい状況というのは今後も続くと。現在やっている対策、来年度これでやろうとしている対策、それだけでということではなくて、今後も厳しい状況が続くというふうに考えております。県といたしましては、引き続きあらゆる工夫をしながら、保育士の確保、それと就労環境の改善、これを進めて、神奈川で働きたい、働き続けたいというふうに思っていただけるような仕組み、取り組み、こういったことを市町村と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

石川(裕)委員) もう少し具体的にやはり県民局長にはお答えいただきたいと思います。本当に、何度も繰り返しになりますけれども、川崎市、私、選出をいただいていますけれども、困っています。病児・病後児保育のことも一般質問のときに質問させていただきましたけれども、今、子供が預けられない、そして共働きといったときに、親は仕事をとるか、そして子供をとるか、本当は、本当はですよ、子供をとるべきだと私も思います。風邪を引いた子供を残して仕事に行くということは、本当は子供にとっていいことではないということは理解をしています。でも、そういう中でも仕事をしなければいけないという方もいらっしゃるわけですよ。
 そういう中で、やはり保育士の確保の問題、そして病児・病後児保育の問題というのは、ずっとずっと言われ続けてきている中で、いろいろ、5年前も6年前もこういう対策をします、こういうことをやっていきますという答弁をされています。でも、結果、今まだこれが追いついていないわけですよ。ここを十分認識していただいて、保育士確保に全力を注いでいただきたいということを申し上げまして、この質問を終わります。