石川(裕)委員
 さがみロボット産業特区の取組について質問をしてまいります。
 まず最初に、県民関連という視点から質問していきたいと思っているのですが、まずこの特区になったことによって企業、そして県、それぞれにどのようなメリットがあったのか伺いたいと思います。
産業振興課長
 メリットですが、特区に参加する企業は3,000を超えるということと、それから10市2町と連携した様々な取組をやることによって、意識の醸成と実際に商品に結び付きましたのが12点ございます。これを使うという意識、それもできたのかと思っています。1期目としてはその辺が一つの成果だと考えております。

石川(裕)委員
 企業はどういうメリットがありますか。
産業振興課長
 まず、特区の考え方が出口戦略ということで、具体的には実証実験をやりやすい環境をつくろうということで、特区計画の目標値を通じまして県外から呼び込み、特区内でやっていただこうという形でやってまいりました。項目についても当初の想定よりもかなり増えておりますので、一定県内の特区を使った実証実験のやりやすさというのはできたと思っております。そこは具体的な企業にとってのメリットなのかと考えております。

石川(裕)委員
 企業にとって税制の優遇面というのはあるのでしょうか。
企業誘致・国際ビジネス課長
 セレクト神奈川100、いわゆる企業誘致施策でございますが、ロボット特区の中でロボット関連企業、県外、国外から来た場合については補助金が活用できます。その場合、ロボット特区の制度などを活用いたしますと最大で10億円の補助金、通常5億円ですが10億円の補助金まで出せるようになります。
 また、工場などを新設、あるいは再投資という形で拡張いたしますと、当然不動産取得税がかかるわけですが、税制上の措置といたしまして2分の1軽減をさせていただくというようなメリットがございます。ただ、これはさがみロボット特区ということに限定しているわけではなくて、一般的な特区の活用、それから県内企業を含めた投資への支援という形で行わせていただいているものでございます。

石川(裕)委員
 そういう中で、事業所の計画認定件数が先行会派から質問がありましたが、目標に達していないという御答弁がありました。そういう中で、今、いろいろな企業にとってのメリットというのがあったと答弁がありましたが、実際に優遇措置を受けて、産業ロボット特区に申請したところで10億円とか5億円とかという話がありましたが、最大でどれぐらいの金額の補助、免除を受けているのでしょうか。
企業誘致・国際ビジネス課長
 多いもので、投資額ベースでお答えをさせていただきます。投資額に対して大体5%が補助金額だとお考えいただくといたしますと、この中には再投資もございまして、再投資の場合は補助金の対象外となりますので、そこは補完をいただくといたしまして、投資額の最も高いものが約29億円となってございます。

石川(裕)委員
 今、この資料で14社、事業所、建設計画の認定件数があります。新規だと思うのですが、これで雇用はどれぐらい増えたのか。
企業誘致・国際ビジネス課長
 この14件中、まだ建設、操業に至っていないという企業もございますので、操業を開始しているのが、12社になってございます。この12社の中でも既に県内に工場などがあって拡張工事をしたものもございますが、正社員以外も含めまして、雇用といたしましては814名となってございます。このうち新採用の正社員といたしましては165人、県外から移転してきた転入社員としては116人となってございまして、純粋に雇用が増えたものといいますと、今申し上げた165人と116人ということになります。

石川(裕)委員
 最初に雇用から伺ってまいりましたが、25年2月からこの特区を受けていろいろ進めていらっしゃるということなのですが、昨年度までロボット特区に対して予算というのはどれぐらい使われているのでしょうか。
産業振興課長
 県では毎年2月に当初予算を発表させていただきます。そこで、当課のロボット関連予算を取りまとめて、まとめて発表させていただいている数字でお答えをさせていただきたいと思います。
 また、当初予算は、まずは25年度当初予算で発表しましたのが、4,979万円でございます。それから26年度当初予算は1億5,839万円、27年度、この年は、選挙の年で、骨格予算、6月補正後の数字でお答えさせていただきますと、1億872万円、それから28年度が2億2,575万円、そして今年度が2億9700万円という形になっております。

石川(裕)委員
 そうすると、ざっくりですけれども、この計画を立てられてから、7億弱くらいの予算を使っていると理解をいたしました。その中で、29年度は2億円ちょっとということなのですけれども、この経済効果を算定中と、先行会派の質問で答弁がありましたけれども、今年の予算で1,328万円使って、広報事業をやられていると思います。この、さがみロボット産業特区の広報事業というのは、具体的にどういったことをやられているのでしょうか。
産業振興課長
 先ほども少し御答弁させていただきましたが、鉄腕アトムのひな形を使っての広報になりますので、そのひな形を使うことによって発生するものと、あとホームページをつくったりする広報、それが主なものです。

石川(裕)委員
 鉄腕アトムを使って広報するといった結果はどういう結果を求めていますか。
産業振興課長
 私ども、ロボットと共生する社会として、2028年の一つの目指す姿として、先ほども答弁させていただきましたけれども、様々なロボットが、ロボットと分からないくらいに生活の中に溶け込んでいる姿を2028年度くらいにはやりたいなということで、そういうコンセプトで広報してございます。まだまだ足りていませんけれども、様々な市町村のイベントなどにも出かけまして、県としてこういった姿を目指して活動していることをお知らせさせていただいております。どのくらい浸透しているかというのが一つの目安ではありますけれども、県民の皆様に分かったいただくことも一つの目安なのかと思っております。

石川(裕)委員
 県民にさがみロボット産業特区の特区を知ってもらいたいのですか、それともロボットの何を知ってもらいたいのか。
産業振興課長
 県民の皆様にロボットと共生する社会ということで、どういったことが共生する社会なのかということを浸透させていきたいというものがこの広報の狙いでございます。

石川(裕)委員
 その中に約1,300万円という予算を組まれているのですが、この効果というところでいくと、ブランドイメージ確立を図るとか、認知度向上とかということでうたわれていますが、ブランドイメージ、認知度向上、この辺は具体的にどう捉えられているのか。
産業振興課長
 我々はロボットといえばさがみ、というキャッチフレーズみたいなものを使わせていただいて、是非県民の皆様に特区をやっているという形、もっと理想を言えば特区発のロボットが、先ほどもありましたけれども、福島で活躍したり、熊本で活躍したりということを見せて、ブランドイメージが出来上がればいいなという形で取り組ませていただいております。

石川(裕)委員
 時間が限られていますから次の質問に行きますが、そこで経済波及効果の話なのですが、経済波及効果の調査をされるので1,000万円という予算を使われています。これは具体的にどのような調査をされるのでしょうか。
産業振興課長
 大きく二つ調査をしたいと今やっているところでございます。一つが、ロボット関連産業の市場拡大の状況の確認をしたい。これは全国あるいは県内のロボット関連企業を抽出しまして、売上高や利益、従業員数、そういったものを把握して、特区前と特区後を比べる、これが一つ。二つ目として、特区で取り組んだことによる経済効果という形で、これは具体的に我々が一緒にやらせていただいた企業さんにヒアリングをさせていただいたり、産業年間プランを用いて、具体的な効果はどうだったのか出していきたい。その大きく二つの調査を実施しているところでございます。

石川(裕)委員
 それは県が直接やっているのか、それとも委託なのか。
産業振興課長
 委託でございます。

石川(裕)委員
 そういう中で、今まではそういう調査というか、途中経過というか、よくいろいろなひと・まち・しごとなど、いろいろプロジェクトがあるのですが、今回は何で途中でそういう経済波及効果を調べなかったのか。なぜここでまた調べようと思ったのか、それを伺っておきます。
産業振興課長
 委員からも、まち・ひと・しごとという話がございましたので、5年間でございます。PDCAをするに当たりましては、基本的には毎年、本来であれば把握をして、チェックをしてアクションを起こすというのが理想でございますが、これだけ大がかりの調査というのは1年かかってしまいます。そこで、KPIみたいな形で特区計画上は資料にお示しをしました、最少科目ではないのですが、毎年、我々の効果が把握できる数字をもって、一応そこで中間年については一定の評価をしようという考え方でやってまいりました。一応ここで最終年度を迎えますので、ここに当たって一つ5年間の成果を定量的に捉えようということで最終年度は今申し上げた調査をしているところでございます。

石川(裕)委員
 様々企業が重点プロジェクトという形で報告をされていますが、実際に神奈川県に本社がある企業というのはどれぐらいあるのでしょうか。例えばTOTOとか、安川電機とか、具体的に事業主体が書いてありますが、そういうところは多分、神奈川が本社ではないと思うのです。たまたまここに事業所があるという認識でよろしいですか。
産業振興課長
 特区の取組はいろいろございまして、重点プロジェクトと、それから公募型の実証実験、それからオープンイノベーションという形で三本柱が大きなものでございますが、そのうち公募型については、まず実験を神奈川でやっていただこうという形がありますので、そこは所在にかかわらず是非来ていただきたいという形でやってございますので、実際に神奈川県に事業所がないところもございます。
 それから、どれくらいの割合かということなのですが、手元の資料で言いますと、例えばTOTOの本社は北九州ということなのですが、茅ヶ崎に事業所がございまして、我々は茅ヶ崎とやらせていただいており、すぐには数字が出ないのですが、ほぼ神奈川県に何らかのゆかりがあるのが重点プロジェクトという形になっております。

石川(裕)委員
 県が7億円近く予算を出していろいろ取り組んでいるわけではないですか。いろいろな企業が、この特区に来て、そして雇用が増えて、そして税金を納めてもらうということであれば、県民に対して非常に分かりやすい還元と私は思うのですが、安川電機とか、そういう神奈川に本社がないような企業が売り上げが上がっていくといった場合に、当然利益が出たときに、神奈川県に対しては税制的な税収が増えることになるのですか。
産業振興課長
 税収の面で言いますと、一般論になってしまいますが、法人住民税とか、事業税という形になろうかと思います。おっしゃるとおり所在がなければ恐らくそういったものの収入は具体的にはないのかなと思いますが、考え方としまして、先ほどの全国の公募ということをお話をさせていただきました。仮に、九州にあった企業が来まして、特区内で実証実験をするということになると、例えば、その改良をするのに地域の中小企業の技術が活きてくるとか、オープンイノベーションという形でロボット研究会もやっておりますので、そういったところで地域の技術が生きてくると、それがロボット特区内の技術力ですとか、将来的には税収につながるのかなという形で、是非、神奈川でやってください、というのが基本的な考え方でございますので。確かに現状、実証だけやって、そこがものにならなくて帰ってしまった場合は、おっしゃるとおり、税収にならない部分があるかと思いますが、考え方としては、是非神奈川に事業所をつくっていただいて、神奈川の中小企業と一緒にロボット開発をやっていただきたいと、そういうことで税収につなげていきたいという考え方でやっているところでございます。

石川(裕)委員
 実際に神奈川県民として思うところでいけば、当然そういう将来に向かっての投資という部分も必要なのですが、神奈川県が来年度予算800億円マイナスからスタートしますという発表もされています。そういう中で、ある程度のめり張りがこれからは必要になってくると思うのですが、そういう中で、特区で入った企業で、これが一番の成功例だという企業はありますか。
産業振興課長
 成功ということですとなかなか難しいですが、一つ、資料にもありますが、パルロというコミュニケーションロボットがございますが、これは介護施設における認知症の予防の二足歩行型のロボットでございますが、これはちょっと業者に聞き取ったところ、約1,000台ぐらい売れているというところでございます。単価が70万円弱と聞いていますので、大体7億円ぐらいの売り上げ、これは県に本社がございますので、一定の効果があったのかと理解しております。

石川(裕)委員
 費用対効果という言葉はいいのかどうか分からないですが、やはり県民に理解をしてもらうというのは非常に難しいというか、5年間の成果としては弱いと思うのです。この先、これからまた5年間、新しい計画を立てられていくと思うのですが、普及も含めてということだと思いますが、神奈川県の考える将来的な県民に対する還元の仕方はどのようなところを着地点に考えられているのか。
産業振興課長
 県民還元には二つあるのかと思っています。この特区の目的が県民生活の安全・安心の確保というのがもう一つ大きな目標、それと地域の活性化という目標があるのかと思います。例えば、今、パルロのお話ですが、今後、少子高齢化が進んでいくという中で、今まで介護する側のロボットなのですが、委員おっしゃるように経済的にどう潤うかというのも一つ重要な指標なのですが、ある程度介護予防ができたとか、介護施設での生産性が上がったりとか、そういうことも県民還元なのかと考えておりますので、そこをしっかり今後はアピールしていきたいと思っております。

石川(裕)委員
 おっしゃることはよく分かります。例えば東京都の人がこの機械を買ったときに、東京都の人は例えば100万円だと、神奈川県民は50万円だという、差別化が図れるのであれば、神奈川県でやっている理由はわかります。でも、今、1,000体売れたと言っていますが、神奈川県だけで1,000体売れているわけではなく、全国で1,000体売れていると思うのです。そういったときに、別に神奈川県が7億円払って、この会社でこれだけやったとしても、他県が神奈川県で買おうとすれば、別に7億円払うということはなくなる、と単純に考えれば、7億円かけてやってきて、介護は楽になる、認知症のところでは必要なロボットになるというのは分かりますが、神奈川県民の具体的なメリットは、100万円安くなりますとか、そういう具体的なことはあるのですか。
産業振興課長
 導入するときには目的はございますので、県内の方が導入される場合は、他県で買うよりは少し安くなるということはあります。一方で、委員のおっしゃるようなところもございますが、やはり今後は少子高齢化、特に神奈川県はほかの都道府県よりも激しく進んでいくということが考えられますので、人手が減って市場の範囲が小さくなってくるので、ある程度、AI、IoT、そういったものには積極的に取り組んでいく必要があるのかという認識でおりますので、そこで今後もしっかり取り組みたいという認識でおります。

石川(裕)委員
 県は費用を負担をしたときに、県民は使った分に対して、どう私たちに返ってくるのかと思う部分はあると思うのです。そこに対して、県がきちんと説明できないと、ロボット特区の必要性が、県全体として理解をしてもらえない部分があると思うのです。その点について、もう一回答弁していただきたい。
企業誘致・国際ビジネス課長
 今、1,000万円の予算をかけて経済波及効果を調査しているところかと思ってございます。したがって、第1期のロボット特区の県民説明ということに関しては、この調査を待ちたいと誘致の立場からは思っております。
 一方では、企業誘致の立場で、費用をかけた分の経済的効果ということに関しましては、先ほど委員から御質問ございまして、新規の雇用として、正社員として165名、それから県外から転入されてきた方が116名いらっしゃる。これは新しく雇用が生まれ、消費が発生したということになります。さらに、セレクト100、それからインベストで認定した企業もございますが、こういった企業が企業活動を行うことによりまして、県内の他の企業に当然発注が生じます。私どもは今御答弁申し上げた雇用の状況、それから県内企業への発注の状況ということに関しては、毎年、定点調査ということで認定した企業に調査をかけさせていただいています。平成25年度以降認定した14社のうち12社が操業開始していると御答弁をさせていただきましたが、この12社の25年度以降の県内企業への発注額の累計は約95億円でございます。
産業振興課長
 県民生活の質という点で少しお答えをさせていただきたいと思っています。少し実例を挙げてお話をさせていただきますが、昨年は不二サッシ、自動タクシーの実証実験をやらせていただきました。県民の方が乗った感想なのですが、自動運転ということに不安があったが、非常に安心したという形で、それ以降、その場所では非常に実証がやりやすくて、普及が非常に進んでいると思っています。実際、それが物になったときも、やはりいち早く神奈川からそれが実現できるのかなという一つの還元だと考えております。
 委員おっしゃるとおり、なかなか県民への見える化とか、実感がないというのは私どもも考えておりますので、次の特区では見える化というキーワードで、県民の皆様にも是非ロボットを使うメリットを考えて、しっかりお知らせをして、県全体で神奈川がロボット先進県だと言われるように、メリットが還元されるように取り組んでいきたいと考えております。

石川(裕)委員
 最後要望を申し上げますが、やはり県民に対してメリットを、なぜ神奈川県が産業ロボット特区でロボットをつくる、特区でやるということをしなければいけないのかということが、分かりやすく、実感できるように是非お願いをしたいと思います。