石川(裕)委員
まず、まなびや計画のことについて質問をさせていただきたいと思います。
いよいよ来年度がまなびや計画の最終年度を迎える中で、当初平成19年度、事業費約1,000億円をかけて校舎耐震化に取り組むということで進められてきたということを理解をしておりますけれども、その中で、まず、まなびや計画は今現在どういう取組状況になっているかお伺いしたい。
まなびや計画推進課長
 本県では耐震化が必要な校舎につきまして、大規模な補強が必要なものと、それ以外の小規模な補強が必要なものに分類をいたしておりまして、まなびや計画によりまして、現在は大規模補強が必要な校舎の耐震化を最優先ということで取り組んでいるところでございます。
計画初年度の平成19年度から昨年度の8年間で、大規模な補強が必要な校舎は97棟ございますが、そのうち75棟の耐震工事を行っておりまして、大規模補強の耐震化はおおむね順調に進捗していると考えております。
今年度につきましても、新城高校など7棟の耐震化が完了する予定でございます。
先ほどお話がありましたように、来年度には計画最終年度を迎えますが、移転が必要な相原高校などを除きまして、各計画の達成に向けまして、引き続き着実に取組を進めてまいりたいと考えております。

石川(裕)委員
ということは、予定どおり進められて、相原高校は別にしても終わるという理解をいたしましたけれども、当初、まなびや計画を進めるに当たって、事業費を約1,000億円をかけて行うということだったと思うんですけれども、来年度もありますけれども、実際に今年度、1,000億円という基準に対して、今どういう状況なのか教えていただいてよろしいですか。
まなびや計画推進課長
 昨年度までの事業費の予算ベースの総額で申し上げますと、約761億円でございます。1,000億円に対しては、大体約8割弱というところになるかと思います。

石川(裕)委員
予算額に対して決算額というんですか、今使われている金額が761億円ということでよろしいですか。
まなびや計画推進課長
 予算額が761億円でございまして、決算ベースでいいますと約610億円となってございます。

 石川(裕)委員
そうすると、今、150億ぐらい予算と今使われている金額がずれているというか、離れているということなんですけれども、これは来年それを使うのか、それとももう今年のところであれですから、この150億はずれていると、これが生じている理由というんですか、その辺はどのように捉えられているでしょうか。
まなびや計画推進課長
 基本的には、予算単年度主義でございますので、その年度で終了ということになるかと思います。
大体、先ほどお話がありましたように、150億円程度総額で差が出ております。様々な要因があるとは思いますが、工事でございますので、通常何億円という金額でございます。そうなりますと、当然、競争入札ということになりますので、入札残と言いましょうか、執行残が発生してきますので、結果としてそういう形になっているというふうに御理解いただければと思います。

石川(裕)委員
当初は1,000億円ぐらいという予算をある程度見込んで予算を立てたけれども、実際、見積りをとっていくと、今は610億円で済んでいるという理解なんですけれども、そういう中で、校舎を建て替えして改修工事を実際にするということなんですけれども、私、ある学校に行かせていただきまして話を聞いてきたんですけれども、その現場、改修工事をする、若しくは建て替えをするといったときに、教育委員会として学校側とはどんな調整をしているのか、お伺いしてよろしいでしょうか。
まなびや計画推進課長
 高校の校舎の耐震化とか建て替えに当たりましては、まず耐震化でございますので、生徒の安全を第一ということで考えてございます。
また、各学校にそれぞれ教育課程、教育環境がございますので、それが維持されることが第一というふうに考えてございまして、それを基本と捉えております。
学校側と調整の状況でございますが、まず、建て替えに当たりましては、計画の段階で学校と打合せをさせていただいて、どういう施設が必要ですかとか、そういった中で、その後につきましても、設計とか工事の段階でも打合せをさせていただいております。実際に施工に入っても月に1回、2回程度の工事の工程会議等もございますので、私どもの職員と県土整備局の職員が同席をしまして、工程管理をしながら細かいところで、例えばこうしてほしいということがあれば、それについても対応させていただいております。
ただ、建て替えや耐震改修を行っている学校は、かなり前に建てた古い学校が多いので、当時の建築基準法には適合していても、今は適合しないという場合が結構ございます。いわゆる既存不適格ということでございますので、そういった場合は特定行政庁の自治体等の指示に従いながら、法令遵守ということで進めさせていただいているということでございます。

石川(裕)委員
そこで、今、正にお話を受けてなんですけれども、私が視察をさせていただいた学校に行くと、耐震工事されて建て替えされた新しい校舎ができ、また旧校舎があります。そこに本当は渡り廊下が通る予定だったんだけれども、それこそ川崎市の基準に合わなくて、計画のとき、学校側に最初に建て替えのところの説明をしたときには、上の方で渡り廊下がありますよという説明をされた。しかし、去年の秋、学校に、いや、これは実は川崎の基準を満たしていないので、この渡り廊下はできませんと。すると、同じ4階、5階のところでつながるところだったのが、こっちのクラスに行くのに、まず1階におりて、また上に上がっていくということをしなくてはいけなくなった。これが当初の説明のときからあれば、学校側もそう理解をすると思うんですけれども、急きょこういうところに変わったという中で、その学校からPTAとか保護者の方を通して教育長宛てに施設整備に対する要望書が提出されていると伺ったんですけれども、それに対してどういう対応をしていくのかということと、現場の話も聞いているということは分かるんですけれども、こういうことがある中で、1校あると他の学校もあるんじゃないかと疑われてしまうので、こういうことは実際、他にもあるのかということをちょっとお伺いしたい。
まなびや計画推進課長
 先ほど申し上げましたように、基本的には前の施設と同じようなものを整備するということで取り組んでおります。
その学校について申し上げますと、当初、渡り廊下が現状あったものですから、我々も造る方向で進めておりました。いろいろと折衝する中で、川崎市の当局の理解が得られなかったというか、工期等もございますので、例えば今ある既存の建物、これから耐震改修をやるところで、エレベーターを付けていいよとか、いろいろな条件を付けられる中で、そういう選択や可能性を見ている中では、なかなか工期と予算もございますので、無理だなという判断をさせていただきました。学校には最初からお話をすればいいじゃないかと、おっしゃるとおりだと思うんですが、我々の立場から言わせていただくと、まずは学校のもともとあった施設の形で整備するということを前提に設計をしていたので、それでお話をさせていただいたんですが、特定行政庁の判断が、どうしても我々の考えとは合わなかったということでございます。そういうことで御理解いただければと思います。
計画が多少、特定行政庁の指導で変わることはございますが、他の学校で例えば渡り廊下を造ろうとしていたのに造れなかったという例は、今の段階ではございません。細かく、例えばこれをしようと思っていたのにできなかったということは、指導の段階ではございますけれども、具体的な渡り廊下を造ろうとして造れなかったという例はございません。

茅野委員(関連質問)
渡り廊下は学校の生徒たちの不便さとか教師の教育上の観点から、行ったり来たりするために造るわけでしょう。本来であれば渡り廊下があれば、そのままそこが通路として、いつでも行き来ができるということで計画をして、ただし一行政庁が駄目だと言ったからって、行政庁はここだって行政庁でしょう。そして新たに建物を建てるんだったら、それができないですだけで済む話ではないと私は思うんだけれども、その辺の改善策をちゃんと示してあげなければ、何のための教育庁であり教育委員会なんですか。子供のために新たな施設を造ってあげる。そして、耐震化のために建て替えてあげる。まなびや計画1,000億円を我々も決めたのはそのためであって、何も神奈川県教育庁のためじゃないんですよ。そこの高校で教育を受ける子供たちのために、いかに便宜を図ってあげるかということじゃないんですか。
最初の計画にあったものができなくなったのに、そのためにどういう改善策をとるのかというところが本来的なことであって、今、一切そのことについて語られていないということ、そのことに対してどういう形をとるのか、お答え願いたい。
まなびや計画推進課長
 御指摘のように、2階、3階という形で接続すると建物ということになり、高さ制限に抵触するということでございます。そのままでは計画通知が下りないということでございますので、そこを代替措置としては、申し訳ないんですけれども、1階まで下りて、そこはもちろん屋根を付けまして渡り廊下をつくるということが代替措置でございますが、それで御満足いただけないということですとなかなか難しいんですが、一応、今考えているところでは屋根を付けた形の1階の渡り廊下で渡っていただくということで考えてございます。

茅野委員(関連質問)
それで最初の形のものと同等というか、それに近いような教育的配慮と言えるのかどうか。また、本来的にいえば、最初の計画のときにそういうことは分かっていなければいけないものが、分かっていなかったということは、それでいいですよねという話ではないと思うんですよ。そこのところはやはりしっかりと認識をして、今後、いわゆる善処してあげないといけない、善処ですよ。
1階に行って、屋根を付けて雨にぬれないからいいじゃないか、私はそういう問題じゃないと思うんだけれども。
まなびや計画推進課長
 委員御指摘のとおり、最初の設計の段階とか計画の段階での甘いところがあったのではないかということは真摯に受け止めなければいけないことだと思ってございます。我々の段階では、我々の中では一応、先ほどのお話の繰り返しになりますが、当初の建物と同じ施設のものを用意したいという思いで進めていたところが、なかなかうまくいかなかったというのが正直なところでございますが、見込みの甘さということで言われてしまいますと、そのとおりだと御指摘を真摯に受け止めたいと思います。
茅野委員(関連質問)
関連ですからこれ以上は言いませんけれども、やはり今後こういった形のものがあってはならないと思います。そのためにやはりちゃんとした準備と、もう一つは、その辺の建築確認なら建築確認のところでちゃんとしたコミュニケーションがあって、そして、なおかつ学校の現場サイドの話をちゃんと詰めて、その中で話を進めていかなければいけない。今回の件もちゃんとそれは学校サイド、特にPTA、父兄、保護者に説明しなければいけないと思いますよ。ちゃんとそこは真摯に、こういう結果になったのであるならば、そういう結果に対してどう対応するのか対処するのか、今後の改善策はどうするのかということをしっかりと学校の現場サイドに行って説明すべきだと思います。
行政部長
 今、御指摘の保護者から要望があった学校については、私も現場に行きまして、校長先生とお話をさせていただきました。経過からいうと、確かに当初渡り廊下を造る予定だったのが、建築確認の関係で法令上どうしても駄目だと、高さ制限があるということで、今、2階、3階の渡り廊下を造ろうとしたのをそれができないということで、保護者の方に対しては本当に申し訳ないというふうに思っております。
PTAの方からはそれ以外にもいろいろ御要望が上がっておりますので、全く同じ施設を造るというのは難しいですけれども、なるべく機能面でこれまでの教育環境を維持できるようにしながら、そしてしっかりと保護者の方々にも説明していきたいというふうに考えております。

石川(裕)委員
私の伝えたいことを茅野委員が伝えていただいたのですけれども、その中で、学校視察をさせてもらったときに、新しい校舎を見させていただいて、本当にきれいで使いやすい、これは非常に理解をしました。ですが、旧校舎も見させていただきました。そうすると、一番印象に残ったのがトイレなんですけれども、もういつの時代のトイレなんだというような思いのある、昭和のレトロなそういうトイレでありまして、これを本当につい最近まで使っていたのかと思うと、非常に教育の環境としてはどうなのかというふうに思ったんですけれども、そういう環境によって、例えば私の時代でいくと、トイレでいじめがあるとかそういうようなことがあったと思うんですけれども、今ここはきれいになっていますよ。でも、他の高校でも、まだそういうトイレがあるのではないかというふうに理解をしてしまうんですけれども、せっかくこの1,000億円という事業費を一応かけますよというところで、全部使えということじゃないですけれども、でも実際に610億円というところでいくと、まだ390億円ぐらいは予算に対して使えるというか、ということでいくと、こういうことも併せてやっていくことが必要だと思うんです。
当然、耐震をして生徒の命を守るということが重要ですけれども、そういう環境も並列してやっていくことが必要だと思うんですけれども、その点について当局の御意見を伺わせてください。
まなびや計画推進課長
 先ほどお話ししたように、大規模補強の耐震化を優先してございます。大規模補強が終わった後も、200棟以上、小規模補強の耐震が必要でございますので、まずはそちらの耐震化を重点的にやらせていただく中で、県立学校の8割以上が築30年という状況もございます。トイレだけではなくて、外壁だとか屋根だとかというところも総合的に考えなければいけないところが多々ございますので、県立高校改革と整合を図りながら、トイレも含めた総合的な老朽化対策の検討を今後していく必要があると考えてございます。

石川(裕)委員
この件については、最後に要望しますけれども、このまなびや計画も10年というスパンでやられているということは十分理解をしているんですけれども、しかし、通っている生徒は高校に10年間通うわけではなくて、この3年間をその高校で過ごすということになるので、その3年間がいかに例えば改築なり何だということでプレハブ校舎で3年間学ぶとか、例えばずっと通っていたときは工事をしていたねとかというようなことでは、その高校生、生徒にとってはそれはずっとそういう思い出しかないということになります。
たまたま今回きれいになった学校は、新しくなったねという、そういう思い出はあるかもしれないですけれども、実際に学校に通って良かったと、環境的にですね。文化祭だとか体育祭だとかそういう思い出はあるかもしれないですけれども、そういう環境も良かったと思ってもらえるような学校づくりを是非進めていただきたいということで、この質問は終わらせていただきたいと思います。