石川(裕)委員
 続きまして、神奈川県科学技術政策大綱の策定について、先ほど先行会派からも質問がありましたが、このことについて質問させていただきたいと思います。
 科学技術の面では、専門的で分かりにくい面がありますので、具体的に、神奈川県民にどのように還元されているかという視点で質問をさせていただきたいと思います。
 まず、有識者で構成される科学技術会議というふうな報告がありますが、このメンバーはどのような方がなられているのかということと、そのメンバーの選考方法というのはどうなっているのか伺いたいと思います。
政策調整担当課長
 まず、メンバーの構成でございますが、神奈川県科学技術会議、議題の対象が非常に専門的な内容になりますので、大学や研究機関、産業界からの有識者で構成されております。現在のメンバーは大学研究機関から9名、産業関係から2名、その他マスコミ、シンクタンクから2名、計13名という構成になっております。
 選考方法でございますが、科学技術政策大綱の重点研究目標や県の重点施策分野を専門とする有識者の中から、関係部局ですとか、あるいは御退任されるとき、前任の委員から御紹介をいただき、まず候補者を選びます。その上で研究分野のバランスですとか、候補者の経歴、業績などを総合的に勘案しまして適任者と思われる方を選考しているところでございます。

石川(裕)委員
 ということは、専門家の方で13名ということなんですが、これは定数というのはあるんですか。13名で上限なのか、それとも例えば15名でも、20名でも、25名でもいいんですか。
政策調整担当課長
 この会議については、要綱で設置をしておりますが、要綱では15人以下となっております。

石川(裕)委員
 今回この13名の選考の仕方ですが、公募の委員の数というのはどれぐらいでしょうか。
政策調整担当課長
 公募委員は今おりません。

石川(裕)委員
 それでは、この13名というのは、県の方がお願いをしたということですが、例えば私がなりたいといったらなれるんですか。
政策調整担当課長
 繰り返しの御答弁になるかもしれませんが、まず科学技術政策大綱に定めている重点分野に関係する専門家の方、例えばエレクトロニクスであれば、その分野の方を関係部局から御推薦いただいたり、あるいは前任者の方から御推薦いただく。その上で、さらに業績ですとか評価しまして選任していくということになりますので、分野の知見のない一般の方というのは入らないとうことでございます。

石川(裕)委員
 そういういろいろな推薦があるという中で、私というのは個人的な例ですが、その分野の中でもたくさんの人がいらっしゃると思うんです。その中でもやりたいという人もいると思うんですが、例えばたまたま埋もれていて、推薦の中には入っていなかったとか、そういう関係がなかったとか、そういう人がもしいらっしゃった場合はどうなんですか。やっぱり神奈川県と関係の深い方が選ばれるというか、そういう危惧というのはないんでしょうか。
政策調整担当課長
 選ぶに当たりましては、やはり専門分野の方を選びますので、それとまず会議に来ていただかなければいけないということもありますので、やはりそういった事情も考えます。例えば事実上遠い方はまず無理だというふうに考えております。その中で、その専門分野の委員をいろいろ御推薦いただく中で、複数名候補者を上げた上で、その経歴ですとか、研究分野のバランス、それも考慮して選んでいるというふうになります。

石川(裕)委員
 選考の仕方というのは、その分野の選考会の中での公募というか、そういうことは客観的に入れた方がいいのではないかと思います。そういう中で、現大綱の検証の概要のところで伺ってまいりたいと思いますが、正直これを読ませていただいて、理解しづらい部分がありますので、その辺を少し伺ってまいりたいと思いますが、まず目標1神奈川から、科学技術による産業・経済の一層の発展を促すというところがありまして、具体的なものがあります。例えば国際評価技術センター機能の構築に向け光触媒抗菌試験のJIS化への貢献と書いてありますが、これはどういうことなのでしょうか。
政策調整担当課長
 光触媒ですが、光を当てると汚れなどが分解されるといった効果がございます。身近な例ですと、外壁ですとか、空調関連製品、それからドアノブなどに広く使われています。KASТでは、この光触媒の抗菌作用の方法を確立いたしました。さらに、その研究成果ですとか、研究結果を基に工業製品の国家規格でありますJISにこの提案を認められたというものでございます。

石川(裕)委員
 もう一つ、樹体ジョイント仕立て法の技術を全国26都県へ展開を伺います。
政策調整担当課長
 樹体ジョイント法ですが、これはリンゴですとか梨とか、そういった樹木と樹木をつなぎ合わせて一つの木のようにつなぐ栽培方法でございます。異なる樹木の形を統一させることになりますので、収穫の労力が従来に比べて4割ほど軽減できるといったものがあります。

石川(裕)委員
 これが神奈川から、科学技術による産業・経済の一層の発展を促すというところの目標の中にあるんですが、具体的にこれがどう神奈川県に貢献したのでしょうか。
政策調整担当課長
 まず、作業が非常に楽になるということで農家の方の作業の軽減が図られるものです。さらに、今後、ここは収穫ロボットによる処理も可能になると考えますので、その際、収穫ロボットの開発に当たっては、この樹体ジョイント仕立て法が全国に普及して展開していくと、利用する果樹農家が増えるということでありますと、そういったロボット産業が入る市場が大きくなりますので、参入しやすくなるということです。
 こうしたことによって、高齢化が進む果樹農家の省力化ですとか、コスト削減、負担の軽減、そういったものにつながり、本県の農業のメリットにもなるというふうに考えています。

石川(裕)委員
 神奈川県もそうだが、全国も楽になると、この農業ということでいけばそうですね。それで、このJIS化の方に関してはどうでしょうか。
政策調整担当課長
 ものづくり、製品をつくる場合、その製品の品質ですとか安全性を評価することによって、消費者が安心して購入できるということになりますので、健全な市場の形成につながると考えます。
 このKASТがそういった評価方法を標準化することで、例えば神奈川県内の企業が、近くでその評価を受けることができるということになりますので、県内企業にとっても大きなメリットになるというふうに考えております。

石川(裕)委員
 県内企業もメリットがあるというところ、神奈川県だけということではなくて、全国的に便利になるというふうに理解しましたが、その次の目標の2のところでいきますと、生活の質の向上を実感できるようにというところで、これは少し教えてもらいたいんですが、化学物質の発がん性評価試験法のOECDガイダンスとして国際認定とありますが、生活の質の向上というのは、これはどうなのか具体的に伺います。
政策調整担当課長
 これも新たに開発された試験法でございますが、これまでできなかった化学物質の発がん性促進作用を検査するもので、身の回りの化学物質による発がん性リスクの低減化につながるものです。医薬品をはじめ、化学製品等の開発における動物実験の削減にもつながるなど、健康寿命の延伸と今後の産業振興に寄与することが期待されております。

石川(裕)委員
 県民にというのは、なかなか伝わりづらい部分があると思うんです。今の説明でも、それじゃあ、何で神奈川県がという部分がどうしても拭い切れない部分があるのも正直なところですね。ただ、やっぱりそれが県民に直接若しくは時間的にも短く、本当に実感ができるというようなことがなかなかないと、やっぱり理解は難しい部分があるのかなというふうに思っています。
 そういう中で一つあるんですが、参加した産学公の連携での夏休みの科学体験ですが、44万人も参加されているということなんですが、このイベントというのはどういうイベントだったんですか。
政策調整担当課長
 このイベントですが、子供たちの科学技術への理解増進を目的に、県内の科学館、大学、研究機関、企業など、約150機関が夏休み期間中に開催する子供向けの化学関連イベント、これを県の方でかながわサイエンスサマーとして取りまとめ、パンフレットやホームページで紹介しております。
 そのパンフレットについては、県内の小学生、4年生から6年生を主に対象としておりますが、学校を通じて直接手渡していただいております。その事業効果ですが、昨年度、これは引率の保護者も含みますが、44万人に御参加をいただいたというものでございます。

石川(裕)委員
 私は全然それを知らなかったのですが、小学生対象ですので、うちの子供は小学生をもう卒業しているので分からなかったと思うんですが、具体的にどんなところでやられていたんですか。例えばパシフィコ横浜でやったとか、あとは大学でやったというのがありますが、そういう具体的にいろんな箇所でどれぐらいの開催規模だったんですか。
政策調整担当課長
 参加いただきましたのは、148機関ございます。場所ですが、一言で申し上げますと県内バランスよくというか、横浜から箱根の方まで実施したものでございます。

石川(裕)委員
 場所というのは、パシフィコ横浜とかそういうところではなくて学校でやっているんですか。
政策調整担当課長
 一例を御紹介させていただきますが、例えば神奈川大学の横浜キャンパスですとか、平塚キャンパスですとか、あるいは味の素さんの川崎事業所ですとか、そういった研究所ですとか、メーカーのイベントがその場でやられているということです。

石川(裕)委員
 夏休み期間というのはそんなに長い期間ではないと思いますが、それで44万人も参加されているというのは、非常にすごいことだなと理解しております。神奈川県でやっている事業であって、この44万人も参加している事業というのは、是非今後も進めてもらいたいと思いますが、少しこの数字だけ飛び抜けて非常に数字がいいといったらあれですが、参加者が多いものとしては、どういうものなのかなというのを聞かせていただきました。
 確認をさせてもらいたいんですが、科学技術というのはすぐに成果が出るものでもないですし、なかなか県民に分かりやすく伝えるというのは難しいと思うんですが、新しく大綱を策定されるということで、科学技術政策担当部長に決意を伺いたいと思います。
科学技術政策担当部長
 県の科学技術政策ということでございますので、しっかりとその成果を県民に還元していくという観点から、まずこの新しくつくる政策大綱の中では、地域計画活性化、それから県民生活の質の向上、そしてイノベーション創出を担う人材の輩出というものを基本目標の三本柱として位置付けていきます。
 この三本柱を達成するためには、具体的には、新たに設立される産業技術総合研究所を含む県試験研究機関等の機能強化を図る。最先端医療、未病、ロボット産業などの成長産業を創出・育成、それから、自然災害への対応に向けた研究の強化などに取り組んでまいります。
 また、こうした個々の研究成果の積極的な情報発信をしっかりと行っていくということ、それからあとは、例えば政策の進捗状況を定量的に把握できるような、そのような指標を新たに設定することによりまして、非常に分かりにくいこの科学技術政策の進捗状況を県民へ少しでも分かりやすくお伝えするよう努力したいと考えております。

石川(裕)委員
 最後に要望を申し上げますが、質問の中でもお伝えしましたが、科学技術の成果は、県民に具体的にどのように還元されるのかということで質問させていただきました。
 成果というか、見通しを立てるのは難しいと思いますが、そしてまた、この成果がすぐに今日、明日ということで成果が上がるとは思いませんが、だからこそ県民の立場で分かりやすく、具体的にどう県民生活に役立っていくのかということを県民目線で策定を進めていただきたいということを要望します。