石川(裕)委員

生涯にわたる自分づくりを支援する魅力あふれる公立学校づくりを進めるため、小中一貫教育校の導入とありますが、この内容について何点か伺いたいと思います。本県における小中一貫教育校の導入の検討を開始した経緯についてお伺いします。
子ども教育支援課長
平成25年8月、神奈川の教育を考える調査会の最終まとめにおいて、義務教育に関することとして、限られた教育資源を有効に活用し、子供にとってより良い教育環境を提供するために、市町村と十分連携し、地域の状況も踏まえながら、小中一貫教育モデル校が神奈川県において早期に実現できるよう取り組んでいく必要があると示されました。このことを受け、県教育委員会としても、市町村と十分連携し、地域の状況も踏まえながら、小中一貫教育モデル校が神奈川県において早期に実現できるような取組が必要であると考え、平成26年7月に小中一貫教育校の在り方検討会議を設置し、モデル校の実現に向けた検討を開始したところです。

石川(裕)委員
小中一貫教育校の在り方検討会議において、どのような検討をされているのかお伺いしたいと思います。
子ども教育支援課長
小中一貫教育校の在り方検討会議では、四つの検討事項が挙げられています。一つ目が神奈川県として目指す小中一貫教育校の在り方について、二つ目が実施する上での課題の把握と解決のための方策について、三つ目がモデル地域の指定に向けた取組について、四つ目が教員研修や教員免許等の在り方についてであります。実施回数は、平成26年7月に第1回の小中一貫教育校の在り方検討会議を開催し、以後、平成27年1月までに4回開催しております。また、この間、小中一貫教育校の在り方検討会議に出す資料の作成や研究を進めるための作業部会を8回開催しました。こうした小中一貫教育校の在り方検討会議での議論を経て、平成27年2月5日に神奈川として目指す小中一貫教育校の在り方一次報告が座長から教育長へ報告されております。その後、モデル校を導入し、平成27年4月に行われた第5回の小中一貫教育校の在り方検討会議で、モデル校への支援の在り方や小中一貫教育を推進するに当たっての教員研修や教員免許について、御意見を頂いているところです。

 石川(裕)委員
一次報告では、どのような報告が示されたのかお伺いします。
子ども教育支援課長
一次報告につきましては、国の動向を踏まえつつ、県の義務教育に係る課題を解消する方策として、これまでも取り組まれてきた小中連携教育の成果を生かす小中一貫教育モデル校を設置することが有効であると報告されました。また、神奈川県の小中一貫教育の捉え方としては、小中学校が同じ教育目標の下、目指す子供像を共有し、義務教育9年間を一貫した系統的な教育課程を編成し、それに基づき行う教育としました。本県での小中一貫教育校の導入により期待される効果としては、小中学校9年間を見通した学び方の指導を通じた学力の育成、小中学校間の滑らかな接続による、いわゆる中1ギャップの解消、また、適正規模化による行事、部活動等の活性化、統廃合等による管理運営費等の削減等があります。課題としては、人間関係の固定化、施設が離れている場合の日常的な交流の難しさ等が報告されております。
石川(裕)委員
小中一貫教育校に前向きではない市町村はあるのでしょうか。
子ども教育支援課長
意向調査を行った際に、小中一貫教育校に手を挙げない理由をお聞きしております。その中には、現在取り組んでいる連携型教育を一層推進していきたい、施設面での整備、または教員免許の問題などの課題がある、今は適切な学校規模が維持されているといった理由で手を挙げないとお伺いしております。
石川(裕)委員
市町村ごとに濃淡があるという理解でよろしいのでしょうか。小中一貫で楽しかったという子供たちの話をよく聞いているので、小中一貫を推進していただきたいと思います。モデル校を導入したとのことですが、どのようにモデル校を選んで導入したのでしょうか。
子ども教育支援課長
今年の2月、市町村教育委員会指導事務主管課長会議にて、一次報告の内容について説明を行い、県内の全市町村に向けて小中一貫教育モデル校導入の意向の確認を行っております。その後、導入の意向を示した市町村に対して実施計画等の提出を求め、その内容を確認し、市町村と調整した上でモデル校を指定しました。モデル校につきましては、海老名市、秦野市、箱根町となっております。
 石川(裕)委員
今後、本県における小中一貫教育校の推進について、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
子ども教育支援課長
小中一貫教育校の在り方検討会議につきましては、最終報告に向けて今後、平成27年7月、9月に実施します。最終報告には、モデル校から得られた知見も盛り込んでいきたいと考えております。また、今後、国の事業を活用するなどしまして、県内のモデル校の取組について、意見交換や協議をしたり、モデル校の成果を県内に普及して導入するという目的で協議会を設置し、小中一貫教育校の導入に向けて取組を推進していく予定です。
茅野委員(関連質問)
かながわグランドデザイン実施計画(素案)についていろいろと質問をしてきましたが、教育局長にお伺いしようと思います。取りまとめに当たって、どのような思いを込めて仕事をされたのか、また、今後の神奈川県の教育について思いがあれば、お伺いしたいと思います。
教育局長
今回のかながわグランドデザイン実施計画(素案)についての取りまとめに当たっては、冒頭で説明をさせていただきましたが、まず、点検、評価から始まっています。前回の策定時とはいろいろと状況が変わってきており、その中で課題が出てきております。その課題に向かって、今後の4年間でどのように取り組んでいくのかが重要となります。特に、教育を取り巻く環境というのは、以前に比べて非常にテンポが速くなっています。また、複雑になってきていますし、社会環境も変わってきています。例えば、ICTにつきましても、4年前の時点ではスマホがこれほど普及するとは思っていなかったというところで、中学生、高校生も大半が持っているという状況です。このようにかなり子供たちを取り巻く環境が変わってきているということも踏まえて課題に的確に取り組まなければならないということで、今回のグランドデザインの取りまとめに当たらせていただいたということです。
今後の神奈川県の教育に関しては、特に私は事務職員ですので、学校教育そのものに入っていくことはできない部分があるのですが、教育局長として、この2年間、高校の授業を参観させていただきました。その中で、自分が高校生のときに受けていた授業とかなり変わってきていると感じました。また、教育臨調などで指導的な役割をしていただいた大学教授から、高校だけでなく、小学校や中学校もかなり変わってきているので是非見てほしいという話があり、実際に行ってみました。自分が小学校、中学校のときには、いわゆる一斉授業スタイルで行っていたが、今は学校によっては教卓がなく、黒板に向かってコの字型に生徒が座って、先生はその真ん中で指導をする。そのような中で一番感じたのは、先生が話す時間はかなり少なくなっており、子供たちが積極的に自分たちの意見を言うということであります。その際には、発言時間をきちんと決めるなど、正に確かな学力、考える力であり、得た知識を生かす、表現する、そして協働して学ぶというところが進んでいると感じました。こうした中で、そのような授業を受けた子供たちが県立高校に入っても授業を面白いと思い、興味を持つように高校教育を変えていかなければならないと感じました。組織的な授業改善に取り組んでいるが、教育環境がかなり変わっている中においては、教育委員会全体で、将来、日本を担う子供たちを育てていきたいというところが、私の教育への思いです。
茅野委員(関連質問)
熱い思いを聞かせていただいて、今後、神奈川県の教育も良くなっていくのだろうと思いました。今、悲惨な事件があったりと子供たちが様々な環境に置かれている中で、皆様の全体の力、グランドデザインの中で、少しでも良くなればと思います。
石川(裕)委員
最後に要望となりますが、今後、少子化が進行しても子供たちが安心して楽しく学ぶことができ、義務教育の質がしっかりと担保される環境整備を市町村教育委員会と連携、協力して、進めてほしいと思います。