石川(裕)委員
教育局の関連施策として小学生の放課後対策の充実を図ると記載されていますが、放課後対策の充実というのは、具体的にどのような事業を進めていこうとしているのでしょうか。

生涯学習課長
具体的には教育局の関連施策として、放課後子ども教室事業という事業を持っており、事業を展開しております。

石川(裕)委員
放課後子ども教室という話がありましたが、この放課後子ども教室について、もう少し具体的にお聞かせ願えますでしょうか。
生涯学習課長
放課後子ども教室は、放課後の子供たちの安全・安心な居場所づくりに向けて、小学校の空き教室などを活用して地域の方々の協力を得て、子供たちが勉強やスポーツ、文化活動などを行う事業です。事業の実施主体は市町村であり、国や県がその取組に対して一定の補助を行っているという事業です。

石川(裕)委員
私も両親が共働きで、放課後に学童保育に行ったことがあります。この放課後対策は重要だと思うのですが、学童保育がある中で、この事業の背景について具体的なお考えをお伺いしたいと思います。
生涯学習課長
放課後子ども教室の事業の背景として、放課後の時間帯に子供に関わる重大な事件が続発したことや、都市化や核家族化など、地域や家庭の環境が変化している中で、子供の放課後に対する不安が起こっており、安全・安心な居場所が少なくなっているという意識が社会の中で芽生えたということが背景にあろうかと思います。また、委員の御質問の中で、放課後児童クラブのお話も出ておりましたが、そちらにつきましては子供たちの生活の場として、どちらかと言えば福祉的な視点から、現在、本県では県民局が対応していますが、放課後子ども教室は、名前のとおり放課後の子供たちの安全・安心な居場所づくりが狙いとなっております。一方で、子供たちが先生や保護者である親といった縦の関係、子供同士といった横の関係だけでなく、地域の方々と一緒に活動する斜めの関係という新たな関係をつくることで、社会性の醸成、その促進につながるのではないか、また、地域の方々にとっても持っている知識や技能を子供たちに教える、伝えることで、自らももっと学ばなければと生涯学習にもつながるのではないかといった間接的な狙いもある事業です。

石川(裕)委員
放課後子ども教室は、県内でどのくらい実施されているものなのでしょうか。
生涯学習課長
放課後子ども教室は、平成19年度に事業が始まっております。先ほど、県が補助対象としていると申し上げたのですが、政令市、中核市は補助対象外という制度になっており、当初、平成19年度の26教室でスタートしました。昨年度は95教室、今年度の予定で108教室と年々拡大をしております。別途、政令市、中核市は独自に国から補助を受けておりますが、これに政令市、中核市の状況を加えると昨年度の実績で、本県全体としては661の放課後子ども教室が実施されているという状況です。

石川(裕)委員
市町村によって放課後子ども教室事業が進んでいるところと、そうではないところがあるのでしょうか。
生涯学習課長
県内市町村によって事業に対する取組の濃淡があります。基本的には小学校区に対して一つ作ることを目標にしておりますが、ある町では既にそれ以上、一つの小学校区に二つ以上展開しているところもあれば、逆に数多く小学校がありながら、一つや二つしか全体で開設していない市町村もあります。固有名詞を挙げることは、市町村への評価にもつながることから差し控えさせていただきたいと思いますが、取組に対する市町村の濃淡はあります。

石川(裕)委員
箱根町についての御質問もありましたが、こういうときこそ親御さんが働かれている中で、子供を預ける場所があることは大変重要になってくると思うのですが、箱根町についてはどうなっているのでしょうか。
生涯学習課長
箱根町については今年度の予定はありません。放課後子ども教室につきましては、子供の安全・安心な居場所ということと、共働き等の家庭環境もあります。都市化された地域の小学校と、そうではない地域の小学校とでは家庭環境も異なってくるので、全てがおしなべて放課後子ども教室を開設しているという状況ではありません。箱根町は箱根町の事情で、放課後子ども教室を実施していないということだと思います。

石川(裕)委員
国は、放課後子ども教室と放課後児童クラブの一体的な運営を要請していると承知しています。このことについて、県では今後、放課後子ども教室をどのように推進していくのでしょうか。
生涯学習課長
国は、昨年度に放課後子ども総合プランを策定し、平成31年度までに全ての小学校区で放課後子ども教室を実施することや、そのうち半分は放課後児童クラブ、いわゆる学童保育と一体的に運営することを目標に掲げました。これを受ける形で県民局が主体となって策定した平成27年度を初年度とするかながわ子どもみらいプランでも、本県の考え方として、小学生の放課後対策の充実として、同様に平成31年度までに全ての小学校区で放課後子ども教室を開設することを目標としております。こうした考えの下、県は市町村に放課後子ども教室の開設を引き続き働き掛けるとともに、県民局と連携して、放課後児童クラブとの一体的な実施を支援してまいりたいと考えております。

石川(裕)委員
放課後子ども教室は、あくまでも市町村が事業の実施主体であり、県として主体的に取り組むことが難しいということでしょうか。
生涯学習課長
御指摘のとおり、放課後子ども教室は市町村の事業です。ただ、現状を見ますと、例えば、教員経験のある地域の人材が子供たちの勉強を積極的に見ているといった放課後子ども教室もありますし、一方で、地域の人が子供たちを自由に遊ばせて、それを見守っているだけという教室もあります。こういった各市町村がどういう運営の仕方をしているか横断的に眺められるのが県であると考えております。県は、こういう工夫をしている市町村がある、こういう良いやり方をとっているところがあるといった収集がしやすい自治体であると考えており、実施主体は市町村ですが、今後、放課後子ども教室の良い事例、工夫されている事例を積極的に収集して、まだ取組が少ない市町村に提供していくことを考えております。また、本県では事業開始を平成19年度と申し上げましたが、早くから県の役割として、放課後子ども教室に携わる方を対象にした研修を行っております。昨年度に4回研修を行って、339人の方を招いて研修を行いました。こういった研修を通じて、他の市町村でどういったことがされているのかを知る契機にもなると思いますので、引き続き県としての役割を果たしていきたいと考えております。

石川(裕)委員
研修を行っているということですが、研修というのは、市町村職員向けに行っているのか、それとも直接地元の方に対して行っているのでしょうか。
生涯学習課長
生涯学習指導者研修という冠の中で、放課後子ども教室推進コースというものがあります。対象は放課後子ども教室に携わっている方、または市町村の教育委員会の職員も含むということで、実際に運営に携わっている方々、具体的にどのように地域の人々を選んで御協力をいただいたらいいのか、どのようなプログラム開発をしていったらよいのかといった悩みを抱えている教室もありますので、横の連携を図る、また、講師をお呼びして学習するというような研修であります。

石川(裕)委員
各市町村としっかりと連携をとってもらうとともに、実体験としても子供のために安全、安心な場所があるというのは大事だと思いますので、これからも引き続きこの施策を広めていってほしいと思います。